西短大附が小技を絡めた攻撃で福岡工を突き放し、連覇に王手をかけた。
▼準決勝(25日・久留米)⇒試合記録
福岡工 000 010 010 =2
西短大附 001 040 10x =6
【福】稲田→松尾 【西】原
西短大附は3回、8番小川が左前打で出ると原が送って一死二塁。奥が三塁前にセーフティバントを決めて一、三塁とし、井上の中犠飛で先制した。
同点に追いつかれた直後の5回は一死後、小川の一塁前セーフティバントが決まり原が送って二死二塁から、奥が左中間に落とす二塁打を放ち勝ち越した。さらにけん制悪送球で奥が三進。ここで登板した松尾から井上が死球で出塁したあと斉藤のライト右への二塁打で奥が生還した。なおも二死二、三塁から佐藤の左前打で2人を迎え入れ、この回4点をあげて突き放した。
7回は一死後、右越え二塁打で出た井上が斉藤の左前打で還り、リードを広げた。

福岡工は5回二死後、8番前田が四球を選び馬場の左前打で一、二塁とすると、川﨑の右前適時打で同点に追いついた。5点を追う8回は一死から川﨑が三塁ベースに当たる左安打で出塁。西嶋三振のあと、井田の左中間三塁打で1点を返した。
しかし反撃もここまで。9回は三者凡退に終わり、西短大附の先発・原を攻略するには至らなかった。
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福岡工の先発は背番号10の稲田。4回戦の折尾愛真戦、5回戦の久留米商戦に続く先発で、いずれも4回途中まで投げて試合をつくり後続の投手につないでいる。130キロ前後の直球(この日最速135キロ)にスライダー、カーブを交えるオーソドックスなタイプの右腕だ。
西短大附は初回、奥が敵失で出ながら井上がスリーバント失敗、斉藤は外角直球を見逃し三振、さらに奥が二盗失敗と、ちぐはぐな形で攻撃を終了。2回も安田が右前打で出たが山下、湯山がいずれも直球に差し込まれて打ち取られるなど無得点。ペースを握れずにいた。
流れを引き寄せたのは小技からだった。3回一死二塁で打席に立った奥はバットを立て気味にして三塁線ギリギリに転がすセーフティバント。サード馬場も素早い動きで処理したが間一髪セーフとなり、井上の先制犠飛につなげた。

同点に追いつかれた直後の5回も一死から、右打者の小川が一塁前に転がす。虚を突かれた稲田のベースカバーが一瞬遅れ、小川が頭から滑り込んでセーフ。犠打で二進すると、奥はスライダーにバットを合わせただけ、浅い左飛かと思われた。しかし左から右に吹く強い風に押し戻されて打球は左中間方向に流れ、レフト松尾が懸命に飛びついたが及ばず、幸運な二塁打となって小川が生還した。二塁けん制が乱れて奥が三進したところで、レフトから松尾がマウンドに上がった。

エースを投入しこれ以上の失点を防ぎにかかった福岡工だったが、登板直後の松尾にはやや力みが見られた。井上に死球を与えると、西短大附の中軸に真っ向勝負を挑んだが斉藤には131キロの直球をライト右へ、佐藤にはこの日最速の139キロをレフト前に運ばれる。4点差となって西短大附が安全圏に逃げ込んだ形となった。

西短大附の先発は原。4回戦の北九州市立戦以来の登板で中8日と休養も十分。120キロ台なかばの直球(同129キロ)にスライダーを外角低めに集めて好投した。コース、高さともギリギリのところに決める制球力にはスタンドからもたびたび嘆息が上がるほど。エース中野も抜群の制球力を誇るが、「左の中野」といってもよいくらいの精度だった。
この日は遊ゴロが9つもあったが、そのうち7つまでが右打者。外角のスライダーをひっかけさせ、内角の直球で詰まらせた。5回二死から四球と連打で同点とされ、なおも二死一、三塁の場面が最初で最後のピンチだったが、冷静に西嶋をスライダーで三振に打ち取った。被安打5、与四死球2の内容で、打線の援護もあって危なげなく投げ切った。
バックも好守で原を盛り立てた。ショート井上がさばいた9つのゴロの中には三遊間の弱いゴロもいくつかあったが、俊敏な動きと強肩でことごとくアウトにした。ショート周辺のゴロはまず安心して見ることができ、そのプレーは県下最強と呼ぶにふさわしい。
ファースト佐藤も一塁線寄りの難しいバウンドに対し、すばやく正面に入って好捕するプレーがあった。大型の野手だが動きも非常によい。中野、原とも打たせて取るタイプの投手ということもあってか、守備は本当によく鍛えられている。走攻守すべてにおいて隙がない戦いぶりで、3季連続の甲子園に王手をかけた。

福岡工・稲田の好投も光った。5回途中まで被安打5、四死球はゼロ。制球のよさを生かし前半互角の展開に持ち込んだ。それだけに打線が早い段階で援護したかったが、コーナーを丹念に突く原を最後まで攻略できなかった。その中でも5回の川﨑のタイムリーは、外角低めの厳しい球をライト前に鋭くはじき返した見事な一打。8回も井田が左中間を深々と破るタイムリーを放ち、力のあるところを示した。
この日5試合目の西短大附に対し、福岡工は7試合目。投手を中心に疲労の差もあったと思う。それでもこの日登板のなかった松岡、拜生らを含めた投手陣を赤川を軸とする打線が支え、ベスト4に勝ち残って今大会の「公立最強」を証明した。


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