2014年7月15日 東福岡6-0九産大九州②

観戦レポート / 第96回全国高校野球選手権大会 4回戦 (2014年7月15日・火/小郡市野球場)
東福岡・浜田
東福岡・浜田投手

TAEM   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  R H E
東福岡           

九 州                 
【東】浜田-河野      (二)日野 
【九】清水、山形、永田-藤 (二)黒木 
  

 東福岡の強みは何かと言われたら、「負けそうにない」こと。そう言っては身も蓋もないが、例え序盤にリードを許したとしても、どこかで逆転しそうな落ち着きがある。選手がそれぞれの役割をわきまえ、葛谷監督の指示に全幅の信頼を置いているような雰囲気をベンチを見ていて感じる。

 この日も打線は、九産大九州の先発・清水の前に4回までノーヒットと苦しんだ。四死球の走者を3人出していたが、キレのある直球で追い込まれ、スピードを殺したカーブで打ち取られる場面が目立った。ただ東福岡は4回くらいから、右方向への意識が出てきたように見えた。この回一死二塁から日野、吉村がいずれも二ゴロに終わったが、敢えて右方向に打とうとした結果、詰まってしまった感じだった。そして5回、先頭の山田がカーブを振り切らずにセンター前に初安打。7回の佐藤のタイムリーも直球に逆らわずに一・二塁間にはじき返したものだった。焦らずに狙いを定めて、じっくりと攻撃する。腰の据わった攻めが、そう感じさせるのもしれない。

九産大九州・清水
九産大九州の先発・清水投手

 そんな攻撃ができるのも、守りが安定しているからだろう。この日の先発は左腕・浜田。奪三振5と派手さはないが、とにかく制球力が抜群で、与えた四球はわずかに1つ。スリーボールになっても確実に次の球をストライクゾーンに投げる安定感がある。これに大きなカーブを交えての投球が冴えた。九産大九州も時折いい当たりがあったが、野手の正面を突くシーンが多かった。コーナーにコントロールされているからだろう。

 複数の投手を抱え、どこからでも長打が飛び出す打線。総合力が高いゆえに、突出した選手を挙げることは逆にしづらいほど。個々のレベルが高い選手たちがベテラン・葛谷監督のもとで一体となった”大人のチーム”は、負ける場面を想像するのが難しいくらいだ。

 

東福岡・河野憤死
東福岡5回、楠八重の左飛で河野本塁突くが憤死

 九産大九州も、好守に洗練された好チームだった。清水は右打者7人を並べる東福岡打線に対し外角低めの直球がよく決まり、4回までノーヒット投球。ただ5回は初安打を許した後、河野にこの試合3つ目の死球を与えると、バントで送られた後に、佐藤に対して再び死球。この試合4つ目の死球ということで、東福岡ベンチからも盛んに野次が飛ぶ。動揺しなければ…と思っていたが、続く代打・久我に押し出しの四球を与えてしまった。8回途中、3失点で降板したが、先発の役割は十分に果たした。
 守備陣も無失策で清水を盛り立てた。5回は1点を許した後、なお一死満塁だったが、楠八重の左翼へのファールフライでタッチアップした三塁走者を刺して追加点を許さなかった。7回も1点を失い一死一、三塁のピンチが続いたが、遊ゴロ併殺で切り抜けた。降雨の影響で地面が緩い中、内野陣を中心にした確実なプレーが印象に残った。

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