【観戦記】常磐7-6小倉(春季福岡大会2回戦)




延長11回までもつれる熱戦となったが、終盤の長打攻勢で追いついた常磐が小倉を逆転で下した。

常磐は延長11回、タイブレークの無死一、二塁から上嶋が送ったあと尾崎の一ゴロの間に三塁から武本が生還、これが決勝点となった。

序盤3点のリードを許した常磐は4回、竹山中前打のあと重松、浦津は凡退したが、羽田野が三ゴロ失で一、二塁とし、続く武本の遊ゴロで一塁送球が逸れる間に竹山が生還して1点を返した。7回は先頭の武本が左越え二塁打で出ると、福澤四球、上嶋犠打で一死二、三塁とし、大神のニゴロの間に武本が還って1点差とした。

再び2点差となった8回は竹山四球、重松左前打、浦津犠打で一死二、三塁から羽田野のニゴロでまず1点。なおも二死三塁から武本が左中間三塁打を放って追いついた。タイブレークに突入した10回は重松左飛のあと浦津の右翼線二塁打でまず1点。なおも一死二、三塁から羽田野の中犠飛で2点差とした。その裏追い付かれたが11回に再度勝ち越して逃げ切った。

10回表常磐一死二、三塁 羽田野が中犠飛を放つ

序盤は小倉のペースで試合が進んだ。2回吉原の右中間二塁打のあと時松の送りバントで吉原は三塁で刺されたが、時松が二盗を決め、長友の右前打で先制した。続く3回は一死後、ニゴロ失で出塁した長澤が小林の左中間二塁打でまず1点。吉原右飛のあと時松中前打で二死一、三塁とし、打者長友の時に重盗を決め、この回2点をあげた。1点差とされた7回は吉澤がセンター左を破る二塁打で出ると小林のニゴロで三進し、吉原の中犠飛で生還した。

2点を追う10回裏は時松四球で無死満塁から、代打井上の中前適時打で追いついた。さらに勝木が送って一死二、三塁とサヨナラ機を迎えたが高田は浅い右飛、島田は三振に倒れ試合を決めることができなかった。11回も児玉が送って元吉四球で一死満塁としたが小林が二直併殺で試合終了。1点が届かなかった。

第154回九州地区高校野球福岡大会 2回戦
(2024年3月20日・水/筑豊緑地野球場)
チ ー一二三四五六七八九十士 計HE
常磐 00010012021 710
小倉 01200010020 692
(延長11回/10回からタイブレーク)
 常  磐   年 打安点  小  倉 年 打安点
(一)大 神  ➁ 421 (三)勝 木➁ 210 
一 尾 崎  ➁ 101 (二左)高田③ 400
(遊)江 頭  ② 400 (左)柳 屋③ 520

(中投中竹山大③ 420 二 島 田➁ 100
(右)重 松  ➁ 410 (捕)児 玉③ 400
(捕)浦 津  ② 411 (一)吉 澤③ 310
(投中投)羽田野③ 402 走 久 保③ 000
(左)武 本  ➁ 431  一 元 吉➁ 100
(三)福 澤  ➁ 410 (右)小 林➁ 611
(二)上 嶋  ➁ 300 (遊)吉 原➁ 411
ーーーーーーーーーーー   (中)時 松③ 410
ーーーーーーーーーーー   (投)長 友③ 411
ーーーーーーーーーーー   投 宮 本➁ 000
ーーーーーーーーーーー   打 井 上③ 112
ーーーーーーーーーーー   投 佐々木③ 000
球犠振盗残         球犠振盗残
562011         753915
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
羽田野  1.1 3201 長友  8 7413
竹山大  2.2 3210 宮本  2 3101
羽田野 7 3321 佐々木 1 0010
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▼試合時間/11:43~14:11 ※選手名の下線は左打者
※公式記録ではありません

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両校とも再三走者を得点圏に送って得点をうかがい、最後まで息の抜けない試合となった。

常磐の先発は背番号17の右腕・羽田野。テイクバックをあまりとらないフォームから力強い直球を投げ込んでくる。ただ、立ち上がりは変化球の制球に苦しんだ。二つの四球などで招いた初回二死満塁はしのいだが、2回に2本の安打を浴びて先制されたところでセンター竹山と入れ替わる形で交代。

常磐・羽田野

エースナンバーを背負う左腕の竹山は直球にカーブを交える軟投派タイプだが、直球が高くカーブの制球にも苦しんだ。2回は後続を絶ったものの、3回に味方の失策から長短打に重盗をからめられて2失点。4回も一死二、三塁のピンチを招き、児玉に痛打を浴びたが当たりが良すぎて中直となり、三走はタッチアップできなかった。

5回から再びマウンドへ上がった羽田野は変化球が少しずつ決まるようになり、7回に1点は失ったものの粘りの投球で味方の反撃を待った。

常磐の反撃の起点となったのは2年生の7番武本。2点を追う7回、左越え二塁打でチャンスメイク、犠打と内野ゴロでホームを踏んだ。続く8回は1点を返してなおも二死一、三塁の場面で左中間に大きな飛球。上がり過ぎたかと思われたが意外伸び、レフトとセンターの交錯もあって同点の三塁打となった。

武本は2回にも右中間に三塁打を放っており、この日は長打3本の活躍。それほど体が大きな選手ではないが、ボールを上から叩くようにスイングし、リストも強そうで高く遠くに打球を飛ばすことができる。常磐は武本のほかにも3本の長打が飛び出し、低反発バットの影響を感じさせなかった。

小倉・長友

小倉の先発は左腕エースの長友。立ち上がり2つの四球を出すなど直球がやや浮き気味だったが、小さく曲がるスライダーが安定していた。3回を除いて毎回のように得点圏に走者を背負ったが、要所を抑え7回まで2失点。このままリードを守り切れるかと思ったが、8回に先頭打者へ四球を出してから踏ん張れず、この回で降板した。

2番手の宮本、3番手の佐々木はいずれも長身右腕で、大きなカーブを交えて打たせてとるタイプの投手。タイブレークの10回、11回に失点したが自責点はゼロで粘り強く投げた。

守りではミスもあったが、それ以上に好守が光った。まず、小倉のショート吉原の柔らかな身のこなしが目を引いた。小柄な2年生だが打球に対する反応、グラブさばきなど抜群のセンスを感じさせ、肩も強い。打撃ではミートに長け、大振りせずにセンター中心に鋭い打球を飛ばす。まだ粗削りなところもあるが、ゆくゆくは中心選手になりそうだ。

7回裏小倉一死三塁 吉原の中犠飛で久保が生還

常磐のセカンド上嶋も軽快な動きをみせ、6回一死二塁ではライト線に落ちそうな飛球に俊足を飛ばして回り込み好捕。センター竹山も9回、元吉が放った中堅後方の大飛球を背走して最後はタイミングよくジャンピングキャッチするなど、好守で小倉の追加点を阻んだ。

足で魅せたのは小倉の柳屋と時松。いずれも三盗も含めて4つずつ盗塁を決めた。左打者の柳屋は6回、やや弱い当たりのショートゴロで内野安打を奪った。

勝負の行方は紙一重だった。11回裏は一死二、三塁で前進守備を敷いていた常磐内野陣が四球で満塁となったことで中間守備に変更したことで、小林の快心の一打はセカンドの守備範囲内に飛んだ。前進守備であれば逆転サヨナラの一打となっていたと思われ、最後は運も常磐に味方した。

常磐は先発メンバーのうち羽田野と竹山を除く7人が2年生。まだこれから伸びていきそうなチームだ。

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