来年、期待の選手たち①(投手編~右投手)




 2016年の福岡の高校野球はすべての公式戦を終了しました。今年は春と秋の九州大会で福岡勢の決勝が実現、選手権大会は九州国際大付が55年ぶりの福岡大会3連覇を達成、明治神宮大会には福岡大大濠が出場して勝利を挙げるなど、話題の多い一年でした。2017年はまず福岡大大濠と東海大福岡のセンバツ出場によって幕をあけることになりそうですがその来年、活躍が期待される選手たちを、今年観戦した中から忘備録的にまとめておきたいと思います。
 昨年は梅野(九産大九産)、濱地(福岡大大濠)、藤本(九州国際大付)など速球派が多かった右投手ですが、今年も昨年に劣らず好投手が目白押しです。あくまで個人的な見解としてA~Cランクをつけていますが、球速は「A=最速140キロ~」「B’=同135~139キロ」「B=同130~134キロ」「C’=同125~129キロ」「C=同124キロ未満」、制球力は「A=一試合あたりの四死球0~2個」「B=同3~4個」「C=制球にやや難あり」、変化球は「A=切れ味抜群・三振も取れるウイニングショット」「B=ストライクがとれ目先を変える効果あり」「C=コースに決まれば効果あり」を目安にみていただければと思います。

◆三浦銀二(福岡大大濠)球速A/制球力B/変化球A%e5%a4%a7%e6%bf%a0%e3%83%bb%e4%b8%89%e6%b5%a64
 九州大会では大分商、鹿児島実、秀岳館と3試合連続完封。明治神宮大会でも明徳義塾を完封するなど、全国区の投手に成長しました。最速140キロ超の伸びのある直球を内外角低めに集め、鋭いスライダー、タイミングを外す大きなカーブで翻弄します。県大会では高めに浮く球も目立ちましたが、九州大会から神宮大会にかけて制球にも安定感が増しました。完璧に抑え込むというより、5~6本の安打、2~3個の四死球を与えながらも要所を締めて点を与えない、という投球スタイルです。スタミナもあり連投も利くタイプで、右腕では文句なしに県内ナンバーワンの評価といえます。

◆安田大将(東海大福岡)球速C/制球力A/変化球A%e6%9d%b1%e6%b5%b7%e7%a6%8f%e3%83%bb%e5%ae%89%e7%94%b02
 右サイドハンドから直球、スライダーを丁寧にコーナーに集めます。とにかく四死球を出さない投手で制球力は抜群。この秋は東海大福岡の試合を6試合見ましたが、その6試合で与えた四死球は6個のみ。球速は120キロ台半ばですが数字以上に速く見え、スライダーとの緩急で三振も取れます。走者を背負ってからも粘り強く投げ、打者に向かっていく闘志にも満ちています。連投となった準決勝再試合で完封するなど小柄ながらスタミナも十分。センバツでの活躍が期待されます。

◆中野裕斗(小倉)球速B’/制球力B/変化球A%e5%b0%8f%e5%80%89%e3%83%bb%e4%b8%ad%e9%87%8e
 昨秋は安定した投球で九州大会出場の原動力になりました。右打者への外角低めに直球と鋭く落ちるスライダーを集めるテンポの良い投球が持ち味です。今年は夏、秋とも4回戦で敗退。今秋は1試合(2回戦・慶成戦)を観戦しましたが、春まで130キロ台半ばだった直球の球威が、さらに増している印象を受けました。180センチ超と上背もあり経験も豊富なだけに、来年も注目される右腕の一人となりそうです。

◆橋本直樹(小倉工)球速B’/制球力C/変化球B%e5%b0%8f%e5%80%89%e5%b7%a5%e3%83%bb%e6%a9%8b%e6%9c%ac
 ワインドアップから軸足でしっかりとためを作り、130キロ台半ばの直球を投げ込みますが、スライダー、カーブといった変化球を割と多投する印象があります。秋季大会準々決勝の福島戦では1失点完投、準決勝の東海大福岡戦でも再試合を含めた2試合で3失点と好投しました。直球、変化球とも低めに厳しい球を投げてきますが、四死球は準々決勝で5つ、準決勝(1試合目)で7つとやや多かったでしょうか。低めへの制球に安定感が出てくると、さらに手強くなりそうです。

◆高木渉(真颯館)球速B’/制球力C/変化球B真颯館・高木2
 長身から角度のある直球を投げ込みます。直球は130キロ後半ですが、スナップもよく利いており球速以上に勢いを感じます。この直球がコーナーに決まると、打ち込むのは容易ではありません。今夏はベスト4進出したものの左腕の岡投手に救援を仰ぐ試合が多く、調子に波がある印象でした。準々決勝の北九州戦は3安打完封のベストピッチでしたが、この試合でも四死球は4つと、やや制球に不安を残します。すばらしい直球を持っているだけに安定した制球力がついてくれば、来年も上位進出の原動力になってくるでしょう。

