今夏の優勝を占う一戦は、双方の内野陣にミスが出て、それが得点につながる乱戦となったが、藤本の投打にわたる活躍で中盤の主導権争いを制し
九州国際大付は1回二死後、3番・石橋が四球、渡辺が右前打で出て一、三塁。安永四球のあと、6番・岡田の二ゴロ失で1点を先制。逆転された直後の3回は一死後、4番・渡辺の遊ゴロをショートが一塁へ高投。続く安永の四球で一、二塁とし、岡田二飛のあと、7番・藤本が左中間を破る二塁打を放って2者が生還し、再逆転した。
同点に追いつかれた4回は1番・中山の三ゴロをサードが今度は一塁へ低投。2番・山脇の時に中山が盗塁を決めて無死二塁。続く石橋のショート右へのゴロで三塁を狙った中山を刺そうとショートが三塁送球するが間に合わず(記録は野選)無死一、三塁。石橋がレフト前に落ちるヒットを放ってまず1点。なお無死一、二塁から渡辺の投前送りバントで投手と捕手が接触して(記録は失策)一塁送球できずに無死満塁。安永、岡田といずれも一ゴロで本塁封殺されたが、藤本の三塁正面の強い当たりがイレギュラーして左前に達し2者が生還、この回3点を奪い6-3とリードを広げた。
続く5回も一死から中山が中前打、山脇の時に仕掛けたヒットエンドランは空振り三振となったが、中山は二塁に生き、続く石橋の中前打で生還した。7回には、先頭の藤本がこの日3本目となる安打を左前に放ち、永岡が送って一死二塁。市川の一ゴロで三進した藤本が、次打者・中山の時に暴投で生還、だめ押しとなる8点目を加えた。
しかし5回、左前打を放った吉無田を一塁に置いて強攻に出た4番・橋本の当たりが遊ゴロ併殺打となったあと、6~8回はいずれも三者凡退。9回無死から横尾が四球で出たが、後続が倒れ、6回以降は九州国際大付・藤本の前に無安打に抑えられた。
▼5回戦(23日・北九州市民)
西短大付 002 100 000 =3
九国大付 102 310 10x =8
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九州国際大付・藤本、西日本短大付・谷口、両エースの投げ合いか。あるいは強力打線同士の打ち合いか。ハイレベルな一戦が期待されたが、勝負の行方は小さなミスの連鎖によって、激しく揺れ動いていった。
まず初回、九州国際大付の攻撃。簡単に二死となったあと2つの四球と安打で満塁。岡田の一打は何でもない二塁ゴロとなった。だが、大事にいこうとしすぎたか、待って取ろうと
谷口の調子もよくはなかった。序盤は制球に苦しみ3回までに4四死球。スライダーも高く、痛打を浴びた。好調時はこのスライダーが低めに決まって空振りを取れるが、この日奪った三振は2つだけ。ただ、後半は立ち直ったように、ミスがなければもう少し粘れたとも感じる。
西日本短大付打線は、5回までは毎回の6安打。特に1~3番が5安打と気を吐いた。ただ、4~6番が無安打に抑えられ、追撃に迫力を欠いた。4番・橋本は1三振・1併殺打、5番・渡邊は犠飛こそあったものの2三振と、ほぼ完ぺきに抑えられた。大一番という認識は当然、西日本短大付の選手にもあっただろうが、その思いが、投手・守備・打撃すべてにおいて、力みにつながったのかもしれない。
九州国際大付は相手ミスから転がり込んだ2度のチャンスで、藤本が見事に得点に結びつけたのが大きかった。マウンドでは序盤、西日本短大付に捕らえられて苦しい投球となったが、この2打席での4打点が自らを楽にすることになった。5回無死一塁で4番・橋本を併殺打に打ち取ってからは安打を許さず、揺れ続けていた勝利の女神を中盤でがっちりとつかまえた。140キロ台が出るようになったのも6回以降で、後半は西日本短大付の打者が直球に押される場面も見られるようになった。スライダーも今日は全体的に低めにきており、渡邊の2三振はこのスライダー。直球は序盤、高めに抜ける球も目立ったが、中盤以降外角低めに決まるようになり、終盤は余裕をもって見ていられた。