2014年7月5日 高稜6-5慶成

観戦レポート/第96回全国高校野球選手権大会 1回戦 (2014年7月5日・土/北九州市民球場)
慶成・永尾
慶成・永尾投手

TEAM   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  R H E  
慶 成   
   11 
高 稜        14 

 両チームが持ち味を遺憾なく発揮し、開幕試合にふさわしい好ゲームとなった。
 この試合、両校の得点パターンは明確だった。慶成はセンター中心にはじき返す打撃に、盗塁・犠打などの小技を絡めて得点につなげる、というものだ。小柄な選手が多く長打力はないものの、機動力でそれを補う攻撃といえる。11安打のうち10本までが単打で、このうちバントヒットが2本ある。初回は四球で出た田端雄がすかさず盗塁を決め、池田のタイムリーで生還。2回も四球と犠打、2本の内野安打に田端雄の左前打で小気味よくリードを広げた。

 

高稜・大野
高稜の2番手・大野投手

 一方の高稜は1番から4番までがよく振れており、上位打線で確実に得点を重ねる攻撃が生命線。14安打のうち1~4番で10安打5打点という数字がそれを物語っている。3回は1番・有田、2番・中尾の連打のあと、4番・小河内の左前適時打。5回はヒットで出た有田を中尾の犠打で進め、3番・松本のセンターオーバー三塁打と小河内の左犠飛で得点を重ねた。

 投手陣では高稜の先発・仲はフォームに躍動感が出た3回以降は立ち直った。5回に味方の失策から1点を失ったものの、6回まで我慢強く投げ、慶成に流れを渡さなかった。7回先頭打者のときに足がつって降板、流れが傾くかと思われたが、2番手の大野もよく投げた。がっしりとした体格から120キロ前後の直球を投げる。9回まで毎回スコアリングポジションに走者を背負ったが決定打を許さなかった。
 慶成の先発を務めた1年生の福田は二巡目以降に高稜の上位打線につかまり5回3点目を奪われたところで降板。エースナンバーをつけた永尾は6、7回と三人で抑える好投。上位打線を迎えた8回が勝負処だったが小河内に二塁打を許したものの後続を打ち取り、これで勝負あったと思われた。

 だが幕はまだ下りなかった。高稜逆転の狼煙を上げたのは、この試合初打席となった大野。豪快なスイングでレフトオーバーの二塁打を放つと9番・砂田が送り、得点圏に走者を置いてトップの有田に回す。有田の当たりは凡飛球と思われたが、ライト前に落ちて同点。再び1点を勝ち越された11回裏は7番・中野が四球で歩き、前の打席二塁打を打った大野。次打者がこの日3打数無安打の9番・砂田ということもあり打たせるかと思ったが、迷わず送り一死二塁。そして代打で登場した西脇が右中間を破って再び追いつき、逆転サヨナラにつなげた。
 慶成・永尾は球速こそ110キロ前後ながら低めに球を集めてよく抑えたが、最後につかまった。しかしこれは土壇場の高稜打線の勝負強さを褒めるべきだろう。悔やまれるとすれば、この日最初で最後となる四球を11回裏先頭打者に与えたことか。結果的にこの走者が同点のホームを踏むことになった。

 慶成は全体的に小柄な選手が多かったが、試合前のシートノックまでの時間も無駄にせず二か所に分かれてのノックをスピーディに行うなど、キビキビした動きが目を引いた。こうした周到な事前準備の心構えが1,2回の先制攻撃につながったとも言える。よく声も出ており、まとまりある好チームだった。この日の先発メンバーのうち実に7人が2年生以下。新チームに期待したい。

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