来年3月開幕の第88回選抜高校野球大会の21世紀枠の選考に関して、九州各県の推薦校が出揃いました。福岡=小倉(県大会準優勝)、佐賀=唐津南(同4強)、長崎=佐世保北(同8強)、熊本=千原台(同8強)、大分=臼杵(同優勝)、宮崎=都城西(同4強)、鹿児島=れいめい(同4強)、沖縄=八重山(同優勝)という顔ぶれです。ここから九州地区推薦校が1校選ばれ、さらに来年1月29日のセンバツ選考委員会で全国9地区の推薦校から3校の「21世紀枠」が決まります。過去の傾向から、小倉が九州地区推薦校に選ばれる可能性を考察したいと思います。
まず2001年のセンバツから導入された「21世紀枠」ですが、これまで九州地区から21世紀枠で出場したのは宜野座(沖縄)、都城泉ヶ丘(宮崎)、大分上野丘(大分)、大島(鹿児島)の4校。福岡からの選出はありません。また、福岡県から九州地区推薦校に選ばれたのはこれまで直方(2002年)、門司学園(2012年)、八幡南(2014年)の3校。3校というのは九州地区の中では長崎、宮崎と並んで最多となっています(ちなみに鹿児島と沖縄は2校、佐賀や大分は1校、熊本はゼロ)。
さて、過去8年の九州地区推薦校の共通点は、①公立校である、②九州大会で決勝進出したチームの所属する県以外から選出、③県大会8強以上、となっています。また、④九州大会に出場している、というのも例外が大島だけなので有力な条件と言えます。
改めてこの視点から今年の各県推薦校を見ると、まず①から、私立校・れいめいは厳しそう。千原台、佐世保北は、いずれも県代表が九州大会で決勝に進出しており②に抵触するほか、県大会止まりのため④からも難しそうです。同じく九州大会不出場の唐津南、都城西も、特別な話題性や離島などの特殊条件があるわけでもないため厳しいと思われます。
残ったのは小倉、臼杵、八重山で、九州地区推薦校はこの3校から選ばれることになりそうです。まず「地域性」では、過去21世紀枠で選出されたことのない県、という点からは小倉が有利となります(大分、沖縄県は21世紀枠での出場校を輩出)。九州地区推薦校に選ばれた回数では福岡3、沖縄2、大分1のため、臼杵が浮上してきます。さらに福岡はこの3年間で2校が選ばれているため、この点は小倉にとっては不利なデータとなります。「実力」では臼杵と八重山が県大会優勝(小倉は準優勝)、九州大会でも1勝しており、この点でも小倉は苦しくなります。「話題性」では小倉でしょう。戦後の混乱期の中で夏の甲子園2連覇の偉業、また当時のエース・福島投手は甲子園の土を最初に持ち帰った選手として知られ、2013年には野球殿堂入りを果たしているほか、同校には「文武両道」というカードもあります。ただ、八重山も21世紀枠でよく選ばれている「離島」の高校であり、4期連続生徒会長を野球部から輩出している「模範性」も好印象を与えそう。また小倉、臼杵が甲子園出場経験があるのに対して、同校は出場がない点も有利に働きそうです。臼杵の創立118年の伝統も重いものがあり、「地元中心」「学業との両立」という点も含めて評価の対象になりそうです。
こうして見てみると、「地域性」では臼杵、「実力」では臼杵と八重山、「話題性」では小倉と八重山、という感じでしょうか。あとは各校の持つ強みのうち、どの点が評価されるか、ということになりそうです。
福岡 | 佐賀 | 長崎 | 大分 | 熊本 | 宮崎 | 鹿児島 | 沖縄 | 九州大会 決勝進出 |
|
2015 | 小 倉 九州① |
唐津南 4強 |
佐世保北 8強 |
臼 杵 九州8強 |
千原台 8強 |
都城西 4強 |
れいめい 8強 |
八重山 九州8強 |
秀岳館 海 星 |
2014 | 八幡南 九州① |
鳥栖工 九州② |
九州文 化学園 8強 |
日本文 理大付 8強 |
宇 土 4強 |
高千穂 16強 |
加治木 4強 |
首 里 4強 |
九州学院 糸 満 |
2013 | 小 倉 4強 |
早稲田 佐 賀 辞退 |
島原農 8強 |
大 分 雄城台 8強 |
多良木 九州② |
宮崎南 4強 |
大 島 8強 |
知 念 8強 |
沖縄尚学 美里工 |
2012 | 門司学園 九州② |
有田工 8強 |
諫 早 九州② |
大分西 4強 |
熊本北 4強 |
小 林 8強 |
加治木工 8強 |
美里工 8強 |
沖縄尚学 済々黌 |
2011 | 育徳館 4強 |
鹿島実 8強 |
小 浜 8強 |
大分豊府 8強 |
球磨工 4強 |
宮崎西 九州8強 |
松 陽 4強 |
知 念 九州② |
神村学園 九州学院 |
2010 | 嘉穂東 8強 |
唐津商 九州② |
佐世保工 8強 |
大 分 九州② |
熊本西 辞退 |
西都商 九州② |
志布志 8強 |
首里東 4強 |
鹿児島実 九国大付 |
2009 | 折 尾 辞退 |
唐津南 4強 |
長崎商 九州8強 |
大 分 九州① |
宇 土 8強 |
宮崎大宮 8強 |
薩摩中央 4強 |
糸 満 4強 |
嘉手納 宮崎工 |
2008 | 九産大 九 産 4強 |
杵島商 辞退 |
諫 早 8強 |
大 分 上野丘 九州② |
東 陵 8強 |
宮崎農 8強 |
川 内 九州② |
浦添工 4強 |
清 峰 神村学園 |
2007 | 修猷館 8強 |
鹿島実 4強 |
長崎商 九州② |
大分商 九州② |
球磨工 8強 |
宮崎工 8強 |
鹿屋工 4強 |
名護商工 4強 |
明 豊 沖縄尚学 |
校名は21世紀枠でセンバツ出場、校名は21世紀九州地区推薦、校名は21世紀九州地区代表に選出され一般枠でセンバツ出場
校名文字の灰色は私立校、校名下は秋季大会成績(例:九州②=九州大会2回戦敗退/4強=県大会4強)