【観戦記】小倉商2-1育徳館(選手権福岡大会3回戦)




終盤の数少ないチャンスを生かした小倉商が、昨秋の準優勝校・育徳館を破った。

▼3回戦(11日・光陵GS)⇒試合記録
育徳館 000 001 000 =1
小倉商 000 000 11x
=2
【育】島【小】清水

1点を追う小倉商は7回、4番下田が三ゴロ悪送球で出塁すると清水が送って一死二塁。田中は投ゴロに倒れたが、土澤の右前適時打で追いついた。続く8回は9番内田が三塁前にセーフティバントを決め、打者熊本の時に捕逸で二進。熊本が送って一死三塁としたあと高戸が右前に適時打を放ち、これが決勝点となった。

8回裏一死三塁 高戸がライト前に決勝タイムリーを放つ

前半は育徳館が押し気味に試合を進めた。2回は4番隅田の右中間二塁打と2つの四死球で一死満塁としたが、8番村上が二ゴロ併殺打。5回は一死後、村上が左翼線二塁打で出ると暴投で三進し、山辺の左飛でタッチアップを試みたが本塁で憤死するなど、好機をつくりながら得点できなかった。

ようやく6回、1番高瀨が中前打で出ると二盗を決め、小森の中前打で無死二、三塁(小森も送球間に二進)とし、山下の左前打で先制した。しかし続く無死一、三塁で追加点が奪えず、力投を続けてきた島が終盤に小倉商に逆転を許した。

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小倉商・清水

夏の大会初戦でシード校が敗れる典型的な試合。そう言ってもいいかもしれない。再三の好機に点が奪えず、終盤に相手にワンチャンスを生かされる。この日の育徳館もそうだった。

小倉商の先発は左腕エースの清水。目を見張るような球を投げるわけではないが直球、スライダーを低めに集める。特に左打者の外角低めに決まる球はコース・高さとも申し分なく、育徳館の左打者がこれを打つのは相当厳しそうだった。

それでも右打者でチャンスはつくった。2回は隅田が直球を右中間深くに運び、2つの四死球で一死満塁。村上の一打は当たりは悪くなかったが、中間守備を敷いていたセカンド左へのゴロとなり痛恨の併殺打。5回は一死から村上が三塁線を破り、暴投で三進すると山辺の浅い左飛で思い切って本塁を突いたが、内田の好返球に阻まれた。

6回は高瀬が0-2から高めの釣り球をセンター前にはじき返すと、続く小森がバントを2球続けてファールにしたところで思い切って二盗を仕掛ける。タイミングはアウトだったが、ボールがこぼれてセーフ。重圧から解放された小森がバントの構えから強打に転じ中前に運ぶと、山下は外角に逃げるスライダーを当てるだけの一打になったが、これがレフト前に落ちる。ようやく育徳館に1点が入り、流れを引き寄せたかにみえた。

6回表育徳館無死二、三塁 山下が先制の左前適時打を放つ

しかし続く無死一、三塁から隅田投ゴロ、島三振、荒津二ゴロで追加点が奪えない。清水が中盤から多投しはじめたカーブにタイミングがあわず、三人はいずれもカーブで打ち取られた。結果的にここで1点で終わったことが、最後まで響くことになった。

育徳館・島

育徳館の先発・島も6回まで散発3安打、無四球でゼロを並べた。右打者8人が並ぶ小倉商打線に対して内角を直球で厳しく突き、変化球でタイミングを外して打ち取っていく。初回と4回に二死二塁と得点圏に走者を背負ったが、後続を断つ。昨秋から何度も見せてきた粘り強い投球は健在で、1点を先制した段階でこのまま守り切れそうな雰囲気だった。

ただ、小倉商は序盤から島の直球に絞り、ヒットにならずとも芯で捕らえていた。さらにピンチをしのいだ数に比例してベンチから「いける」という声が大きくなっていった。その気迫が育徳館に重圧を与えたのか、7回先頭の下田は平凡な三ゴロだったが、サードからの一塁送球が乱れてしまう。清水が初球でバントを決めると田中は投ゴロに倒れたが、土澤も初球の外角直球をライト右に運び同点。ファーストストライクから狙っていく思い切りのよい攻撃が実り、これで流れが小倉商に傾いた。

続く8回は内田が初球を三塁前にセーフティバント。この時、強い風が吹いて内野の砂が舞い上がり、サードの打球処理に影響があったのかもしれない。砂塵の中を内田は一塁にヘッドスライディング、タイミングはきわどかったがセーフ。熊本の2球目を隅田がはじいて横にそらす間に内田が二進(記録は捕逸)。熊本が送って一死三塁となって、前の打席で右前打を放っている高戸に打順が回ってきた。高戸は1-1からファールで2球粘った後、前の打席を再現するように再びライト前に鋭くはじき返し、ついに逆転。9回表、育徳館の攻撃はわずか4球で終わった。

7回裏小倉商二死二塁 土澤がライト右へ同点適時打を放つ

直球を右方向へ。小倉商にはこの意識が徹底されていたように見えた。土澤、高戸のタイムリーはいずれも右前打。チームで放った6安打のうち4本が右方向へのヒットだった。対して育徳館はカーブ、スライダーと変化球を打たされ、清水の術中にはまった感があった。

小柄な選手が多く、剛球を投げる投手もホームランバッターもいない。それでもチーム一丸となって持てる力を十二分に発揮して得た見事な勝利。試合終了後は、随所で感涙にむせぶ小倉商ナインの姿があった。

 

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