【観戦記】九国大付5-4大牟田(秋季大会準決勝)




常に先手を取り続けた九国大付が9回サヨナラ勝ちを収め、決勝進出と九州大会出場を決めた。

同点で迎えた9回、九国大付は先頭の平間が四球で出塁すると吉田が送って一死二塁。ここで登板した大牟田・小宮から城野が四球を選んで一、二塁。岩見三振のあと代打鰐口が中越えにサヨナラ打を放って勝負を決めた。

9回裏九国大付二死一、二塁 鰐口の中越え二塁打で二塁から平間がサヨナラのホームイン

先手を取ったのも九国大付。初回牟禮が三塁線への二塁打で出ると平間四球で無死一、二塁。打者吉田の時にバント空振りで牟禮が飛び出したが捕手からの二塁送球間に三進し、吉田の中犠飛で生還した。逆転された直後の2回は四球で出た中島を山口が送り、柴原四球、牟禮三ゴロで二死二、三塁とし、平間の中前適時打で2者が還って再度逆転した。5回は城野が左中間三塁打を放ち、岩見の左犠飛で勝ち越した。

1点を追う大牟田は2回、白水左前打、宗死球のあと山田が送って一死二、三塁。田中は三振に倒れたが、仁田原の左翼線に落ちる適時打で逆転した。3回は福永が四球を選び、ここで代わった縄田から水野の二ゴロ(ヒットエンドラン)で一死二塁。吉田右前打で一、三塁とし白水の中犠飛で追いついた。8回は一死から吉田が遊内野安打で出塁。白水が送ったあと、救援に立った渡邉から宗がライト左への二塁打を放って追いつくなど粘り強く戦ったが、わずかに及ばなかった。

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第157回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2025年10月11日・土/久留米市野球場)
チ    一二三四五六七八九  計 HE 球犠振盗残
大牟田  021000010  4 70 351015
九国大付 120010001x 5100 744311
  大牟田 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8 9
(中)福 永② 310 遊ゴ  四球  左安  三振
(右)水 野➀ 400 三振  二ゴ  三振    三振
(三)吉 田➁ 430 三ゴ  右安  中2    遊安
(左)白 水② 211   左安中ギ  三振    投ギ
(捕) 宗 ➁ 311   死球二直    二ゴ  右2
(一)山 田➁ 200   投ギ  四球  二ゴ  三振
(二)田 中② 300   三振  投ギ  三振    一ゴ
(遊)仁田原② 312   左安  投ギ    三邪  二ゴ
(投)菅 家➁ 400   三振  三振    遊ゴ  二ゴ
投 小 宮② 000

投手 回  安球振責 球数
菅家 8.1  9635 141
小宮 0.1  1110   11

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 九国大付 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8 9
(中)牟 禮➁ 520 左2三ゴ  三振  左安  二ゴ一一
(三)平 間➁ 312 四球中安  遊ゴ  左飛    四球
(遊)吉 田➀ 301 中ギ右飛  中飛  右飛    投ギ 
(捕)城 野➁ 430 右安  左安  左3  三ゴ  四球

(右)岩 見➀ 401 捕ゴ  三ゴ  左ギ  二ゴ  三振
(左)雪 野➀ 320 一ゴ  四球  中安  中安一一三振
打 鰐 口➁ 111                 中2
(一)中 島➀ 200   四球四球  遊ゴ  三振
(投)山 口➀ 000   捕ギ
投 縄 田➁ 200     投併  三振
投 渡 邉➁ 100               中飛
(二)柴 原➁ 310   四球  左安  二ゴ  左飛
投手 回  安球振責 球数

山口 2.0  2233  38
縄田 5.2  4161  75
渡邉 1.1  1010  12
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▼試合時間/9:57~12:15 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ、打撃成績の下線は打点あり

両先発投手が立ち上がりに安定感を欠き、序盤から点を取り合う展開となった。

大牟田・菅家

大牟田の先発はエース菅家。130キロ超(この日最速134キロ)の直球を軸にカーブを交える右腕だが、序盤は直球でストライクがとれず苦しんだ。試合開始直後の初球を牟禮に三塁線に引っ張られ、サード吉田のグラブをはじく二塁打に。平間にはストレートの四球、さらに吉田のバント空振りで二走の牟禮が飛び出したが、捕手が二塁送球する間に三塁を奪われて無死一、三塁。強打に転じた吉田に中犠飛を許し、早々と先制された。

味方が逆転した直後の2回裏も先頭の中島にストレートの四球。犠打のあと柴原にも四球を与えるなど二死二、三塁とされ、平間に直球をセンターに打ち返されて再びリードを許した。3回も安打と2つの四球で一死満塁とピンチは続く。しかしここを投ゴロ併殺で切り抜けたのが大きかった。その後も毎回のように得点圏に走者を許しながら5回の1点だけで踏ん張った。直球が決まらずカーブでしのぐ投球を続けてきたが、直球が決まり始めた後半はテンポアップ。辛抱強く続投させたベンチの期待に応えて試合をつくった。

