【観戦記】福大大濠4-0久留米商(秋季大会準決勝)




福大大濠のエース波多江が久留米商打線を1安打に抑えて完封、春に続く決勝進出と九州大会出場を決めた。

福大大濠は2回、大隅が右翼線二塁打で出塁すると西が送って一死三塁とし、小野が三遊間を破って先制した。3回は平岡が死球で出ると、坂口の三前バントが失策を誘い無死一、二塁。小峰の二ゴロ(二封)で一死一、三塁から大隅のライト左への安打で平岡が生還、さらに失策がからむ間に一塁から小峰も還って2点を加えた。

2回裏福大大濠一死三塁 小野が先制の左前適時打を放つ

6回二死一、二塁、7回二死満塁では得点できなかったが、8回四球で出た坂崎を北嶋が送り、波多江左飛のあと平岡の二遊間への打球をセカンドが追いつきながらはじき(記録は内野安打)、坂崎が二塁から生還。貴重な追加点をあげた。

久留米商は3回、武末が死球で出ると元村が送って一死二塁としたが荒巻三振、納村二飛で無得点。6回は二死から納村が二塁内野安打で出塁し二盗を決めたが、姉川が二ゴロに倒れた。その後は福大大濠の先発・波多江の前に走者を出せず、三塁を踏めないまま完封を喫した。

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第157回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2025年10月11日・土/久留米市野球場)
チ    一二三四五六七八九  計HE 球犠振盗残
久留米商 000000000 014 11812
福大大濠 01200001x 450 756010
 久留米商 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8 9
(遊)納 村② 410 三振  二飛    二安    左飛
(中)姉 川➀ 300 捕邪    三振  二ゴ
打 西 岡➀ 100                 三振
(一)平 田➁ 300 三振    遊ゴ    一ゴ
(右)河 口➁ 300   中飛  二ゴ    中飛
(左)古賀塁② 300   一邪    左飛  右飛
(三)古賀友➁ 300   三振    中飛    二飛
(捕)武 末➁ 200     死球  三振    三ゴ
(投)元 村② 000     投ギ
打 岩 永➁ 100           投ゴ
投 浦 山➀ 100               三振

(二)荒 巻➀ 200     三振    投ゴ
打 宮 原➀ 100                 二ゴ

投手  回 安球振責  球数
元村  5 4142 79
浦山  3 1621 54
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 福大大濠 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8
(三)平 岡➁ 311 三直  死球右飛    死球二安
(遊)坂口翔➀ 300 遊失  ギ失  二ゴ  捕ギ三ゴ
(二)小 峰➁ 300 遊併  二ゴ  右飛  四球
(右)大 隅➀ 421   右2右安  三振  三振
(一) 西 ➀ 100   投ギ投失    四球四球
(捕)小 野② 411   左安三ゴ    三振右飛
(左)坂 崎➀ 200   投ゴ三振    三ギ  四球

(中)北 嶋➁ 210   中安  三振  四球  三ギ
(投)波多江➁ 400   三振  右飛  一直  左飛
投手  回 安球振責 球数
波多江 9 1180 116
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▼試合時間/13:10~15:05 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ、打撃成績の下線は打点あり

福大大濠・波多江

福大大濠のアンダースロー波多江は110キロ台(この日最速118キロ)の直球に90キロ台のカーブを軸に投球を組み立てる。剛速球も多彩な変化球もないのになぜ打てないのか。凡打の山を築く久留米商の攻撃を見ながら、その理由を考えていた。

まず、四死球が圧倒的に少ない。これは好投手に共通する特徴だ。この日も死球が一つあっただけ。投球テンポも速く、捕手からボールを受け取るとサイン交換もそこそこにモーションに入る。打者によっては自分の間合いを確保するのに苦労しそうだ。そしてベース幅を広く使った絶妙の制球力。右打者の外に逃げていくカーブを膝元にも落としてくる。球速90キロそこそこの球ながら、右打者をたびたび詰まらせた。

そしてこの日多かったのが直球に振り遅れての空振り三振。直球は110キロ台なかばだが、90キロのカーブのあとでは浮き上がってくるように見えるのかもしれない。唯一のヒットとなった納村の内野安打も直球で完全に詰まらせたが、セカンド前に力なく転がったぶんヒットになった。

久留米商・元村

久留米商の先発はエース元村。立ち上がり、折尾戦で14三振を奪う武器となったスライダーのキレを欠いた。2回大隅に打たれた右翼線二塁打、先制打となった小野の三遊間を抜けるタイムリー、いずれもスライダーを叩かれたものだった。3回は死球に2つの失策がからむなど2失点。4回あたりから直球(同131キロ)がテンポよく決まるようになり、スライダーの落差も出てきたが、6回表の攻撃で代打を送られ5回3失点で降板した。

久留米商・浦山

6回からは1年生の右腕浦山がマウンドへ。130キロ前半(同136キロ)の直球を投げるが課題は制球力。パート決勝の福翔戦では5イニングスで6四死球と苦しんだが、この日もボールが先行した。6回に2つ、7回に3つの四死球を与えながら何とか無失点で踏ん張ってきたが、8回も先頭の坂崎に四球を与え、犠打のあと平岡のタイムリー内野安打で決定的な4点目を失った。100キロ台のカーブもあるが、こちらも精度が今ひとつ。ただ、福翔戦もそうだったように、走者を出してから簡単に得点を許さない粘りはある。今後に期待だ。

3回裏福大大濠一死一、三塁 大隅が右前適時打を放つ

打者では福大大濠の4番大隅が2安打1打点。いずれも右方向に逆らわずに打ったヒットだった。2回戦の八女学院戦でも右方向に2安打を放った。6~8回に6四死球を得ながら8回の1点止まりで突き放せなかったが、波多江の好投と無失策の堅守で危なげなく勝利した一戦だった。

【直近の久留米商戦 観戦記】
久留米商5-3折尾(2025年10月5日/第157回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝)
久留米商9-3福翔(2025年9月27日/第157回九州地区高校野球福岡大会 パート決勝)
福大大濠7-0久留米商(2025年4月4日/第156回九州地区高校野球福岡大会 準決勝)

【直近の福大大濠戦 観戦記】
福大大濠8-1八女学院(2025年9月12日/第157回九州地区高校野球福岡大会 2回戦)
東筑紫学園6-3福大大濠(2025年7月20日/第107回全国高校野球選手権福岡大会 5回戦)
福大大濠7-0久留米商(2025年4月4日/第156回九州地区高校野球福岡大会 準決勝)

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