福岡大大濠5-3(1-1=再試合)滋賀学園(第89回選抜2回戦)

初回から点の取り合いとなったが、5回に3番古賀の2ランで勝ち越した福岡大大濠が、三浦の力投で逃げ切った。

1点を追う福岡大大濠は初回一死後、平野が四球で出ると、古賀は右前打、東は中前打で続き満塁。ここで5番稲本が右中間二塁打を放って2点を奪い逆転した。同点に追いつかれた2回には、先頭の斎藤が四球で出塁し、樺嶋が送って一死二塁。三浦左前打で一、三塁とチャンスを広げ、久保田は右飛に倒れたが、平野が左前にタイムリーを放って勝ち越した。

再び同点に追いつかれた5回は、この回からマウンドに上がった2番手・宮城から一死後、平野が四球を選ぶと、続く古賀が左中間に本塁打を放ってリードを2点に広げ、このリードをエース・三浦が守り切った。

滋賀学園は初回、先頭の後藤が死球で出ると、小浜三振の時に盗塁を決め、一死二塁。知念の一打はショート前で大きく弾むヒットとなり、1点を先制した。2回には二死後、中前打で出た田井が二盗を決め、中西の右中間三塁打で生還して同点に追いついた。

5回にも、中前打で出た田井を中西が送り一死二塁。後藤三振のあと、小浜の左前打で再び同点に追いついた。しかし2点勝ち越された6回以降は1安打に抑えられ、追撃できなかった。

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2日前に200球近く投げた三浦投手。昨秋の九州大会では連投を二度経験するなど、スタミナがあることは実証済みとはいえ、この日は打線の援護が不可欠だった。その役割を果たしたのは、前の試合まで今一つ存在感を出せていなかった中軸だった。

滋賀学園の先発は前の試合で苦しめられた宮城、棚原ではなく、初登板の光本。前回抑えられたイメージの残る2人ではなかったことで、福岡大大濠にしてみれば、やりやすさがあったのかもしれない。その光本に対して初回、四球の平野を一塁に置いて、古賀、東、稲本の三連打で2点を先制。2回には下位で作ったチャンスを、2番平野がきっちり還す。そして5回は、待望の古賀の一発。疲労から本調子ではなかった三浦にとって、大きなプレゼントとなった。

そして2点のリードを奪った後は、三浦が気持ちを奮い立たせて6回以降を被安打1、与四死球2でまとめ、追撃を封じた。冷静沈着、ピンチでもポーカーフェイスでの投球が続くが、負けん気の強さで最後まで強気の投球を貫いた。

準々決勝は報徳学園、そこを超えれば準決勝は履正社と盛岡大付の勝者。過去2校と比べて、さらに実績・戦力を兼ね備えたチームが待ち受ける。しかも三浦は、3日で300球以上を投げており、仮に決勝まで勝ち上がれば4連投となる。控え投手は同じ右の徳原投手で、先発するとしたら次の準々決勝だろうが、昨秋は福岡大会からほぼ三浦が一人で投げているだけに経験不足は否めない。先を見据えて三浦を一度休ませるか、一戦必勝で次も三浦の右腕に託すか。難しい決断になりそうだ。

 

福岡大大濠・三浦、滋賀学園・宮城、棚原と、両校投手陣が持ち味を存分に発揮、走者を許しながらも決定打を与えず延長15回で引き分けた。

先制したのは滋賀学園。初回、真藤の中前打、小浜の左前打で出ると、後藤の投ゴロで一死二、三塁とし、武井が甘く入ったスライダーを中前に運んで真藤が先制のホームを踏んだ。2~4回は立ち直った三浦の前に三者凡退。5回は一死一、三塁の好機を作ったが、後続が倒れて得点を奪えなかった。

福岡大大濠は初回一死二塁、2回二死一、二塁、そして3回無死満塁の得点機を逃すと、4~7回は敵失の走者を一人出したのみに抑えられていたが、8回に反撃。この回先頭の久保田が左前打で出ると平野犠打、古賀四球で一死一、二塁。ここで4番東が投手足元を抜く中前打で同点に追いついた。だが延長に入ってからは12回、13回と先頭打者を安打で出しながら後続が続かず、力投する三浦を援護できなかった。

三浦は9回二死一、二塁、10回一死二塁、13回二死一、二塁、14回二死満塁、そして15回も一死二塁と、再三サヨナラ負けのピンチを背負ったが、後続を断って得点を与えず、196球を投げて完投した。

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しびれるような展開の中で、福岡大大濠・三浦投手が集中力を切らさず力投。バックもよく守り、再試合に持ち込んだ。

この試合も三浦投手は立ち上がり球が高く、3本の安打を浴びてあっさりと1点を先制された。しかし2回以降は、内外角の低めいっぱいに決まる直球を軸に立ち直り、2~4回は三者凡退。5回は一死一、三塁のピンチを背負ったが、ここをギアを上げて後続を打ち取ると、6~8回も3人ずつで片づけた。9回を投げて被安打7、与四死球1。初回を除けば、この日もほぼ満点に近い内容だったのではないか。

ただ、この日は打線がなかなか三浦を援護できなかった。惜しまれるのは、公式戦初登板となった滋賀学園・宮城から、序盤に再三のチャンスを掴みながら得点が奪えなかったこと。特に3回は久保田、平野の内野安打2本のあと、古賀もセンター前に落として無死満塁。ここで4番、5番を迎えるという絶好の場面が訪れたが、東が投ゴロ、稲本も投ゴロで1-2-3の併殺。
ここで得点を奪えなかったことで、宮城を8回まで持たせてしまった。それでも8回、東がこれまでの嫌な流れを断ち切る同点中前打は、4番の仕事というにふさわしい一打だった。

延長に入ってからは完全に滋賀学園のペース。疲れの見え始めた三浦は10~15回だけで5つの四死球を与えるなど、再三サヨナラのピンチを背負った。だが、ここぞという時の精神力はさすが。延長に入ってからも144キロを計測するなど、スタミナのあるところも示した。そして守備陣、特に内野は集中力を切らさず、打球を確実に処理した。打線は東の同点打の直後、マウンドにあがった2番手・棚原を打ちあぐみ、7回3分の2イニングスを4安打に抑えられた。高めの球に手を出しての飛球が目立ち、このあたりは修正して次に臨みたいところ。

さて再試合。当初は翌日の第4試合に組まれていたが、この後に行われた高崎健康福祉大高崎―福井工大福井も再試合となったため、日程が一日伸びて2日後の第一試合となった。一人で投げぬいた三浦投手にとっては、疲労回復につながる大きな一日が手に入ることになった。
連投も利き、スタミナもある三浦投手だが、神経をもすり減らしながらの延長戦の投球だっただけに、どこまで疲労が抜け切れるか。この日のように140キロ前後の直球が内外角低めいっぱいに決まるようだと、大きく失点することはないだろう。分かっていてもなかなか打てない球だけに、この制球力と球の切れが戻るまで疲労が回復すれば、再び好投も可能だろう。

一方の打線は、最後まで棚原をとらえ切れないまま、試合が終わった感が残る。次の試合も今日のように宮城、棚原の継投は十分考えられるだけに、棚原が出てくるまでに早く得点を奪いたいところ。1番久保田はこの日も3安打と当たっているだけに、中軸の復調が待たれる。

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