【観戦記】西日本短大附6-5東筑(選手権大会準決勝)

【西日本短大附6-5東筑(選手権大会準決勝)】

7回表西日本短大附二死二塁、春山の中前打で吉永が決勝のホームイン

 両チームに守備の乱れなども出て点を取り合う展開となったが、7回に勝ち越した西日本短大附が江崎の力投で、東筑の追撃をかわして逃げ切った。
 西日本短大附は5-5の同点で迎えた7回、一死から7番吉永が右前打で出塁。ここで救援に立った東筑2番手の和久田から江崎が送りバントを決め、春山が中前打を放って吉永が生還、これが決勝点となった。
 先手を奪ったのも西日本短大附。3回、1番近藤が右前打、鍛冶も中前打で続き、今村の中飛で一死一、三塁。神宮が四球を選び一死満塁から高浪のニゴロで二塁封殺を狙ったトスが乱れる間に2者が生還。なおも一、三塁から一塁けん制が乱れて神宮が還って3点目。宇郷死球、吉永四球で再び一死満塁とし、8番江崎がセンター前に落として4点目をあげ、さらに春山のニゴロ(二塁封殺)の間に宇郷が還ってこの回5点をあげた。

 東筑もその裏、一死から9番大森の遊ゴロが一塁悪送球を招き出塁すると、続く手嶋がライトの左を破る三塁打を放って大森が生還。植田三飛のあと、江藤のニゴロをセカンドがはじく間に手嶋も還ってこの回2点を返した。5回は8番友廣が中前に落とすと、大森のショート左への内野安打、手嶋の右前打で無死満塁とし、植田の左前適時打で2点差に。6回は一死から6番岩橋が中前打。藤原三振のあと、友廣がライト左を破る三塁打でまず1点。続く大森の左前打で同点に追いついた。
 しかし、6回なおも続いた無死満塁の好機で勝ち越せず、7回以降は、西日本短大附・江崎の前に三者凡退に抑えられて涙をのんだ。

▼準決勝(28日・久留米)
西短大附 005 000 100 =6
東  筑 0
02 012 000 =5


西日本短大附・江崎

 中盤にかけて激しく点を取り合い、東筑が得意とする試合展開に持ち込んだかに見えたが、西日本短大附・江崎が粘りの投球を見せて追撃を断ち切った。
 西日本短大附は3回、近藤が見逃せばボールという高めの球を叩いて右前に運ぶと、鍛冶はバントの構えから一転強打、センター前に運ぶ。その後、一死満塁から高浪の二ゴロをバックトスした二塁送球が大きく逸れて2者が生還。さらにけん制悪送球、江崎の完全に詰まったポテンヒット、春山の内野ゴロと続き、一挙5点。ミスが重なっての大量失点に、東筑は戦意喪失してもおかしくなかった。
 だがその裏、西日本短大附は名手・近藤が何でもない遊ゴロを一塁低投し、直後に手嶋の三塁打が飛び出す。江藤のニゴロもバウンドを合わせそこなったか、鍛冶が前にこぼしてしまい2点を失う。西日本短大附もミスにおつきあいして、東筑の闘志を呼び起こすことになる。

東筑の先発・藤原

 東筑は5回、先頭の友廣がスライダーをうまく拾って中前に落とすと、大森はバントの構えから強打、ショート左を襲い、近藤が飛びついてはじくのが精いっぱいの内野安打。手嶋、植田も連打を浴びせて1点を返して2点差とし、なおも無死満塁で中軸を迎える絶好のチャンスをつくった。ここで江崎が江藤を二飛、和久田を4-6-3の併殺にとってしのいだが、6回にも3本の長短打を許して遂に同点に追いつかれる。

東筑の2番手・和久田

 流れは完全に東筑だったが、追いつかれた直後の7回、西日本短大附は二死二塁から春山が東筑2番手の和久田からしぶとくセカンドの左を破って勝ち越し。ここまでの試合展開から1点差では全く予断を許さない雰囲気だったが、ここから西日本短大附の粘り強さが発揮された。7回一死から江藤に対して3-0とカウントを悪くした江崎だったが、落ち着いてストライクを2つ取り、左邪飛に打ち取る。和久田の遊ゴロで近藤の一塁送球は低かったが、ショートバウンドをファースト今村がうまくさばいて出塁を阻止。一人でも走者が出ていれば、また雰囲気が変わる可能性があったが、8回、9回とも三人ずつで打ち取って東筑に追撃の雰囲気を作らせなかった。

 東筑は2日前の自由ケ丘戦で150球近くを投げた藤原が先発。初回から2つの四球を出すなど、疲れの色は隠せなかったが、5点を失った後も気持ちを切らさずに踏ん張り、味方の反撃につなげた。和久田も春山に決勝打を許したものの、この1年ほどんど実戦登板のない中でよく投げた。打線も5・6回に7安打を集めた迫力ある集中打で追いつくなど力を十分に発揮したが、最後は江崎の気力、技術が一枚上だった。
 


 

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