九国大付・山口

九国大付は1年生左腕の山口が先発。120キロ台後半(同130キロ)の直球にカーブを交える。初回は三人で退けたが、高めに浮く直球が目立った。2回先頭の白水に左前打、続く宗に死球を与えるなど二死二、三塁とされ、仁田原は高め直球で差し込んだが左翼線に落とされ逆転を許した。3回先頭の福永に四球を与えたところで降板。打ち込まれたわけではなかったが、大牟田とは対照的に早めの交代となった。

九国大付・縄田

2番手の縄田は登板直後に安打と犠飛で同点とされたが、その後は尻上がりに調子を上げていった。130キロ超(同135キロ)の直球でストライクを先行させ、追い込んでからはスライダー、チェンジアップ、カーブなどを多彩な変化球を使って6三振を奪うなど4回以降はゼロを並べた。味方がチャンスをものにできない中でも得点を許さず、流れを渡さなかった。

このまま九国大付が逃げ切るかと思われた8回、大牟田は一死から3番吉田がこの日3本目の安打を三遊間に放つと、続く白水が送って二死二塁。打席にはこの日は無安打ながら準々決勝で3安打の宗。勝負処とみた九国大付はエース渡邉を投入したが、宗は2球目のチェンジアップをライト左に運んで同点。一死から4番打者に送らせて舞台を整えたベンチの期待に見事に応えた。

九国大付・渡邊

8回裏に菅家が10球で三者凡退に打ち取って勝ち越しへの機運を高めると、そうはさせじと渡邉も9回表を6球で終わらせる。渡邉はエースとしての自覚か、自信と気迫に満ちた堂々たる投げっぷり。130キロ超(同135キロ)の直球にスライダー、チェンジアップを低めに集めて内野ゴロ3つで仕留めた。

9回裏、130球を超えた菅家が先頭の平間に四球。吉田が送って一死二塁となったところで、大牟田ベンチは準々決勝の飯塚戦で好投した左腕小宮を投入する。小宮は代名詞ともいえるスローカーブに120キロ台(同122キロ)の直球を交えて城野を追い込んだが、フルカウントから外角低めの勝負球がきわどく外れて一死一、二塁。続く岩見は2つセーフティバントをファールにしたあと外角直球で空振り三振。ここで九国大付ベンチはこの日2安打の雪野に代えて、代打の切り札・鰐口を打席へ送る。鰐口はカーブに狙いを定めていたのだろう。初球に投じられた90キロのカーブをしっかりと引き付け、センター後方に打ち返した。鰐口は初戦の真颯館戦でも代打で登場し試合を決める中越えランニング本塁打を放ったが、その打球を再現するような一打であった。

2回裏九国大付二死二、三塁 平間が中前適時打を放つ

九国大付は10安打と上位から下位までよくバットが振れていたが拙攻も目立った。初回先制した後の一死一、三塁、3回の一死満塁、4回の無死二塁と一気に突き放すチャンスで一本が出ず、菅家を立ち直らせてしまった。3つの盗塁を決めた一方、判断ミスによる走塁死でチャンスを逃す場面も目についた。それでも勝ち切れたのは総合力で大牟田を一枚上だったということだろう。

大牟田はこの日も中軸3人が5安打2打点と活躍。得点圏に四度走者を送り、そのうち三度で得点する勝負強さが光った。この日は菅家~小宮の継投だったが、小宮~菅家とつないだ準々決勝がベストゲームという印象。制球の安定している小宮を先発させ、菅家は抑えの方がその球威を生かせると感じた。守りは無失策だったが、初回無死一、二塁で飛び出した二走の牟禮に送球間に三塁を奪われたのが痛かった。同様のプレーは今大会でも散見されているだけに、各チームで改めて対応を確認しておきたいところだ。

【直近の大牟田戦 観戦記】
大牟田5-2飯塚(2025年10月4~5日/第157回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝)
修猷館5-3大牟田(2025年7月12日/第107回全国高校野球選手権福岡大会 3回戦)
浮羽究真館5-3大牟田(2024年9月23日/第155回九州地区高校野球福岡大会 4回戦)

【直近の九国大付戦 観戦記】
九国大付11-1真颯館(2025年8月31日/第157回九州地区高校野球福岡大会 2回戦)
西短大附10-1九国大付(2025年7月27日/第107回全国高校野球選手権福岡大会 決勝)
九国大付5-2東筑紫学園(2025年7月25日/第107回全国高校野球選手権福岡大会 準決勝)

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