’26選手権福岡大会を振り返る①~総括編




第108回全国高校野球選手権福岡大会は東筑が9年ぶり7度目の優勝を飾り、幕を閉じました。今大会の軌跡をデータを交えながら振り返ります。

2年続けて実施されてきた開会式(2024年から任意参加)が今年は雨予報のため中止に。翌日も雨で全試合中止、その次の日にようやく開幕しました。ただ、大会2日目の7月7日以降は雨による順延や継続試合もなく、予定通りに試合が行われました。2週間以上にわたって雨による順延がなかったのは2018年以来で、天候面では恵まれた大会でした。

昨年に続き3回戦から登場したシード校16校のうち九産大九産、宗像、筑陽学園、折尾、城南の5校が初戦で敗退。宗像は東海大福岡、城南は九産大九州、筑陽学園は沖学園など実力校と初戦で当たり敗れました。ただ、ベスト8にはセンバツ出場の九州国際大付をはじめ秋の準優勝校(福岡大大濠)、春の優勝校(飯塚)および準優勝校(東筑)など前評判の高かったチームが顔を揃え、8校のうち7校がシード校でした。

ノーシードで唯一8強入りしたのが八女工。尾形投手を中心にまとまり、東海大福岡や近大福岡といった私立校に競り勝って49年ぶりに夏8強入りを果たしました。夏3連覇のかかった西日本短大附は2年生を主力に据えてノーシードから5回戦まで勝ち上がりましたが、祐誠に惜敗。6回まで上間投手から得点できず、終盤の反撃も及びませんでした。

東海大福岡との4回戦に勝利して喜ぶ八女工ナイン




春夏連続の甲子園出場を目指した九州国際大付はエースの岩見投手が安定した投球をみせて順当に勝ち進みましたが、準決勝で東筑に痛恨の逆転負け。岩見投手から最速147キロ右腕の林投手につないで逃げ切りを図りましたが、土壇場で逆転打を浴び涙をのみました。九州国際大付は2023年夏の決勝で勝って以来、東筑には公式戦5連敗中でしたが、今回もその難敵に屈しました。

優勝した東筑は深町、加納、梶原の3投手を中心にしっかり守り、数少ないチャンスを生かして競り勝ってきました。準決勝の九州国際大付戦では8回に河野が同点本塁打、9回には平山が決勝の中越え二塁打。決勝では河野が走者一掃の右越え三塁打など、ここぞという場面で長打が飛び出して9年ぶりの栄冠を掴みました。得点を与えず、勝負処で秘めた長打力を爆発させる。そんな大会終盤の戦い方でした。

準決勝で九州国際大付を破り歓喜の東筑ナイン

準優勝の希望が丘は北九州市立にはじまり八女学院、福工大城東、福岡大大濠、飯塚と強豪を相次いで連破。競った試合の連続で、もっともタフな戦いをしてきたチームでした。躍進の原動力となったのがエース渡邊投手。キレのある直球を武器に、チームを初めて夏の決勝の舞台に導きました。

指名打者制導入で「投高打低」に

今年は指名打者制度が導入されて、初めての夏となりました。投手に代えて打力のある選手を起用できるため、得点力アップが予想されました。

(表1)ベスト16のチーム成績。背景水色が南部のチーム

ベスト16のチーム成績を見ると総得点が昨年の410点から378点に減少、平均打率も昨年の.301から.292に、長打数も158本から124本に落ち込みました(対象試合数は昨年71試合、今年70試合でほぼ同数)。一方で総失点は前年の210点から162点に大きく減少、平均防御率も2.38から1.72に大きく上がるなど「投高打低」の結果となりました。その傾向が顕著にみられたのが5回戦以降で、両校とも5点未満の「投手戦」が15試合中8試合と半分以上を占めました。

希望が丘・渡邊

要因の一つとして、指名打者制の導入で投手が攻撃時に体力を温存でき、投球に専念することができたことが考えられます。指名打者制の導入は攻撃力の向上よりも、投手力の向上に作用したと言えそうです。

ベスト8のチーム成績(表2)を見ると福岡大大濠が攻守すべての項目で平均値をすべて上回りました。特に攻撃面ではチーム打率.400をはじめ、長打を除く全項目で8校中トップでした。その福岡大大濠を破ったのが、投手・守備面の数値が高かった希望が丘。渡邊投手を中心とした希望が丘の守備力が、福岡大大濠の攻撃力を上回りました。

(表2)8強の1試合平均値。赤文字は平均値以上、太字は最高値

1試合あたりの長打数では、九州国際大付が3.4本と他校を大きく引き離しています。ただ、犠打飛や盗塁の数値が平均を下回っており、長打力をうまく得点に結びつけることができませんでした。一方で飯塚はチーム打率は平均値を下回ったものの犠打飛の数値が高く、効果的に得点につなげることができました。

福岡大大濠、九州国際大付、希望が丘の3校は投手・守備の項目で全て平均値以上でした。福岡大大濠と九州国際大付は攻撃に関する数値も高く、総合力の高さが際立っています。チーム防御率のトップは飯塚。1試合あたりの失点(2.6)は平均値以下となっていますがこれはタイブレークでの9失点が影響しており、9回までの数値にすると0.80。投手力がもっとも高かったチームと言えます。




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