【盛岡大付8-6九州国際大付(第98回選手権1回戦】 | 記録 |

【盛岡大付8-6九州国際大付(第98回選手権1回戦】

▼1回戦(7日・甲子園)
盛岡大付 201 101 012=8
九国大付 301 000 110=6

<試合経過>
 盛岡大付14安打、九州国際大付12安打と両校自慢の打線が力を発揮した打撃戦は、9回に本塁打で勝ち越した盛岡大付に軍配があがった。

 同点で迎えた9回、盛岡大付は一死後、2番・菅原が左翼スタンドに本塁打を放って勝ち越し。二死後、三ゴロ失で二塁まで進んだ4番・塩谷安永本塁打が、暴投で三進。ここで5番・伊藤が左前打を放ってさらに1点を追加して突き放した。
 先制したのも盛岡大付。初回一死後、菅原がセンター右への二塁打で出ると、続く植田はセンター後方のフェンスを直撃する二塁打、タッチアップの構えを見せスタートが遅れた二走は三塁でストップし、一死二、三塁。塩谷三振のあと、伊藤がライト前に2点タイムリーを放って先制した。1点を追う3回は1番・石橋が中前打で出ると、続く菅原の右前打で三塁を狙ったが、ライトからの好返球に刺され一死一塁。植田三振のあと、塩谷がセンター左への二塁打で、スタートを切っていた菅原が一気に本塁を突いて追いついた。
 再び勝ち越された4回はこの回先頭の6番・小原がライトポール際にライナーで飛び込む本塁打を放って同点。6回は一死後、四球で出た小原が盗塁を決め一死二塁とし、7番・途中出場の野坂がセンター後方を襲う二塁打で勝ち越した。追いつかれた8回には一死から小原がセカンド左への内野安打、野坂一邪飛のあと、8番・比嘉が右翼線二塁打で三たび勝ち越すなど、常に先手を奪う試合運びを見せた。

 九州国際大付は初回一死後、山脇が中前打。石橋三振の時に二盗を決めて二死二塁から、4番・渡辺がライト前に落としてまず1点。さらに尾仲適時打5番・安永がセンターバックスクリーンへの2点本塁打で逆転に成功した。追いつかれた3回には、渡辺が左中間を破る二塁打で出ると、安永左飛のあと、6番・尾仲がセンター前にはじき返して勝ち越した。
 4~6回は盛岡大付の二番手・三浦を打ちあぐんでいたが、7回一死後、四球で出た石橋が渡辺の投前ゴロで二進すると、安永の中前打で追いついた。8回も中前打で出た7番・藤本を送り、9番・鳥井も中前打で一死一、三塁とし、三浦の暴投で藤本が生還して同点とした。さらに中山四球、山脇も投手への高いバウンドが内野安打となり一死満塁としたが、後続が倒れ勝ち越せなかった。9回も安永が振り逃げが出ると二死後、永岡が右翼線ぎりぎりに落ちる二塁打を放って一打同点の好機を作ったが、鳥井の強い当たりはサード正面へのゴロとなり、あと一歩及ばなかった。


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 九州国際大付にとっては福岡大会の西短大付戦、自由ケ丘戦などで経験してきたような点の取り合いとなり、ある意味予想通りの展開だったに違いない。ただ、相手の打線が福岡大会で対戦してきたチームより上回っていたこと、盛岡大付の2番手・三浦投手が4~6回と無安打に抑えて流れを作ったのに対して、九州国際大付は藤本投手が9回途中まで投げ続け、小刻みに失点したことが勝敗をわずかに分けた。

 藤本投手は2本塁打、5二塁打と7本の長打を浴びたが、ほとんどが高めに浮いた直球を痛打された。恐らく盛岡大付は藤本投手の直球が浮く傾向にあることを掴んでおり、そこに狙いを絞っていたのだろう。スライダーを使い始めた中盤やや立ち直り、連打は許さなかったが、長打で失点を重ねた。3人の完投能力ある投手を揃えていた昨年であれば、先発投手が不振とみれば、2番手、3番手とつぎ込むことができたが、今年は大事な試合では藤本投手が一人で投げてきたチーム。8強進出した前年と比べて投手陣の薄さを露呈した試合となった。

 それでも打線は鋭い打球で12安打を放ち、全国レベルであることを印象づけた。春先から、夏にかけての打力向上は目を見張るものがあり、夏に向けて仕上げてくる楠城監督の手腕が改めて脚光を浴びる形となった。同時に、甲子園メンバーの18人には1年生を3人入れ、投手も2年生の前田を選んだあたり、すでに4連覇に向けた布石を打っていると言えそうだ。

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