【九州国際大付10-9大阪偕星(第97回選手権2回戦)】 | 記録 |

【九州国際大付10-9大阪偕星(第97回選手権2回戦)】

<試合経過>——–
 熾烈な打撃戦が展開されたが、本塁打3本などの長打攻勢をみせた九州国際大付が、終盤までもつれる試合をサヨナラ勝ちで制した。

 4点を追う九州国際大付は3回一死後、8番・中山がチーム初安打となる右中間二塁打で出塁。中村の四球と吉井の中前打で満塁とすると、2番・山口のセンター左への犠飛でまず1点。なお二死一、二塁から3番・岩崎がセンター後方へ本塁打を放って一気に同点とした。5回には9番・中村の代打・尾仲が四球で出ると、続く吉井の中前打で無死一、三塁。山口が右翼ポール際に犠牲フライを上げて勝ち越しに成功すると、岩崎も中前打で続き一死一、二塁とし、4番・山本の左越え3ラン本塁打でこの回4点を挙げて、8-4とリードを広げた。
 その後、逆転を許したが7回二死から山本が二打席連続となる本塁打を中越えに放ち再び同点に追いついた。同点で迎えた9回裏は先頭の富山が一ゴロ失で出ると捕逸で二進。吉井が送って一死三塁のチャンスを作り、山口がセンター左にはじき返して勝負を決めた。

 先手を取ったのは大阪偕星。1回、先頭の姫野が左前打で出ると戸嶋が送り、西岡の死球で一死一、二塁。田端は二飛に倒れたが、5番・岸が三遊間を破って先制。本塁送球の間に一塁走者、打者走者もそれぞれ進塁した二死二、三塁から、福田が三塁前にセーフティバントを決めてこの回2点を挙げた。3回は一死から岸、福田の連続死球で九国大付・中村一、二塁とし、7番・浜口が高めの直球を左中間に運ぶ二塁打で2点を追加し、九州国際大付の先発・野木をノックアウトした。
 逆転された6回はこの回からマウンドにあがった九州国際大付の3番手・富山を攻め、一死から戸嶋が右前打で出塁。西岡中飛のあと、田端が左前打でつなぎ、岸の中前打でまず1点。福田四球で満塁とすると、浜口も押し出しとなる四球を選んで2点目。さらに光田が左中間を破って2者が生還、同点に追いついた。7回には姫野が左越えに本塁打を放って勝ち越したが、左腕・光田が九州国際大付の追撃を抑えきれなかった。

▼2回戦(13日・甲子園)
大阪偕星 202 004 100= 9
九国大付 004 040 101=10
【大】光田 【九】野木→中村→富山

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 福岡大会の初戦(筑豊戦)以来、鳴りを潜めていた九州国際大付打線が、永い眠りから覚めて暴れだした。福岡大会期間中、不完全燃焼だった各打者が甲子園という大舞台で「覚醒」した。そんな印象を抱いた大阪偕星との一戦だった。

 甲子園で勝ち進むチームは、甲子園の独特の雰囲気に乗せられ、持っている力以上のものを発揮することがある。「選手たちが一戦一戦成長しています」という言葉を監督が口にすることがあるが、九州国際大付の場合は「成長」というより、もともと持っていた能力が目覚めた、つまり「覚醒した」という表現の方がしっくりくる。ただ、この先はさらにいい投手が待ち受けている。これまでのような大量得点は容易には望めまい。その意味でも、投手陣の踏ん張りが不可欠だ。

 大阪偕星戦で先発した野木投手は3回持たずにKОされた。2番手としてマウンドにあがった1回戦でも全体的に球が高く、右打者の外角低めいっぱいに伸びのある直球が決まっていた福岡大会に比べて、制球力に狂いが生じている。短期間での修正は難しいかもしれない。富山投手は1回戦はまずまずだったが、大阪偕星戦は気負いすぎて肩に力が入っていたように見えた。リリーフより先発した方が力が発揮できるタイプか。甲子園初登板ながら、野木投手をリリーフして2回を無失点に抑える好投を見せた中村投手は調子がよさそう。3回戦以降は、富山・中村の両左腕を中心とした組み立てになってきそうだ。

 3回戦の相手・作新学院は予選から7試合を戦ってすべて2桁安打。甲子園初戦となった上田西戦では17安打の猛攻を見せた。強打が持ち味だが、三振も少なく機動力を使ってくる。打力だけでなくチームとしての完成度が高く、スキのなさを感じさせる。2回戦と同様、点の取り合いは避けられそうもない。作新学院も倉井、有田の2投手の継投で勝ち上がってきており、両校の投手陣の出来がカギを握りそう。

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