◆遠藤駿太(久留米商)球速B/制球力A/変化球B%e4%b9%85%e5%95%86%e3%83%bb%e9%81%a0%e8%97%a4
 右サイドハンドから、右打者への外角低めに130キロ前後の直球とスライダーを集めます。この投手も四死球が少なく安定感があり、直球も低めによく伸びています。秋季大会準々決勝の東海大福岡戦では、中盤まで安田投手とサイドハンド同士の投げ合いを演じました。不運な当たりなどもあり逆転を許して6回途中での降板となりましたが、悪い内容ではありませんでした。安田投手とともに、右サイドハンドの双璧といえる存在です。

%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e3%83%bb%e5%be%8c%e8%97%a4◆後藤凌河(福島)球速B/制球力B/変化球C
 今夏、優勝候補・九産大九産を5安打に抑えて完投、大金星を挙げる立役者となりました。サイドハンド気味に始動するスリークォーターから、130キロ前後の力強い直球を投げてきます。夏に続き秋も背番号6で、3番ショートと攻撃でも要の選手。夏は先発が多かったですが、秋からはリリーフもこなしています。秋の準々決勝・小倉工戦では4回途中からマウンドに上がり、直球を中心に1失点。高めの直球で空振りを奪うシーンも多く、力投型の投手という印象です。チェンジアップ系の緩い球を交えていますが、この球がもう少しコーナーに効果的に決まるようになると、投球に幅がでてきそうです。

柳原2◆柳原優太(自由ケ丘)球速A/制球力B/変化球A
 140キロ台半ばの直球に、切れ味鋭いスライダーが武器。特に勢いのある直球が低めの厳しいコースに決まると、なかなか手が出ません。層の厚い自由ケ丘投手陣にあって、春・夏とも登板数は多くありませんでしたが、中学時代はNOMOジャパンにも選ばれた逸材であり、今夏は2年生ながら背番号1を背負うなど、期待の高さをうかがわせます。エースとしてチームを背負うと期待された今秋でしたが、登板はなし。チーム編成の中での一時的なことだとは思いますが、来年は当然中心となってくるでしょう。来春、どこまで成長しているか楽しみな選手の一人です。

◆有田光輝(光陵)球速B/制球力B/変化球C光陵・有田
 決して大きな体ではありませんが、全身を使っての躍動感あふれるフォームから、スナップをよく利かせ、伸びのある直球を投げ込んできます。背番号11でのぞんだ今夏は、初戦の古賀竟成館戦でこの直球を低めに集めて小気味よいピッチングを見せ、5回を2安打完封。粗削りなところはありますが、成長の余地を感じさせます。直球でグイグイ押してくるのが持ち味ですが、緩い変化球を効果的に織り交ぜることで、この直球がさらに生きてきそうです。

朝倉・濱田◆濱田航平(朝倉)球速B/制球力B/変化球B
 130キロ前半の直球と、100キロに満たない大きなカーブで緩急を使った投球を見せます。今夏は背番号11ながら2回戦の祐誠戦に先発、5回まで1失点の好投を見せました。走者を出してからも粘り強く投げ、牽制で一塁走者を二度刺すなど、落ち着いたマウンドさばきも披露しました。直球とカーブのコンビネーションが基軸となりますが、打者の目が慣れてくる後半にどうかわしていくか、ポイントになりそうです。

◆大川侑汰(博多工)球速C/制球力B/変化球B%e5%8d%9a%e5%a4%9a%e5%b7%a5%e3%83%bb%e5%a4%a7%e5%b7%9d
 サイドハンドの好投手の一人。小柄で細身ながら、切れのある直球を内外角に投げ分け、スライダーを交えながら打たせて取る投球を見せます。1年次から公式戦のマウンドに上がっていましたが、球威は確実に増しています。四死球も少なく、ある程度失点も計算できるだけに、打線の援護次第では上位進出も十分可能な力を持っていると思います。

%e8%8b%a5%e6%9d%be%e3%83%bb%e6%a0%97%e5%8e%9f◆栗原凌也(若松)球速B/制球力C/変化球C
 細身ながら、直球の球筋のよさが印象に残りました。観戦した夏の大会2回戦(嘉穂戦)では、変化球を交えながら際どいところを突いてきましたが、細かなコントロールに苦しみました。夏、秋と結果は残せませんでしたが、今後に期待したい投手です。




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