【観戦記】福岡第一7-6福大若葉(福岡地区大会2回戦)




中盤激しく点を取りあったあと終盤はピンチの凌ぎあいが展開され、延長タイブレークもつれた一戦を福岡第一が制した。

延長10回表を無失点で切り抜けた福岡第一はその裏、無死一、二塁から暴投で二、三塁とし、藤川の右犠飛でサヨナラ勝ちをおさめた。

10回裏福岡第一無死二、三塁 藤川の右犠飛で柳井が還りサヨナラ勝ち

先手を取ったのは福大若葉。4回湯脇が死球で出ると本夛四球、中山左前打で無死満塁とし二死後、藤岡の右前打で2点を先制した。

福岡第一もその裏すぐに反撃。この回から登板した2番手の川村に対し、柳井が遊ゴロ失で出ると松尾が送り、藤川四球で一死一、二塁。相原は遊ゴロ(二塁封殺)に倒れ二死一、三塁から池永の右前打でまず1点。貞冨四球で二死満塁から筒井の押し出し死球で追いつくと、松岡が走者一掃の左越え二塁打を放って5-2と勝ち越した。5回は柳井、松尾が連続四球。ここで登板した井上から藤川が送りバントを決め、相原の左犠飛で1点を加えた。

4回表福大若葉二死満塁 藤岡が先制の右前適時打を放つ

4点を追う福大若葉は6回、湯脇四球、本夛左前打で無死一、二塁。打者中山のときに湯脇の離塁が大きく、これを刺そうとした捕手が二塁送球する間に湯脇が三進、送球が逸れる間に一気に生還した。なおも無死一塁から中山三振、高田四球、新冨の三前内野安打(セーフティバント)で一死満塁とし、打者藤岡の時に暴投で本夛が生還。藤岡三ゴロで二死二、三塁となったあと、代打佐藤の中前打で2者が還り、同点とした。

その後は両校とも得点圏に走者を送りながら決定打を欠き延長タイブレークに突入。福大若葉は10回表、湯脇一ゴロ(三塁封殺)のあと本夛の遊ゴロ失で一死満塁としたが、代打久保山が遊ゴロ併殺打に倒れ得点できず、その裏に力投を続けていた井上が力尽きた。

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第12回福岡地区高校野球大会 2回戦
(2025年4月19日・土/今津運動公園野球場)
チ    一二三四五六七八九十 計HE
福大若葉 0002040000 671
福岡第一 0005100001x 762
(延長10回タイブレーク)

 福大若葉 年 打安点  福岡第一 年 打安点
(左)湯 脇③ 300 (右)柳 井➂ 200
(一)本 夛② 420 (二)松 尾➂ 310
(二)中 山② 410 (遊三)藤川③ 201

打 久保山③ 100 (中)相 原③ 311
二 中 神➀ 000 (三)池 永➂ 311
(三)高 田➂ 300  打 松岡斗② 100
(右)新 冨② 410  遊 後 藤② 000
(中)藤 岡➂ 422 (左貞 冨③ 300
(遊) 長 ➂ 200  左 田 中③ 000
打 佐 藤③ 112 (一)筒 井③ 301
遊 櫛 島➀ 000 (捕)松岡龍
③ 313
(捕)山 本③ 400  打捕 園田② 110
(投)浦 野➀ 100 (投)本 庄③ 200
投 川 村② 100  投 西 村③ 210
投 井 上③ 200
球犠振盗残      球犠振盗残
41225      74836
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投 手 回 安球振責 投 手 回   安球振責
浦野  3 0120 本庄  6 5426
川村  1.0  2510 西村  4 2000
井上  5.1  4150
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▼試合時間/12:48~15:10 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ。丸囲み数字は学年

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試合の流れが激しく両校の間を行き交い、最後まで目が離せない試合となった。

