
第107回全国高校野球選手権福岡大会の開幕(7月5日・土)がいよいよ1週間後に迫りました。梅雨も早々に明け、今年は空模様を心配することなく選手・関係者も試合にのぞめそうです。開幕を前に、今年も4回に分けて各ブロックの展望を行いながら優勝の行方を探っていきたいと思います。(学年表記のない選手は3年生)
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【Aブロック】※シード校/南部=西日本短大附、北部=東海大福岡
Aブロックは西日本短大附、東海大福岡の両シードの8強争いに、福岡大若葉が絡む展開が予想れます。

西日本短大附は昨年の夏秋と福岡大会を連覇。昨夏の甲子園ベスト16を経験した奥、井上、斉藤、安田、山下らに加え、4番に右のスラッガー佐藤を据える強力打線を擁します。センバツでも3本塁打を放つなど2試合で17得点をあげてベスト8入りを果たしました。
投手陣は直球と変化球をコーナーに決めるエース中野が秋までほぼ一人で投げてきましたが、センバツでマウンドを踏んだ右の山口、左の原が春の九州大会でも経験を積み、厚みを増しました。守りも堅く、スキは見当たりません。ただ、昨秋の九州大会は末吉(沖縄尚学)、センバツは奥村(横浜)、春の九州大会は窪田(神村学園)と左投手に抑えられました。左打者が並ぶだけに左の好投手と当たった時の打撃がポイントになりそうです。3季連続甲子園となれば昭和29年春~30年夏の小倉以来となり、70年ぶりの快挙に挑みます。

北部のシード東海大福岡は昨秋ベスト16、春はベスト8。昨春のセンバツに出場した主力は抜けましたが、層の厚さを感じさせる成績です。永末、納富(2年)の両右腕から140キロ超の速球派・西村への継投が勝ちパターン。打線はセンバツを経験した左の強打者・野上が中心ですが、春はやや湿り気味でした。西日本短大附とは昨夏も準々決勝で対戦、継続試合の末に敗れており、リベンジの機会が巡ってくるとすれば5回戦になります。

順当なら総合力で勝るシード2校の争いですが、一発逆転があるとすれば福岡大若葉でしょう。昨夏ノーシードからベスト4まで勝ち上がったチームから右本格派の井上、左腕川村(2年)が残り、さらに長身左腕の浦野(1年)が加わった投手陣は強力です。野手は前チームから主力の大半が入れ替わりましたが、足を絡めた攻撃は今年も健在。経験豊富な選手が多かった昨年に比べると経験値は及びませんが若い選手が多く、勢いに乗ると昨夏の再現もありそうです。左の好投手2人を揃えるだけに西日本短大附と対戦することになれば、楽しみな一戦となりそうです。
他のチームは上記3校とは少し力の差があり、横一線という印象です。特に北部Aパートの各チームは力も拮抗しており、県大会出場をかけた争いは激しくなりそうです。
【Bブロック】*シード校/南部=東福岡、北部=希望が丘
Bブロックも東福岡、希望が丘の両シードが軸となりますが、力のあるチームも多く混戦が予想されます。

昨秋ベスト4の東福岡は二人の右腕がチームを引っ張ります。エース近藤は130キロ台なかばの直球に交える鋭く落ちるスライダーが武器、谷は長身から投げ下ろす直球・変化球をコーナーいっぱいに決める制球力に優れます。打線は大振りせずセンターから右方向に打ち返し、機動力を使った攻撃も見せてきます。昨秋は「あと1球」から育徳館に逆転サヨナラ負けを喫して九州大会出場を逃す悔しさも味わいました。春は4回戦で福岡大大濠に敗れましたが、ここではベスト8の有力候補です。

北部シードの希望が丘も秋8強、春はパート決勝で東海大福岡にタイブレークの末に惜敗しましたが、福岡中央地区大会でも準優勝と、安定した成績を残してきました。2年生右腕の渡邊、井上が中盤まで試合をつくり、最後は140キロ超の速球が武器のエース野口が締めます。守りもショート長﨑を中心に堅く、攻撃では積極的に足を絡めてきます。2017年に東海大福岡がセンバツ出場したときの主将で、緻密な野球を志向する大久保監督の夏初采配にも注目です。

ただ、希望が丘の入るDパートには実力校がひしめきます。浮羽究真館は秋春ともベスト16、県大会まであと一歩に迫りました。右サイドハンドの國武に安定感があり、打線は中軸の井上、濱野を中心に長打力を秘めます。昨春優勝、夏8強の春日は前チームの主力が抜けて秋春は早々に敗退しましたが、4月の福岡地区大会でベスト4。夏に向けて戦力を整えてきました。2年生エースの占部は早いテンポで直球・変化球を投げ込み、打たせて取るタイプ。上位進出には打線の援護がカギを握りそうです。明善は春の大会で筑陽学園にコールド勝ち、筑後地区大会でもベスト4入りした実績が光ります。

Cパートで東福岡とベスト16を争いそうなのが光陵。春の大会では強豪・真颯館などを破ってパート決勝まで進出しました。右サイドハンドの見市はコーナーを丹念につく軟投派。走者を出しても簡単に崩れない粘りもあります。打線は中軸の宮津(2年)・山中らがコンパクトな打撃をみせます。その光陵に春の大会で延長タイブレークまでもつれる接戦を演じた嘉穂総合も楽しみな一校。昨夏初戦は7-0からまさかの逆転負け。その試合で主軸を担った正岡、井上を中心に9年ぶりの勝利を狙います。
中村三陽は初戦で、春の大会4回戦で敗れた浮羽究真館とのリターンマッチにのぞみます。長身の右腕エース原野(2年)は直球・カーブを低めに集め、守備も堅実。打線も上位から下位までミート力に長け、しぶとく短打を重ねます。春は終盤に逆転を喫しての敗戦でしたが、その雪辱を期します。
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