【観戦記】東筑3-2希望が丘(選手権福岡大会 決勝)




今大会を代表する右腕2人の投げ合いとなった決勝戦は、東筑が4回にあげた3点を深町が守り切って9年ぶりの優勝を勝ち取った。

▼決勝(25日・北九州)⇒試合記録
希望が丘 000 002 000=2
東  筑 000 300 00x=3
【希】渡邊【東】加納→深町

両校無得点で迎えた4回、東筑は2番筋田が四球で出塁すると二盗を決め、深町の遊内野安打で一、二塁。続く梶原の投前犠打が失策を誘って無死満塁とし、河野が走者一掃の右越え三塁打を放って先制した。5、6、7回の好機では得点できなかったが、このリードを4回途中から登板したエース深町が守り切った。

初回二死一、二塁、3回二死二、三塁のチャンスを生かせなかった希望が丘は3回二死から7番友原が左越え二塁打を放ち、続く三苫の三塁内野安打で一塁送球間に本塁を衝いたが憤死。先制のチャンスを逃した。

3点を追う6回は3番仲が四球、百束左前打で無死一、二塁。月川の送りバントは三塁封殺され、中村三振で二死となったが、友原が振り逃げで二死満塁とし、三苫の左前適時打で2点を返した。しかし7回以降は深町の前に三者凡退に抑えられ、反撃できなかった。

4回裏 東筑 無死満塁 河野が右越えに走者一掃の三塁打を放つ

——————–

東筑の深町、希望が丘の渡邊。終盤は両エースの投げ合いになることが確実視された決勝戦。焦点はこの二人がどの段階からマウンドに上がるかだったが、希望が丘が渡邊を先発させたのに対し、東筑は2年生右腕の加納を先発に送り出した。

東筑・加納

準々決勝(八女工戦)の完投以来、中4日での登板となった加納は初回、初球のストレートを松本に叩かれる。佐藤のバントは自ら二封し、仲のライトへ痛烈なライナーは井上の好守に救われたが、百束に四球を与え一、二塁。スライダーが高めに浮きボール先行の苦しい立ち上がりだったが、月川を二ゴロに打ち取って得点は許さなかった。3回も仲に右中間二塁打を浴びて二死二、三塁のピンチを背負ったが百束を遊ゴロ。130キロ前後(この日最速134キロ)の直球で押し、ここもピンチをしのいだ。

東筑・深町

加納は4回二死まで投げて深町に交代。準決勝と同様に回の途中しかも走者なしでの交代は、むろん事前の予定通りだろう。ところが深町は代わりばな、友原に直球を左越えに運ばれ、いきなりピンチを迎える。三苫の当たりは弱いショート前へのゴロ。サード河野がカットして一塁に投げるが間に合わず、その間隙をついて友原が二塁から一気に本塁を狙ったが、ファースト五十嵐が冷静に本塁送球してタッチアウト。序盤は希望が丘が押し気味に試合を進めた。

渡邊を先発させた希望が丘ベンチは、この試合は全てをエースに託した。渡邊は初回を三者凡退と上々の立ち上がり。2回は梶原にセンター前に落とされ一死二塁とされたが、ここで初めてギアを入れて140キロ近い直球で中谷、高橋を中飛に。3回は一転、井上と平山をスライダーで連続三振にとるなど危なげない投球をみせた。




希望が丘・渡邊

4回、先頭の筋田を追い込みながらも四球を与え、試合が動き始める。筋田が二盗を決めると、深町は三遊間へのゴロ。ショート月川がよく追いついて一塁へ遠投するが間に合わず一、二塁。梶原は投手左へのバント。渡邊がマウンドを駆け降り、三塁封殺を狙って送球態勢に入りながらボールを処理しようとしたが捕球できず、オールセーフ。あまり感情を表に出さない渡邊が珍しく悔しさを露わにした。

無死満塁で迎えた河野にはスライダーで追い込んだが、勝負球として投じた126キロのカットボールが甘く入ってしまった。河野はこれをフルスイング、打球はライナーでライト頭上を破り3人の走者が生還。渡邊が投じたこの日唯一と言ってよい失投を逃さなかった。

3点差がつき、なおも無死三塁。もう1点もやれない場面で渡邊は中谷を一ゴロ、高橋をスライダーで三振、五十嵐もスライダーで右飛に打ち取ったのは見事の一言。5回も一死から平山四球のあと筋田に中前に落とされたが深町を三ゴロ併殺打。中盤以降はスライダーを決め球にピンチをしのいでいった。




何とか反撃に転じたい希望が丘は6回、仲が四球、百束左前打で無死一、二塁。月川のバントは当たりが弱く捕手に拾われて三塁封殺、中村三振で二死。友原も空振り三振でチャンスを逸したかと思われたが、振り逃げで生き二死満塁。三苫は2球で追い込まれ、3球目も外角球にバットを合わせただけの一打となったがこれが左前に落ち2者が生還。1点差に迫る。

ただ、希望が丘スタンドを沸かせたのはこの一打が最後となった。深町は7回以降、4つの三振を奪って一人の走者も許さず、反撃のチャンスさえ与えなかった。7回にこの日最速の142キロを計測するなど終盤に入っても直球のスピードは衰えず、落差のあるスライダー、さらに小さく鋭く落ちる130キロ前後のカットボールも有効だった。与えた四死球も一つだけ。大会屈指の右腕を前に、希望が丘は2点をとるのがやっとだった。

6回表 希望が丘 二死満塁 三苫の左前打で三走の百束に続き、二塁から月川も生還

東筑の安打数は希望が丘を下回る6本だったが、河野の一打が値千金。準決勝の九州国際大付戦も5安打だったが、土壇場で平山に長打が飛び出し逆転勝ち。秘めた爆発力をここぞの場面で発揮できる、そんな勝負強さがある。9年ぶりの頂点を掴んだこの試合も、そんな勝利だった。

東筑の勝負強さに屈したが、最速142キロの直球にスライダーやカットボールをうまく織り交ぜる百束の好リードもあって、渡邊も4回以外は得点を許さなかった。冷静に淡々と投げ続けたエースのもと、希望が丘は創部以来初めて決勝まで勝ち上がったが、夢舞台にはわずか1点届かなかった。

【直近の東筑戦 観戦記】
東筑5-3九州国際大付(2026年7月23日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 準決勝)
東筑5-1八女工(2026年7月20日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 準々決勝)
東筑1-0沖学園(2026年7月17日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 5回戦)

【直近の希望が丘戦 観戦記】
希望が丘11-6飯塚(2026年7月23日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 準決勝)
希望が丘4-1福岡大大濠(2026年7月21日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 準々決勝)
希望が丘2-1福工大城東(2026年7月18日/第108回全国高校野球選手権福岡大会 5回戦)




Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*