第135回九州地区高校野球福岡大会 北部2回戦 (2014年9月6日・日/光陵グリーンスタジアム)
  TEAM    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  11 12 13  R  H E
九国大付             6 
東海大五   
         16 
【九国大付】打安点 【東海大五】打安点
② 岩 崎 610 ⑤ 千々谷 630
⑧ 山 口 501 ④ 星 田 410
⑨ 脇 坂 400 ② 奥 田 522
⑥ 山 本 500 ③  林  521
④ 亀 谷 520 ⑦ 柴 田 620
⑦3宇 都 400 ⑧ 吉 末 510
③ 後 藤 200 ⑨ 松 野 531
7 溝 田 310 ① 田中大 500
① 富 山 412 ⑥ 吉 田 620
⑤ 吉 井 510          
振四犠盗残     振四犠盗残
863010      764312          
 ※公式記録とは異なる場合があります
 

【試合経過】
 九国大付・富山投手から16安打を放った東海大五が、終盤から延長戦にかけての凌ぎ合いを制してサヨナラ勝ちした。
 東海大五は1回、先頭の千々谷がセンターオーバーの二塁打を放ち、星田の犠打で三進すると、奥田が直球をライト前にはじき返して先制。3回には一死から星田が四球で歩き、奥田の遊ゴロで二進すると林がレフトオーバーの二塁打を放って2点目を挙げた。
 3回まで九国大付打線を無安打に抑えていた東海大五・田中は4回二死後、亀谷に粘られて四球を許すと続く宇都、後藤にも連続四球を与えて二死満塁。ここで富山に詰まりながらセンター前に運ばれて同点とされた。5回にも先頭の岩崎に中越え三塁打を許し、山口の中犠飛で逆転された。
 このまま九国大付のペースになると思われたが東海大五は6回に反撃。二死から吉末が右中間二塁打で出ると松野がショート左を抜く安打を放って同点に追いついた。
 7回以降は東海大五が押し気味に試合を進めた。7回は二死一、三塁、8回は無死二塁と勝ち越しの好機を作ったが、九国大付・富山が後続の打者をいずれも三振に打ち取る圧巻の投球。9回表には九国大付が一死二塁とチャンスを作ったが、田中も負けじと後続を断った。9回裏に今度は東海大五が一死一、二塁とサヨナラのチャンスを作ったが、奥田の一打が遊直となり、飛び出した二塁走者が戻れず併殺、延長戦に突入した。

 延長10回表、九国大付は一死から2つの四死球で再び勝ち越しの好機を掴んだが、後続が倒れて勝ち越しならず。11回表にも二死から吉井が二塁打を放ったが、岩崎が三ゴロに倒れた。延長に入ってから三者凡退が続いていた東海大五は12回裏、先頭の千々谷の二遊間への当たりを遊撃・山本が捕れずに体に当たって打球が外野を転々とする間に二塁進塁(記録は二塁打)。犠打で三塁まで進めたが満塁策をとった九国大付の前に、柴田が二飛、吉末も中飛に倒れた。
 そして迎えた延長13回、松野がこの日3本目の安打で出ると、田中が送り二進。吉田の投手前へのセーフティバントが決まって一死一、三塁となると九国大付は再び満塁策をとり、一死満塁。星田を三振に取った富山だったが、奥田に右前に運ばれて力尽きた。

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 九国大付の先発は甲子園のマウンドを経験した左腕・富山投手。生で見るのは夏の福岡大会決勝以来だったが1カ月少しの間に、体が全体的に大きくなった印象を受けた。直球のスピードも速くなった感じがする。ただ立ち上がりから細かな制球に苦しみ、ボールが先行するピッチング。1回、3回とストライクを取りに行った速球を痛打された。

九国・富山投手

【写真下=東海大五1回一死三塁。奥田が右前打を放ち先制点を挙げる】

奥田先制打

 東海大五は右腕の田中(大)投手。まとまった投球フォームからキレのある速球とカーブを投げる。投球フォームといい投球スタイルといい、前チームの粟田投手を彷彿とさせる。直球が手元で伸びているのか、九国大付の打者は差し込まれる場面が目立った。

東海大五・田中

 3回までまずまずの投球を見せていた田中投手だったが4回二死から亀谷に粘られて、最後は力んで四球を与える。これで肩に力が入ったが、その後も2者連続四球で満塁となり、続く富山に中前に力でもっていかれて同点を許す。【写真下=九国大付4回二死満塁、富山が中前打を放ち2者生還、同点とする】

富山同点打

 5回にも1点を失い逆転を許した田中投手だったが、打線が6回に追いつくと、その後は立ち直った。9回表は一死二塁のピンチを背負うが、最後は1番・岩崎を三振に打ち取り、バッテリーは思わずガッツボーズ【写真下】

東海大五バッテリー

 さらに10回表には一死一、二塁のピンチを招くが、5番・亀谷、6番・宇都を連続三振に打ち取り【写真下】、勝ち越しを許さない。

亀谷三振

宇都三振 九国大付・富山投手も7~9回と得点圏に走者を背負いながらも7、8回は後続を三振に打ち取り、9回は併殺で切り抜けた。12回も一死三塁のサヨナラのピンチをしのいだが、続く13回、満塁策も実らず奥田にサヨナラ打を浴びた。【写真下=延長13回裏二死満塁、奥田がサヨナラとなる右前打を放ち、三塁走者・松野が雄叫びを上げながらホームイン】

奥田サヨナラ打

松野生還

 東海大五打線は、富山投手の球威に負けなかった。1番から7番まで並んだ右打者が速球に逆らわず、反対方向に強い打球を打つ意識が徹底されていたように思う。特に大型選手もいないがコンパクトな振りで富山投手に16安打を浴びせた。1番打者の千々谷は俊足好打、果敢に次の塁を狙う走塁センスもある。7回には二盗を決めた後、ワンバウンドの投球を捕手が前にはじいたのを見ると迷わず走り、三塁を陥れた。

 九国大付では夏の福岡大会2本塁打の山本が4番に座ったが、5打数無安打1死球。軽く合わせただけで軽々と外野まで運ぶパワーは健在だったが、東海大五外野陣が深めに守っていたこともあり、外野の間を抜く打球を放てなかった。
 前チームではサードを守っていた山本だったが、新チームではショートに。だがどちらかというと俊敏性に欠け、腰も高く、率直に言ってショート向きではない気がした。実際、東海大五3点目となった松野のショート左への打球も、俊敏なショートであれば少なくとも追いつけていたように思う。延長12回、千々谷の二遊間への大きく弾んだ打球への反応も、すばやく前進してバウンドをあわせてさばくそれではなかった。体に当ててボールが外野に転がり、千々谷の好判断のあって二塁進塁を許す結果に。盗塁で二塁ベースに入る機会も二度あったが、いずれも捕手からの送球を落球。二度目(8回裏)はアウトのタイミングだっただけに、記録に残らない失策といってもよいだろう。いろいろ試している段階ではあるのだろうが、強い打球も体で止めて、強肩を生かして一塁で刺すサードの方が、個人的には合っているように思った。
 富山投手は再三のピンチを背負いながら、渾身の力で決定打を許さなかったあたりはさすが。特に8回無死二塁の場面では、三者連続三振に打ち取る圧巻の投球だった。ただ、まだ上半身の力に頼って投げている印象で、下半身をもっと使って腕が振れるようになるとさらに球速は上がりそうだ。