【観戦記】大牟田5-2飯塚(秋季大会準々決勝)




立ち上がりに飯塚守備陣の乱れにつけこんで主導権を握った大牟田が、小宮~菅家の継投で継続試合を制した。

大牟田は初回、先頭の福永が四球で出塁。打者水野の時にけん制で飛び出し一二塁間で挟まれたが、挟殺プレーが乱れて二進。水野の投ゴロを岩橋がはじいて(失策)無死一、三塁とし、吉田の三塁線を破る二塁打で先制した。なおも無死二、三塁から白水三振のあと、宗の右翼フェンス直撃の二塁打で二人が生還して3-0。さらに一死二塁から山田の二ゴロで宗が三進し、打者田中の時に暴投で生還。この回4点をあげた。

1回裏無死一、三塁 吉田が三塁線を破る先制の二塁打を放つ

その後は岩橋から得点できなかったが8回、この回から登板した飯塚の2番手・藤井から二死後、白水中前打、宗右前打で一、三塁とし、山田の中前打で白水が生還。貴重な追加点をあげた。

飯塚は2回、田中が中前打で出ると福嶋が送って一死二塁。尾篭は三飛に倒れたが岩橋の中前打で二死一、三塁とし、木下の左前打で1点を返した。

3~6回は大牟田先発・小宮に無安打に抑えられてきたが7回、女鹿が三塁前にセーフティバントを決めて出塁。瀬口左飛のあと黒田の時に暴投で女鹿が二進し、黒田三邪飛で二死二塁となったあと田中が左越え二塁打を放ち2点差に迫った。しかし続く福嶋のセンター後方への大飛球を福永に好捕され反撃もここまで。8回からは大牟田2番手の菅家に封じられた。

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第157回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝
(2025年10月4日・土、5日・日/北九州市民球場)
チ   一二三四五六七八九 計HE 球犠振盗残
飯 塚 010000100 252 517110
大牟田 40000001x 573 31506
(4回表より継続試合)
  飯 塚 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8 9
(左)女 鹿② 410 ニゴ  四球二ゴ    三安  二併
(中)瀬 口➁ 400 中飛  三振  三ゴ  左飛
打 安 藤② 000                 四球
(右)黒 田➀ 400 遊ゴ  三失  四球  三邪  遊ゴ
(捕)田 中➁ 421   中安三振  左飛  左2
(一)福 嶋② 300   一ギ二ゴ  左飛  中飛
(三)尾 篭➁ 400   三ゴ  遊ゴ  三振  三振
(投)岩 橋① 310   中安  四球  三振  三振
投 藤 井➁ 000
投 坂 本➁ 000
(二)木 下➁ 411   左安  三ゴ  遊失  三振
(遊)郡 山➁ 200   三ゴ  四球  左邪
打 大 庭➀ 100                 遊失
走 坂 井➁ 000
投手  回 安球振責 球数
岩橋  7 4240  86
藤井 0.2  3001  14
坂井 0.1  0110  8
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  大牟田 年 打安点 1 2 3 4 5 6 7 8
(中)福 永② 300 四球遊ゴ    遊ゴ  二ゴ
(右)水 野➀ 400
投失  右飛  中飛    遊ゴ
(三)吉 田➁ 411 左2  中飛  二ゴ    右飛
(左)白 水② 420 三振  左安    投ゴ  中安
(捕) 宗 ➁ 332 右2  四球    左安  右安
(一)山 田➁ 311 二ゴ  三振    投ギ  中安
(二)田 中② 300 三振    捕邪  遊ゴ  死球
(遊)仁田原② 400   左飛  遊ゴ    左飛三振
(投)小 宮 200   三振  遊ゴ
打  平 ➀ 100             中飛
投 菅 家② 000

投手 回  安球振責 球数

小宮 7  5442  115
菅家 2  0130  27
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▼試合時間/10:00~11:12(2日目) ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ、打撃成績の下線は打点あり

