折尾愛真は2回二死後、7番下柳が右中間二塁打で出塁すると、古野のニゴロ失、田島四球で二死満塁とし、1番長野が右越えに本塁打を放って4点を先制した。3回は、この回先頭の5番野元がセンター左に飛び込む特大の本塁打で1点。4回は9番田島の一塁前セーフティバントと長野の右前打で一、三塁とし、斉藤のスクイズでまず1点。松井の一塁右を破る二塁打で長野も生還し、飯塚先発の古屋をKOすると、代わった谷から4番上地も右中間へのヒットで松井も還り3点目。野元四球、岩見右飛で二死一、二塁から下柳が右越え二塁打を放って上地が生還、この回4点を奪って飯塚を突き放した。
5点を返された直後の5回は一死から2番斉藤が死球、松井も四球を選んだあと、上地の右翼線二塁打で1点を追加。6回は一死から田島が四球で歩き、長野がこの試合2本目となる本塁打をセンター左に運んでリードを広げた。
初回二死満塁、2回一死満塁の好機を逃した飯塚は3回一死後、4番片渕のレフト右を破る二塁打、大門の右前打で一、三塁とし、大坪の右犠飛で1点を返した。1-9となった5回は片渕の右翼線二塁打のあと、大門中前打、大坪左前打でまず1点。徳永も右前打で無死満塁とし、一死後、9番白木の右前打で2点を加えた。さらに一死一、二塁の場面で登板した3番手野元から高倉は一邪飛に倒れたが、2番矢野が左翼線二塁打を放って2者が生還、この回5点を挙げた。
▼決勝(23日・北九州)
飯 塚 001 050 300=9
折尾愛真 041 412 00x=12
————————————————–
序盤に折尾愛真に流れをもたらしたのは、投手陣の奮投だった。先発の小野は初回3つの四死球で二死満塁といきなりのピンチを背負うが、大坪を右飛に抑えて無得点でしのぐ。2回も3つの四死球で一死満塁となったところで、早くも小野を諦め、ここまで抑え役として登板してきた下柳を投入。下柳はその期待に応えて投ゴロ併殺で切り抜けて、1・2回と大量失点の危機をゼロで切り抜け、流れを引き寄せた。
この試合、安打数は飯塚の16本を下回ったが、本塁打で7打点と効率よく得点を重ねた。猛打のイメージのある折尾愛真だが、4回戦の青豊戦、準々決勝の東筑紫学園戦、準決勝の北九州戦の安打数はいずれも1桁で相手を下回っている。それでも10本の本塁打で複数得点をかせぎ、何より球場のムードを一気に変え、相手に得点以上のダメージを与えた。
先発はエース小野。疲れの色は隠せずに2回途中、6つの四死球を与えて降板。ここで折尾愛真は早くも抑えの下柳を投入、この判断が吉と出た。下柳は2回のピンチを併殺で切り抜けると3・4回と1失点でしのぎ、その間に打線がリードを広げることができた。5回以降は堀田、山根の救援陣にファースト野元、サード松井もつぎ込む総力をあげた継投で必死の防戦。最後は、8回から再登板した野元が130キロ後半の直球で押し切り逃げ切った。
打線はその力を十分に発揮した。3回以降は毎回安打で、折尾愛真が繰り出す延べ7人の投手からヒットを連ねた。特に片渕、大門は右に左に打ち分けて猛打賞。外角球を右に逆らわずにはじき返す技術は目が引いた。7回には3点を返してなおも二死二、三塁と迫り、徳永のライトへの大きな一打は同点本塁打かと思われたが、フェンス前で失速。これが最後の見せ場となった。16安打で9得点を挙げたが、3点差は長打力の差が出た結果となった。
昨年の東筑-福岡大大濠、一昨年の九州国際大付-福工大城東など、ここ数年の決勝は見ごたえのある投手戦が多かったが、スリリングな打ち合いで優勝校が決まったこの試合は、福岡にも打撃優位の時代の到来を感じさせた。