【試合経過】—————————-
福岡大大濠を投打に圧倒した東海大相模が準決勝進出を決めた。
東海大相模は初回、福岡大大濠先発・馬場の立ち上がりを攻め、一死から綛田がセンター左を破る二塁打のあと、続く小島が中越え三塁打を放って先制。さらに二死後、5番百瀬の中前打でこの回2点をあげた。
2回にも8番深谷が右翼線二塁打で出ると、石田のバントは投飛となったが、1番門馬が左越え本塁打を放ち4-0。ここで登板した福岡大大濠・毛利からも綛田が右前打、ライトがファンブルする間に二進し、小島の中前打で生還。4番柴田も左翼線二塁打で続き、一死二、三塁から百瀬の左犠飛でこの回4点を追加した。
3回は二死から9番石田が四球を選び、門馬の中前打で一、三塁。ここで綛田が左前打を放ってリードを広げた。その後はしり上がりに調子を上げる毛利を打ちあぐんだが、8回一死後、門馬が左翼線を破る三塁打を放ち、綛田の左犠飛で生還。ダメ押しの8点目を入れた。
福岡大大濠は初回一死後、友納の三塁内野安打、山下の右前打で一、二塁としたが、川上が遊ゴロ併殺打に倒れて逸機。その後は東海大相模の先発・石田の前に1安打1四球に抑えられ、三塁を踏むことができなかった。
第93回選抜高校野球大会準々決勝 (2021年3月29日・月/阪神甲子園球場) |
一二三四五六七八九十計 HE 東海相模 241000010 8140 福大大濠 000000000 0031 東海相模 打安点 福大大濠 打安点 ◆投手成績 (左)門馬 532 (二)古川 400 東海相模 回安球振失 (二)綛田 432 (三)友納 410 石田 931140 (捕)小島 522 (遊)山下 410 (三)柴田 520 (捕)川上 200 (一)百瀬 312 (左)北嶋 200 福大大濠 回安球振失 (右)小平 510 打 井上 100 馬場 1.1 6004 (中)佐藤 300 左 山下 000 毛利 7.2 8154 中 加藤 100 (一)福沢 300 (遊)深谷 410 (中)松尾 300 試合時間 (投)石田 310 (右)永井 300 1時間40分 (投)馬場 000 投 毛利 310 振球犠盗残 打安点 振球犠盗残 打安点 51207 38148 141003 2930 |
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ロースコアで競り合いながら終盤勝負にかけたかった福岡大大濠だったが、3回までに11安打7失点。打線も3安打に抑えられる完敗で、福岡大大濠のセンバツが終わった。
先発は2年生右腕の馬場。雨で一日順延となりエース毛利の先発もあるかと思われたが、無理はさせなかった。
その馬場は立ち上がりから直球、スライダーとも高く、初回から東海大相模打線につかまった。スリークォーターから投じる直球は130キロ台前半。球威で勝負するタイプではないだけに、甘く入ってはなす術がなかった。2回一死二塁から門馬に真ん中高めの直球をライナーで左翼席に運ばれ、ここで降板。
これで福岡大大濠は、早くも毛利がマウンドに上がらざるを得なくなった。ただ、毛利も登板直後は球が高く、三連打と犠飛でさらに2失点。3回にも二死から1点を加えられ、大勢が決してしまった。まだ序盤ではあったが、東海大相模が3回までに見せた11安打8得点の猛攻は、福岡大大濠の戦意を削ぐのに十分だった。
打線は連打でつくった初回の一死一、二塁が唯一の見せ場だったが、4番川上が併殺に倒れると、2回以降は東海大相模の左腕・石田の前に14個の三振を奪われ沈黙。結局出した走者はわずかに4人で、直球、スライダー、チェンジアップと緩急をつけながら低めに集める石田の緩急自在の投球に、手も足も出なかった。全国トップクラスの投手に対しては、まだ実力差がある印象を受けた。
それでも毛利は4回以降、尻上がりに調子をあげ、6イニングスで被安打3の失点1。チェンジアップも低めに決まるようになり、ベスト8進出の原動力となった片鱗を見せた。内野陣も東海大相模の打者が放つ強烈な打球を堅実に処理して試合をつくった。センバツの3試合、現時点で持っている力は出し切ったと言えるのではないか。
県勢はこれで4年前の福岡大大濠と東海大福岡、2年前の筑陽学園に続く準々決勝での敗退。今回の福岡大大濠も「ベスト8の壁を越える」ことが目標だったようだが、全国上位を狙うためには、今日の石田クラスの投手から少なくとも2~3点は取れる打力の強化、毛利と並ぶエース級の投手育成などが必要になりそうだ。
特に、力のある複数投手の整備については、球数制限の規定もあってエース1人だけでの上位進出が難しくなっているだけに、どのチームにとっても欠かせないポイントになりそうだ。