雨で一日延期となっていた第157回九州地区高校野球大会は1日㈯に決勝が行われ、福岡県代表の九州国際大付が長崎日大(長崎1位)を逆転で下し、2021年秋以来となる8季ぶり4度目の優勝を飾りました。同校は11月14日㈮に開幕する第56回明治神宮大会に九州地区代表として出場、2回戦で山梨学院(関東地区代表)と東京地区代表の勝者と対戦します。
長崎日大・古賀の落差ある変化球の前に7回までわずか1安打、三塁を踏めなかった九国大付は8回、上岡が投内野安打で出ると暴投と渡邉左前打で無死一、三塁とし柴原の遊ゴロ(二塁封殺)の間に1点を返しました。9回は中前打で出た平間を吉田が送り、ここまで九州大会ノーヒットの4番城野が右前打を放ち同点。さらに岩見も右前打で続き、久保田の遊ゴロで二塁送球が逸れて一死満塁とチャンスを広げ、代打鰐口の中犠飛で城野が決勝のホームを踏みました。
投げては4回からリリーフに立った渡邉が6イニングスを1失点。7回1点を失ったあとの二死満塁、8回二死一、三塁、9回も二死一、二塁と終盤は再三得点圏に走者を背負いましたが決定打を許しませんでした。
[SOKKENスタジアム]
◆決勝
九国大付 000 000 012 =3
長崎日大 001 000 100 =2
【九】岩見→渡邉【長】古賀→中村
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九国大付が準決勝で神村学園、決勝で長崎日大と九州の強豪校との接戦をものにして九州の頂点に立ちました。

今年の九国大付は高い得点力を誇ります。福岡大会ではシード・東海大福岡戦(6-5)4点差を逆転した準々決勝の福工大城東戦(8-7)サヨナラ勝ちで九州大会出場を決めた準決勝の大牟田戦(5-4)などカギとなった試合では打線が奮起してきました。その中心となったのが1番牟禮です。入学直後から右のスラッガーとして注目を集め1年夏は打率.444、2本塁打。今夏も2本のアーチをかけました。今大会は打率4割超、出塁率は5割超、盗塁も3つ決めるなど打線をけん引。1番打者ながら打点もチーム最多の7を記録しました。

牟禮の前後を打つ打者も好調でした。2番平間、3番吉田が打率3割超で1~3番まででチーム全打点の半分以上を叩き出しました。牟禮の前に打つ9番柴原の存在も大きく出塁率.450と上位につなぐ役割を果たしました。さらに忘れてはいけないのが代打の切り札・鰐口。大牟田戦でのサヨナラ打、長崎日大戦での決勝犠飛と無類の勝負強さをみせました。
今年の甲子園に出場した西日本短大附や、黒田・野田・佐倉らを擁した2021年秋の優勝チームほどの爆発力は感じませんが、勝負処では各打者がセンターから右に打ち返す打撃ができます。四死球や相手ミスを絡めることで得点力が高くなり、リードされていても追い上げが利きます。
福岡大会から厳しい試合を勝ち抜き、逞しさも出てきました。この1年ほどはリードされるとそのままあっさりと土俵を割る試合が目につきましたが、今夏の決勝で西日本短大附に大敗を喫し、そこからチームが変わったように感じます。試合終了後、グラウンドに突っ伏していつまでも起き上がれなかった1、2年生たちの姿を思い出します。

投手陣は福岡大会では様々な継投パターンが見られましたが、九州大会は岩見~渡邉のリレーを確立しました。左腕の岩見は長身を生かした130キロ台後半の直球と鋭いスライダーを武器に奪三振率の高さが光る一方、与四死球も多くまだ粗削りな印象ですが、あとにエース渡邉が控えていることで思い切った投球ができている感じを受けます。渡邊は140キロ前後の直球に多彩な変化球を交え、ピンチを背負っても簡単に失点しない粘りがあります。
右の縄田、1年生左腕の山口は九州大会での登板機会がありませんでしたが、縄田は多彩な変化球を駆使して大牟田戦で好投。山口も制球にやや難がありますが直球に力があり、これからの成長が楽しみな投手です。

昨年の西日本短大附はある程度、完成されている印象でしたが、九国大付は投打ともまだまだ伸びしろを感じさせるチーム。明治神宮大会で全国の強豪相手にどこまで今の力が通用するか、注目されます。


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