序盤に大量リードを奪った西短大附がその後も着実に加点、投げてはエース中野が12安打を浴びながらも要所を締めて1失点で完投。3季連続の甲子園出場を決めた。
▼決勝(27日・久留米)⇒試合記録
九国大付 000 100 000 =1
西短大附 160 110 10x =10
【九】山田→岩見→山本 【西】中野
〈本〉山下(西)
西短大附は初回、奥が中前打で出ると井上が送り、斉藤の中越え二塁打で先制した。2回は6番山下が中越え本塁打。続く湯山の左前打で九国大付の先発山田をKOすると、代わった岩見から小川が四球。中野の送りバントは三塁封殺されたが、奥の左前打で一死満塁とすると、井上の走者一掃の中越え三塁打で3点を追加。さらに代わった山本から斉藤が左前適時打を放ち、佐藤三ゴロで二死二塁から安田の右越え三塁打でさらに1点を加え、7-0とリードを広げた。

4回は四球で出た井上が斉藤の一ゴロで二進し、佐藤のライト右への二塁打で生還。5回も四球の湯山を小川が送り、中野中飛のあと奥が左前に落として1点を追加した。7回は小川がレフト左への三塁打で出塁、中野三振のあと奥の右犠飛で10点目をあげた。
九国大付は4回一死後、城野が中前打。三宅の中前打にセンターの失策も絡んで城野が三進し、吉田の中前打で生還した。その後も5回一死一、三塁、6回無死二、三塁、7回二死一、二塁と再三得点圏に走者を進めたが決定打を欠き、12安打を放ちながら要所を抑えられて1得点に終わった。
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得点差ほど両校に力の差は感じなかったが、試合運びの経験値やチームの完成度が結果に表れた。
初回の攻防が、試合の流れを決めた。西短大附はエース中野が中4日で先発のマウンドへ。九国大付は一死から今大会絶好調の2番淵上が右前打で出塁。さらにこの日3番で先発起用された左の長嶺が初球をセカンド前にドラッグバント。これが見事に決まって一死一、二塁と先制機を迎えた。しかし4番城野はカットボールをひっかけて三ゴロ。三宅は外角直球を引っ張ったが一ゴロに倒れて無得点。厳しくコーナーをつく中野に先制を阻まれた。
九国大付は準決勝から中1日で山田が先発したが高めに抜ける球が目立ち、先頭の奥にいきなりスリーボール。その後3-2からカットボールをあわされてセカンド左を破られると、斉藤には134キロの直球をセンター後方に運ばれ早くも先制を許す。2回には先頭の山下にセンターバックスクリーン右に打ち込まれ、続く湯山にも外角高めの直球をレフト前にはじき返されたところで降板。2日前に91球を投げた疲労もあったか直球・変化球とも全体的に高く、準決勝までのような切れ味にも欠けた。
2番手として送り出されたのは1年生左腕の岩見。今大会は3番ライトが定位置だが5回戦の祐誠で先発、4回途中まで投げている。試合前のシートノックではライトに入っていたが、ベンチスタートで登板に備えていた。投球練習でいきなり141キロを計測しスタンドを沸かせたが、勢いがついた西短打線を止めるのは荷が重かった。小川を歩かせると一死後、奥に外角高めの138キロをレフト前に運ばれて満塁とされ、好調の井上に中越え三塁打を浴びて0-5。期待の1年生もここで降板した。
これ以上の失点は許されない九国大付は早くも抑えの切り札・山本を投入。山本も投球練習で147キロを計測したが西短打線は止まらない。斉藤が142キロの直球をレフト前に、安田はスライダーをライトに運んで2点を追加。7-0となって大勢が決してしまった。
ただ、九国大付打線も黙っていない。4回は3人の打者がいずれもスライダーを中前に運んで1点を返し、なおも一死一、三塁と追撃への狼煙をあげる。しかしここからが中野の真骨頂。山本をスライダーで三振、岩見を外角直球で遊ゴロに仕留めて追加点は許さない。5回にも一死一、三塁のピンチを背負ったが、長嶺のセーフティスクイズはファースト佐藤が冷静に対処して本塁で刺し、続く城野の三ゴロは一塁送球がショートバウンドになったが佐藤がうまくすくい上げてアウトに。その長打力ばかりが注目される佐藤だが、守りの良さもみせてチームのピンチを救った。
長打力があり勝負強く守りもよい佐藤だが、ひと言だけ苦言を呈するなら6回の打席。ハーフスイングをとられて三振した際、「振っていない」というジェスチュアをしていたが、あれは不要。ましてや大量リードしている場面だ。潔くベンチに下がってこそ西村監督の掲げる「応援されるチーム」の4番打者だろう。
中野は6回も三宅、吉田の短長打で無死二、三塁とされたが山本を遊ゴロ、代打大迫を三振、中上を遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜ける。走者がいないときはポンポンとストライクを先行させ、走者を背負うと「制球力のギア」を上げる感じだ。直球は130キロ前後(この日最速132キロ)だが絶妙のコーナーワークと緩急で12安打を許しながら1失点。観客は140キロを超える直球にはどよめくが、コーナーいっぱいに決まる直球にはため息を漏らす。「走者を出してからが自分の本領」といわんばかりにピンチの連続を切り抜けた。
対照的に、西短打線は3回以降も山本から小刻みに得点を重ねていく。4回は四球の走者を内野ゴロで二塁に進め、佐藤がライトフェンス際に運ぶ二塁打。5回も四球の走者を二塁に置いて奥が左前に軽打。7回は三塁打の小川を奥の犠飛で還すなど効率の良い攻撃を見せた。この試合、西短大附の13安打10点に対して九国大付は12安打1点。この数字が全てを物語っている。
九国大付は昨秋は3回戦で小倉に7回コールド負け。春も東筑に1安打完封されるなど低迷期に入っていたが、復活を感じさせる準優勝。牟禮、城野、渡邉ら2年生のほか岩見、吉田ら1年生にも主力が多く残る。今回西短大附の壁は厚かったが、秋以降は再び主役の座につきそうだ。
西短大附は今大会すべて先行逃げ切りで、ほとんど危ない場面もなく頂点を極めた。チームはセンバツ後、日本一を目標に掲げているという。福岡で圧倒的な差を見せつけたその実力が、全国の強豪相手にどこまで通用するのか。期待を持って見守りたい。