福大若葉・浦野

福大若葉の先発は1年生の長身左腕・浦野。長いリーチを生かして力のある直球、スライダーを投げ込んでくる。先頭打者をいきなりストレートの四球で歩かせたが、後続を打ち取ると2~3回は三者凡退。相原には左翼後方まで運ばれ、貞冨の一打はライト前に落ちそうだったが新冨の好守に助けられ、無安打デビューを飾った。中学で全国の舞台(ジャイアンツカップ)を経験した選手らしく、公式戦初登板のマウンドながら腕もよく振れていた。「球数制限を設けていた」(土井監督)こともあり3回・29球で降板した。

福岡第一・本庄

福岡第一は右腕エースの本庄が先発。力のある直球で内角を厳しく攻めながらスライダー、大きなカーブを交え、立ち上がりからテンポよくアウトを重ねていった。3回まで一人の走者も出さなかったが4回先頭の湯脇に死球を与えると、本夛にも際どいコースが外れて四球。中山には追い込みながら三遊間にしぶとく運ばれ無死満塁。二死までこぎつけたが、藤岡に外角球を右前に運ばれて先制を許した。

福大若葉・川村

福大若葉は4回から左腕の川村がマウンドへ。昨年のこの大会でデビュー、夏の大会も先発として活躍しベスト4進出の原動力となった一人だ。1年生だった前年は120キロ台前半の直球、カーブを低めに集める軟投派の印象だったが、この日は力強さを増した直球で押してきた。味方の失策に四球もからんだ二死一、三塁から池永に右翼線いっぱいに落とされ1点を失うと、連続四死球で同点に。松岡には直球を左越えに運ばれて走者を一掃された。5回に連続四球を与えたところで降板。打者11人に対して被安打2ながら与えた四死球が5つ。出力が増した一方で、まだ思うところに制球できていない印象。

6-2となり、このまま福岡第一のペースで試合が進むかと思われたが本庄も6回に制球を乱す。先頭の湯脇を歩かせると、本夛に左前に運ばれ一、二塁。打者中山の初球、湯脇の離塁が大きく捕手の松岡が二塁へ送球した隙をついて湯脇は三塁へスタート、二塁送球が乱れる間に一気に生還。福大若葉らしい足をからめた攻撃で1点を返す。本庄は中山三振のあと高田も歩かせると、新冨にセーフティバントを決められ一死満塁から暴投で2点目を献上。藤岡三振のあと代打佐藤を追い込みながら足元を破られて、4点のリードを失った。

福大若葉・井上

7回以降は福大若葉・井上、福岡第一・西村が得点を与えずに踏ん張った。前チームでも抑え役として活躍した井上は、全身を使った躍動感あふれるフォームから力のある直球、大きな弧を描くカーブを使って力投。7回は四球と内野安打で一死一、三塁とされたが藤川を遊ゴロ併殺打。9回も一死一、二塁とサヨナラのピンチを背負ったが後続を抑えた。

福岡第一・西村

西村はスライダーを低めに集めて打たせて取る投球に安定感があった。8回は自らのけん制悪送球もあって無死三塁と大きなピンチを迎えたが中軸3人を退け、9回一死三塁ではセーフティスクイズを冷静に処理して本塁で刺す。タイブレークに入った10回も味方の失策で一死満塁とされたが代打久保山を遊ゴロ併殺打に仕留めて勝ち越しを許さず、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

福岡第一は6安打を放ったが、クリーンヒットといえるのは4回松岡の左越え三塁打、9回代打園田の左前打くらいで、残りの4本はポテンヒットと内野安打。失策や四球、暴投など福大若葉のスキに付け込む形で犠打、犠飛などをからめて得点を加えた。

福大若葉の攻撃は、足を自在にからめて旋風を起こした前チームほどの強烈さはなかったものの、ディレードスチールを仕掛けるなど随所でらしさはみせた。投手陣は川村、井上と経験豊富な二人に好素材の浦野が加わり、さらに強力になった。浦野のほかにも1年生が早くも2人出場するなど、新戦力の台頭も見られる。夏はノーシードでの出場となるが今年も十分に上位を狙えそうだ。

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