◇福岡西陵8-4浮羽工(選手権福岡大会1回戦)
中~終盤の集中打で逆転に成功した福岡西陵が、西原~長坂の継投で逃げ切った。
▼1回戦(5日・久留米)〔試合記録〕
浮羽工 010 030 000 =4
福岡西陵 000 015 20x =8
【浮】中村→倉富→中村【福】西原→長坂
4点を追う福岡西陵は5回二死後、2番中村が右前打で出ると辛嶋が右翼線二塁打を放ち1点を返した。
6回は6番堤が中前打で出塁し、ボークで二進。大野原の三前バントが内野安打となり、一塁送球が乱れる間に堤が生還した。なおも無死二塁で登板した浮羽工・倉富から河井は投ゴロに倒れたが、長坂が投手強襲安打を放ち、1番後藤が左中間三塁打を放って2者が還り同点。続く中村の中前打で逆転した。さらに一死一塁から辛嶋三振、家壽田四球、入江左前打で二死満塁とし、堤の遊内野安打で中村が生還。この回5点をあげた。

7回は左翼線二塁打で出た河井を長坂が送って一死三塁とし後藤、中村がいずれもライトへの三塁打を放って2点を加え、勝負を決めた。
浮羽工は2回一死から左前打で出た7番長尾を出口が送ったあと、森山の三ゴロで一塁送球が乱れる間に、長尾が還って先制した。5回は二死から1番和佐野、江頭が連続四球。ここで倉富が左翼線三塁打を放って2点を追加。さらに中村の中前打で倉富も還り、4-0とリードを広げた。
逆転された直後の7回は二死から江頭がファースト左への内野安打、諌山のサードへの内野安打で二死一、二塁としたが中村が右飛に倒れ無得点。8回以降は無安打に抑えられ追撃できなかった。
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春の大会で浮羽工に敗れた福岡西陵が、夏の舞台で雪辱を果たした。
前半は浮羽工ペースで試合が進んだ。2回に敵失で先制するとエース中村が直球にスライダーで緩急をつけ、3回まで1安打無失点。4回は一死から長短打を浴びて一死一、三塁とされたが、大野原の投前スクイズをグラブトスで刺しピンチを脱する。すると直後の5回、二死から連続四球でチャンスを迎え、倉富が高め直球をレフト線にはじき返して2点を追加。さらに中村も投手足元にはじき返して4-0と突き放した。
ただ、ここから福岡西陵が反転攻勢に移る。5回二死から中村、辛嶋の短長打で1点を返すと6回は先頭の堤が中前打。続く大野原はバントを試みるも初球は一塁線へのファール。さらに2球目も一塁ラインを割り、福岡西陵にとっては嫌な流れだった。しかし2球目の投球がボークと判定され走者が二進。このプレーで流れが一気に福岡西陵に傾くことになった。
大野原は改めての2球目を一転、三塁側へバント。サードが一瞬、虚をつかれた形となり慌てて打球処理をするも一塁送球が乱れ(記録は内野安打と悪送球)二走が生還。2-4となり、なおも無死二塁の場面で浮羽工ベンチはライトの倉富をマウンドに送る。中村が4・5回、そしてこの回と2本ずつヒットを許していたこともあり、替え時と判断したのだろう。
倉富は直球(この日最速125キロ)とスライダーが武器の左腕だ。投ゴロ、投手強襲安打で一死一、二塁となったあと、後藤が123キロの高め直球を左中間に運ぶ三塁打を放ち同点。このときセンター江頭の足がつり一時中断したが(のちに交代)、再開後の初球を中村がセンター前にはじき返して一気に逆転まで持って行った。
倉富も中村にタイムリーを浴びた直後、足がつってしまう。ここで審判が協議し、選手を全員ベンチに戻し5分間の給水タイムを入れた。福岡西陵が逆転した後だったこともあり両校ベンチからは異議も出なかったが、攻撃途中の水入りは試合の流れを切ることにもなる。タイミングが難しいところだ。
倉富は試合再開後も投げ続けたが、一死満塁から堤に初球を投げたところで再び足がつり、グラウンドに倒れ込んでしまった。タンカに乗せられて退き、再び中村がマウンドに戻ったが1点を失い、続く7回にも3本の長打を浴びて2失点。6回以降は福岡西陵が一方的に攻め続けた。
福岡西陵の先発西原は、ほとんどテイクバックをとらず投げ込む左スリークォーター。100キロ台の直球(同108キロ)に80キロ台のスローカーブを交える。2回に味方の失策で1点を失ったが、3回2安打1失点でまとめ先発の役割は果たした。
4回からはエース長坂がマウンドへ。120キロ前後(同128キロ)の直球にスライダーを交える。5回二死から連続四球のあと倉富、中村に連打を浴びて3点を失うなど苦しんだが、6回以降は内野安打2本に抑える危なげない投球でリードを守り切った。
打線は6回に7安打を集めるなど合計17安打。なかでも2番中村が4安打2打点と打線をけん引した。5回は反撃の狼煙となる強烈な右前打。6回は逆転打。7回のダメ押しとなる右越え適時三塁打は、ライナーでライト頭上を破る一打だった。どちらかというと小柄な左打者だがミートまではコンパクトで、ミートした後にしっかりと振り切っているため飛距離が出る。素振りの時から大きなフォロースルーを意識しているようだ。
浮羽工は5回以降、投手陣が踏ん張れなかった。リリーフもこなす3番倉富、2番センター江頭と主力の2人を失った満身創痍のチームのなかで、エース中村がヒットを打たれながらも孤軍奮闘。最後の夏を走り切った。