3回裏終了後、雷のため中断。その後の降雨により継続試合となった一戦。雨が降り出す前に中断となったため、雨による試合への影響はなかった。

飯塚・岩橋

飯塚先発は背番号10の1年生左腕岩橋。120キロ台後半(この試合最速130キロ)にスライダー、チェンジアップなどを交える。立ち上がり直球が高く浮き、先頭の福永に四球。続く水野の時に福永をけん制で誘い出したが、挟殺プレーが乱れ福永を二塁に進ませたのが飯塚にとっては痛かった。水野の当たりは投手左へバウンドをあわせるのが難しいゴロとなり、岩橋がはじいて一、三塁。吉田、宗にはスライダーが甘く入って長打を浴び、自らの暴投も重なって4点を失う。

それでも岩橋は2回以降、立ち直った。スライダーが低めに決まるようになったことで、直球が生きるようになった。球速は120キロ台後半ながら大牟田の打者は直球に差し込まれた凡飛が増えていった。

翌日の継続試合では、さらにその投球が冴え渡った。直球が外角低めに安定して決まり、スライダーの切れも抜群。4~7回に出した走者は左前打を打たれた宗一人だけ。いずれも7球以下で3つのアウトを奪うなど、テンポのよい投球で大牟田打線を封じ込んだ。初回こそ失策が絡んで失点したが、7回を投げて被安打4、自責点0の好投をみせた。

大牟田・小宮

大牟田の先発は背番号11の左腕小宮。100キロ前後のチェンジアップ、さらに90キロ前後のスローカーブと緩い変化球を持つ。直球は120キロ台(同125キロ)だが変化球の効果で飯塚の打者は差し込まれるシーンが目立った。飯塚は2回、打ち取られた打球が外野の前に落ちるなど幸運なヒットが重なって1点を返したが、遅い球にタイミングが合わず凡打を重ねていく。

翌日の継続試合でも四球や敵失の走者を出しながらも決定打が出ず、点差が縮まらない。ようやく7回、女鹿が三塁線に絶妙のバントヒットを決めると暴投で二進し、田中が97キロのスライダーを左翼ラバーフェンスに直接ぶつける二塁打を放って2点差に。続く福嶋もセンター後方へ大飛球を放ったが、福永が背走して最後はジャンプしてキャッチ。ギリギリのプレーでピンチを救った。抜けていれば1点差となりなお二死三塁という場面。大牟田の勝利を決定づけた値千金のプレーだった。

大牟田・菅家

8回からはエース菅家が登板。昨秋の浮羽究真館戦では4回で5四死球を出すなど制球に苦しんでいたが、この日は130キロ台超(同136キロ)の直球が安定してコーナーに決まった。落差あるスライダーをウイニングショットに8回は三者連続三振。9回は味方の失策で先頭打者を出したが、女鹿を二ゴロ併殺打に仕留めて反撃を許さなかった。遅い球を有効に使う左腕の小宮から、伸びのある直球に落差あるスライダーを武器にする右の菅家。タイプの違う2人が今年の大牟田を支える。

8回裏大牟田二死一、三塁 山田が中前適時打を放つ

大牟田打線は中軸3人が6安打3打点と活躍。5番宗は初回にスライダーを叩いて右翼フェンスを直撃するタイムリー、6回は直球をレフト前にはじき返し、8回はファーストの左を痛烈に破るなど左右に3本のクリーンヒットを放った。守備では福永のファインプレーのほか、セカンド田中の柔らなかグラブさばきが目にとまった。

飯塚は芯で捕らえた当たりも少なくなかったが野手の守備範囲内に飛ぶなど、小宮の変化球を打ちあぐんだ。初回に2つの失策は出たが、2回以降は無失策。右に左に5つのゴロを軽快にさばいたショート郡山は、再三の好守で試合を締めた。継続試合となった4回以降は押し気味に試合を進めていたが、初回の失点が最後まで響く形となった。

【直近の大牟田戦観戦記】
修猷館5-3大牟田(2025年7月12日/第107回全国高校野球選手権福岡大会 3回戦)
浮羽究真館5-3大牟田(2024年9月23日/第155回九州地区高校野球福岡大会 4回戦)
大牟田4-3九産大九産(2024年4月4日/第154回九州地区高校野球福岡大会 準決勝)

【直近の飯塚戦観戦記】
飯塚3-2戸畑工(2025年9月26日/第157回九州地区高校野球福岡大会 パート決勝)
飯塚9-2宗像(2025年5月4日/第12回福岡中央地区高校野球大会 準決勝)
飯塚4-2折尾愛真(2025年3月27日/第156回九州地区高校野球福岡大会 4回戦)

 

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