福岡の高校野球

【観戦記】嘉穂2-0小倉(選手権福岡大会1回戦)

嘉穂が古川~脇元の継投で小倉を3安打に抑えて完封、序盤にあげた2点を守り切った。

▼1回戦(6日・筑豊緑地)〔試合記録
嘉穂 100 100 000 =2
小倉 000 000 000 
=0
【嘉】古川→脇元【小】蕨野→加藤

嘉穂は初回、先頭の幸丸が中前打で出ると、打者森の時に二盗を決めて無死二塁。森は三振に倒れたが、3番永芳が左中間二塁打を放って先制した。

1回表 嘉穂 一死二塁 永芳が先制の左中間二塁打を放つ

4回は一死から永芳が死球で出塁し、打者梅野の時に二盗を決め、梅野が四球を選んで一、二塁。山田の左前打で無死満塁とし、6番村上の右犠飛で永芳が生還してリードを広げた。5回以降は1安打に抑えられ追加点を奪えなかったが、2点のリードを継投で守り切った。

6回まで嘉穂先発・古川に1安打に抑えられてきた小倉は7回二死後、5番棈松が振り逃げで出塁。元吉死球、代打畝原の左前打で二死満塁と迫ったが、代打山本が三振に倒れた。9回は3番林が四球を選び、良永三振のあと棈松が右越え二塁打を放って一死二、三塁としたが、馬返が捕邪飛、代打田中(秀)が左飛に倒れて試合終了。二度の同点機を生かせず、涙をのんだ。

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両校投手陣の出来がよく投手戦となったが、数少ないチャンスを確実に生かした嘉穂が接戦を制した。

嘉穂・古川

嘉穂の先発古川は、直球にスライダーを交える2年生右腕。1・2回は芯で捕えられる打球も多かったがブレーキの利いたスライダーでバットの芯を外して打ち取るシーンが徐々に増え、小倉打線から快音が消えていった。ストライク先行の投球で7回までわずか68球。3回から6回にかけては1イニング8球以下で抑えるなど、小倉の早打ちにも助けられてテンポよくアウトを重ねていった。唯一のピンチだった7回二死満塁も代打山本を落ち着いて三振に打ち取り、ほぼ完ぺきな投球で7イニングスを投げ終えた。

小倉・蕨野

小倉の先発は1年生の蕨野。体はまだ細身で球速も120キロ台後半といったところだが、直球、スライダー、チェンジアップのコンビネーションに秀で、堂々としたマウンドさばきをみせた。

初回は先頭の幸丸にスライダーを中前に落とされたあと二盗を決められ、永芳に直球を左中間に運ばれて先制を許した。ただ、大崩れはしない。続く梅野のとき、永芳が投球前に三塁へスチールを敢行する奇襲を受けたが落ち着いてプレートを外して三塁で刺すと、梅野は外角直球で見逃し三振に打ち取り、1失点で切り抜けた。

4回にも1点を失ったが7回を投げて、うち4イニングスが三者凡退。直球が内外角低めいっぱいに決まり、スライダーも低めに制球され、時折チェンジアップを交えて緩急もつける。1年生にして完成度の高さを感じさせる投球で被安打4、与四死球2、奪三振6と上々の内容だった。

小倉・加藤

7回裏の攻撃で蕨野に代打が出た関係で、8回からは2年生の加藤がマウンドへ。もう1点もやれない場面だったが躍動感あふれるフォームからスライダーを低めに集め、8・9回をいずれも三人で退けて味方の反撃を待つ。

2-0からスコアが動かないなかで迎えた8回裏、嘉穂ベンチは右腕の脇元をマウンドへ送り込む。2安打無失点で球数も70球に満たない古川だっただけに意外な気がしたが、当初から予定された継投だったか。脇元は130キロ台前半の直球で押すタイプ。スライダー主体の古川から直球を軸とする脇元への継投は効果的で、8回表の小倉は三者凡退。このまま嘉穂が押し切るかと思われた。

嘉穂・脇元

ただ、最終回に小倉も意地を見せる。先頭の林がストレートの四球で出ると一死後、棈松が右翼後方へ大きな一打。同点本塁打かと思われたが、あとひと伸びがなく打球はフェンスを直撃。一死二、三塁と一打同点のチャンスを迎えた。続く途中出場の馬返は初球からスイングをかけたが、直球に押されて捕邪飛に倒れ二死。打順が投手の加藤のところで代打として送られたのが背番号1の田中(秀)だ。

昨秋チームをベスト8に導いた田中は、本来ならこの試合でも先発、あるい救援登板して流れを呼び込む立場の投手。ただ、大会前に調子が上がってこず、直近の練習試合の内容などを見て中島監督がこの日の登板を断念。この試合に勝って復調を待ち、次戦以降の登板にかけていた。奇しくも、この先のマウンドに立つ機会を自らの手で手繰り寄せる打席となったが、レフト正面へのフライ。最後の夏は、マウンドに立つことなく終えた。

小倉は若い選手の多いチーム。この日登板した蕨野、加藤のほかにも1年生に好投手が揃い、野手も林・良永・棈松の中軸がそっくり残る。秋の大会以降の戦いぶりに注目したい。

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