九国大付は土浦日大に完封負けで初戦敗退~’23選手権大会




第105回全国高校野球選手権記念大会は大会7日目の12日(土)に2回戦4試合が行われ、第三試合に登場した福岡県代表の九州国際大付は土浦日大(茨城)に0-3で敗れ、昨夏に続く初戦突破はなりませんでした。

【試合経過】—————————-
土浦日大が3投手による継投で九州国際大付を無失点に封じ、数少ないチャンスを生かして競り勝った。

土浦日大は3回二死後、8番大井がチーム初安打となる左越え本塁打を放って先制。その後は走者を出せずにいたが、7回は2番太刀川が中前打で出ると、続く後藤の投手右へのドラッグバントがセカンドの逆をついて外野まで転がるヒットとなって無死一、三塁。4番香取が中前打を放って太刀川が生還した。なおも無死一、二塁から松田三振、塚原一飛で二死となったが、7番鈴木の時に後藤が三盗を決め、田端の暴投で3点目のホームを踏んだ。

九州国際大付は初回、四球で出た秀嶋を送って一死二塁としたが山口の遊飛で秀嶋が飛び出して併殺。4回は四球で出た2番隠塚が二盗を決めて無死二塁としたが、山口三振、佐倉二直、白井捕邪飛で得点できなかった。

5~8回も安打を放ったが後続が凡退。9回は4番佐倉が中前打、白井三振のあと浅嶋が中前に落として一、二塁。宮崎の一ゴロで二死二、三塁としたが、下川がニゴロ。土浦日大を上回る6安打を放ったが決定打を欠いて完封負けを喫した。

第105回全国高校野球選手権記念大会2回戦
(2023年8月12日・土/阪神甲子園球場)
チーム名 一二三四五六七八九 計HE
土浦日大 001000200 350
九国大付 000000000 060
 土浦日大  打安点  九国大付  打安点
(二)中 本 400 (右左)秀嶋 300 
(左)太刀川 410 (遊)隠 塚 210
(遊)後 藤 420 (中)山 口 310
(中)香 取 411 (一)佐 倉 410 

(一)松 田 400 (二)白 井 400
(捕)塚 原 300 (三)浅 嶋 410
(三)鈴 木 200 (左)宮 川 320 
(右)大 井 311  走左 宮崎 100
(投)小 森 100 (捕)下 川 300
打 赤 岡 100 (投)田 端 200
投 伊藤彩 000  打 太 田 100
打 江 成 100  投 下酔尾 000
投 藤 本 000
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
101032  3152  
73118 3160
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
田端  8 4193 小森  5 1320
下酔尾 1 1020 伊藤彩 2 2300
ーーーーーーーーーー 藤本  2 3200
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▼試合時間:1時間49分/観衆:30,000人

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福岡大会5回戦以降は4得点以下にとどまり、田端を中心に堅守で勝ち上がってきた九州国際大付。さらなるハイレベルの投手と対する全国の舞台では3-2、2-1などのスコアで競り勝つしかなかったが、1点もあげることなく姿を消した。

3投手の前にまともに打撃をさせてもらえなかった。6安打を放ったものの、その半分は外野の前に落ちるポテンヒットや詰まった当たりが幸いした内野安打。9回佐倉がセンター右への痛烈な当たりを放って面目を保ったが、走者を出しても得点の気配が漂ってこなかった。

土浦日大の先発は甲子園初登板の小森。立ち上がりから制球が安定せず、4回までに3つの四球を得た九州国際大付だったが、初回は一死二塁から山口のショート前への飛球が風に流されるのを見て二走の秀嶋が飛び出してしまい、佐倉に回ることなく攻撃終了。4回は無死二塁と絶好の先制機を得ながら中軸三人が凡退。佐倉のライナーはファーストのグラブをはじいたが、その打球をセカンドがダイレクトキャッチするという不運もあった。小森の140キロ超(この日最速145キロ)の高めの直球を振らされ、6回から登板した2番手伊藤には縦のスライダーに沈黙。8回からマウンドに上がった3番手の藤本にはチェンジアップを打たされた。

九国大付・田端(福岡大会・久留米商戦)

チームの勝利のカギを握った先発・田端は、立ち上がりから落ち着いた投球を見せた。3回大井に一発を浴びたが、6回まで許した走者はこの一人だけ。ストライクを先行させ、スライダーやチェンジアップを低めに集める見事な投球を見せて土浦日大打線を封じた。ただ7回に見せた土浦日大の攻撃が勝負を決定づけた。

この回、打撃好調の太刀川が中前打で出ると、続く左打者の後藤が投手右にドラッグバント。田端が捕れず、一塁に入ろうとしたセカンド白井が逆を突かれて外野まで転々とする間に太刀川は三塁へ。4番香取には、チェンジアップをうまく合わさせて投手足元を抜かれた。大井の一発も香取の適時打も0-2と追い込んでからの3球目。少し勝負を急いでしまったのが惜しまれる。続く無死一、二塁から二死までこぎつけて田端も踏ん張るが、土浦日大は香取が三盗を決めて揺さぶり、鈴木への4球目のスライダーがワンバウンドとなって捕手が後逸する間に決定的な3点目のホームを踏んだ。

九州国際大付は守りではこの試合も無失策。福岡大会を通じて8試合で失策が一つもなかったことは、特筆すべきことだ。この日もショート隠塚が再三にわたって堅実なプレーを見せるなど、田端の好投も含めて今年の九州国際大付の持てる力は発揮した。ただ全国レベルで勝つには、得点を奪う力が不足していた。

福岡県代表は夏の甲子園では今大会を含めて3大会連続で3点以上得点できておらず、5点以上を取ったのは2016年までさかのぼらなければならない。福岡には好投手は多いため春のセンバツではベスト8あたりまで勝ち進むことはできているものの、打力がものをいう夏の大会では2勝どころか、1勝するのがやっという状況が続く。2001年以降、夏の甲子園で2勝以上をあげたのは九州国際大付(2009、2015年)だけだが、その九州国際大付をもってしても近年は全国で通用しなくなっているのが現状だ。

代表校 1回戦 2回戦 3回戦
2023 九国大付 土浦日大0-3  
2022 九国大付 明徳義塾2-1 高松商1-2
2021 西短大附 二松学舎0ー2
2019 筑陽学園 作新学院3-5
2018
折尾愛真 日大三3-16  
沖学園 北照4-2 大阪桐蔭4-10
2017 東筑 済美4-10  
2016 九国大付 盛岡大付6-8  

例えばこの試合、土浦日大は9回も一死一塁から後藤が二盗を決めて4点目をうかがうなど、バントや盗塁をからめた攻撃を仕掛けて少ないチャンスを生かした。5~8回と一死あるいは二死から安打で走者を出しながら、後続の打者にそのまま打たせて凡打を繰り返した九州国際大付との違いが際立った。

好投手・西舘昂汰(専修大)を擁した2019年夏の筑陽学園も最後は作新学院の足攻めに屈した。打てなければ小技や足を絡めて得点を奪う幅広い攻撃パターンがなければ、夏の甲子園で勝ち上がるには難しいと改めて感じた。特に関東のチームは強打に加えて足を使った攻撃を仕掛けてくるチームが多いが、福岡でそうしたチームは皆無といっていい。タイプの異なる複数投手による継投も全国上位をうかがうチームでは当然となっているが、福岡ではエース頼みのチームが目立つ。

こうした戦術面への取り組みも含めて関西・関東、そして東北のチームとの差は年々開いていっているように感じる。

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