福岡の高校野球

【観戦記】福大若葉3-2香椎(選手権福岡大会2回戦)

引き締まった投手戦が繰り広げられ、終盤に再逆転した福大若葉が香椎に競り勝った。

▼2回戦(9日・オクゼン不動産BS)※試合記録
香  椎 000 000 200 =2
福大若葉 000 010 20x
=3
【香】和田→濱田【福】浦野→井上

7回表に逆転を喫した福大若葉はその裏、1番櫛島が二塁内野安打で出塁。藤岡のバントは捕飛となったが続く本夛が左翼線二塁打を放って一死二、三塁とし、4番佐藤の左前打で追いついた。なおも一死一、三塁から途中出場の湯脇が左前打を放って本夛が生還、これが決勝点となった。

7回裏 福大若葉 一死一、三塁 湯脇が決勝の左前適時打を放つ

先手を取ったのも福大若葉。5回9番井上が右中間二塁打で出ると、櫛島の二ゴロで三進。藤岡四球のあと、本夛が中前打を放って先制した。

1点を追う香椎は7回二死後、9番森が四球を選んだあと山下がライト左を破る二塁打を放ち、一塁から森が生還して同点。なおも二死二塁から下瀬がセンター右へのヒットを放ち逆転に成功した。

再び1点を追う9回は一死から8番濱田が右前打を放ったが、後続が凡退。粘り強く戦ったが、1点及ばなかった。

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一つ一つのプレーが勝敗を左右する。1点をめぐる攻防が繰り広げられた終盤は、そんな緊迫感に包まれた。

福大若葉・浦野

福大若葉の先発は1年生左腕の浦野。長いリーチを生かして直球を中心に放り込んでくる。立ち上がり左前打、死球、捕逸でいきなり無死二、三塁のピンチを招いたが、ここで崩れないのがスーパールーキーたるゆえん。直球のギアを上げて吉郷を浅い左飛に打ち取ると4番江藤は三球三振。最後は外角低めいっぱいに投げ込まれた137キロの直球に、江藤は手が出なかった。5番田島はこの日最速の138キロの直球で中飛に仕留め、涼しい顔でベンチに引き上げる。

2回からは球速を130キロ前後に抑えながらアウトを重ねていく。軽々と投げ込みながら手元でピュッと伸びるような印象で、2~3回にかけては5者連続三振を記録。それでいてギアを上げると140キロ近くまで上がり、変化球(スライダーとチェンジアップか)を交える。4回まで被安打2、奪三振6。5回先頭の川崎に四球を与えたところで降板したのは、先々を見据えての判断だろう。

香椎・和田

香椎の先発は背番号10の和田。120キロ台後半(この日最速132キロ)の直球にスライダー、チェンジアップと縦の変化に秀でた左腕だ。立ち上がりは変化球が決まらず初回一死一、二塁、2回二死一、二塁とピンチを迎えた。それでも初回は4、5番を連続三振。2回セカンド川崎の好守に救われて無失点で切り抜ける。3回以降は変化球が低めに集まり始め、走者を出しながら要所を抑えていく。6回までに6安打4四死球を出しながら1失点でしのぎ、味方の反撃を待った。

福大若葉・井上

福大若葉は5回途中からエース井上がマウンドへ。130キロなかばの直球(同140キロ)にスライダー、カーブを交える経験豊富な右腕。昨夏の4強進出にも貢献したが、この日はスライダーの制球に苦しみボール先行の投球となった。6回二死二、三塁は何とかしのいだが、7回は二死から9番森を歩かせ、続く山下にライト左を破られ同点。さらに下瀬にもセンター右に落とされ、一瞬にして逆転を許す。

7回表 香椎 二死二塁 下瀬が逆転の中前打を放つ

ただ、福大若葉の反撃も速かった。その裏、櫛島のセカンド正面のゴロが捕球直前にイレギュラーして内野安打に。藤岡のセフティ気味のバントは捕飛となったが、5回に先制打を放っている本夛が左翼線に鋭くはじき返してチャンスを広げると、佐藤はチェンジアップをレフト前に運ぶ。ここまで3打数無安打の佐藤だったが、勝負処での同点打は4番の仕事と呼ぶにふさわしい一打だった。

なおも一死一、三塁で打席に立ったのは湯脇。スタメンは1年生の常住に譲っていたが、前の回からレフトの守備に入っていた3年生が2-1からの4球目、甘く入ってきた128キロの直球を逃さず左前にはじき返した。粘り強く投げてきた和田だったが球数は100球を超え、最後は3連打を浴びてマウンドを降りた。

香椎・濱田

香椎はここでエースナンバーをつけた大型右腕の濱田がマウンドへ。高田を四球で歩かせたが、この日3安打の山本を二ゴロ併殺打に仕留めて追加点は許さない。8回も三者凡退に抑えて最後の攻撃に望みをつなぐ。

それでも最後は井上が踏ん張った。スライダーでストライクがとれないなか、8回は3つのフライアウトをすべて直球で奪った。9回は一死から濱田にライト前に運ばれたが、最後は前の打席で同点打を浴びた山下を渾身の外角直球で空振り三振。熱闘に終止符を打った。調子が悪いなりに最後はきっちり締め、エースの意地を見せた。ただ、この日は84球を投じ、次戦以降の影響が心配されるところ。

香椎も投手を中心によく守った。2回二死一、二塁では櫛島のセカンド頭上を襲うライナーを川崎がジャンプ一番好捕。7回一死満塁では二ゴロで併殺を取りきった。シートノックから動きがよく、声もよく出ていた。濱田はダグアウトの投球練習場から戻ってくるとベンチ前で大きな声を出しながら、ノックを盛り上げた。全員が頭を短く丸め、チームが一丸となってこの一戦に掛ける意気込みを感じた。

一方の福大若葉はこれまでも紹介してきたように自由な雰囲気のなかで、伸び伸びとプレーするチーム。集団より個を重視し、マイペースな選手が多い。スタイルこそ違えグラウンドでそれぞれが力を尽くした一戦は、最後まで手に汗握る好ゲームだった。

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