【観戦記】福岡工3-1春日(福岡地区大会準決勝)




春日守備陣の乱れに付け込んで奪った3点を先発・松尾の力投で守り切った福岡工が決勝に進出した。

福岡工は2回、前田の遊ゴロが一塁悪送球を誘い二進すると、松尾が送って一死三塁。赤川は遊ゴロに倒れたが馬場が左翼後方への安打を放って先制した。

4回は一死後、松尾左前打、赤川右前打のあと馬場の投前バントで三封を狙った送球をサードが落球して一死満塁。続く植田が押し出し四球を選んでまず1点。さらに西嶋が投前スクイズを決めて赤川も生還した。

4回表福岡工一死満塁 西嶋がスクイズを決める

初回一死二塁の先制機を逃した春日は3点を追う4回、四球で出た田中を井河が送り、岩﨑の中飛で二死三塁とし、中島の中前打で田中が生還した。

さらに大津の右前打、別府の三前セーフティバントで二死満塁としたが代打江口が三振に倒れ1点止まり。その後も6回一死二塁、8回無死二塁、9回一死二塁と好機を迎えたが福岡工・松尾から決定打を奪えなかった。

第12回福岡地区高校野球大会準決勝
(2025年5月10日・土/小郡市野球場)
チ   一二三四五六七八九 計HE
福岡工 010200000 350
春 日 000100000 174

  福岡工 年 打安点   春 日 年 打安点
(左)植 田➂ 301 (遊)信 國➂ 420
(遊)西 嶋➂ 301 (二)田 中② 200
(一)稗 田 300 (捕)井 河➂ 200

(中)川 﨑➂ 400 (一)岩 﨑➂ 310
(右)田 中➂ 400 (中)中 島➂ 411
(二)前 田 400 (右)大 津➂ 420
(投)松 尾 220 (左)別 府➂ 310
(捕)赤 川➂ 320 (三)税 田
 100
(三)馬 場➂ 411  打三 江口➂ 200
ーーーーーーーーーーー  打 福 原➁ 100
ーーーーーーーーーー  (投) 暁 ➂ 000
ーーーーーーーーーーー  投 占 部➁ 400
球犠振盗残      球犠振盗残
751012      24808
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投 手 回 安球振責 投 手 回   安球振責
松尾  9 7280  暁   0.1  0200
松尾  9 7280  占部  8.2  5510
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▼試合時間/13:11~15:01 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ。丸囲み数字は学年

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福岡工の松尾、春日の占部、両エースによる投手戦が繰り広げられた。

福岡工・松尾

福岡工のエース松尾は前年夏のマウンドも経験している右腕。昨夏よりも直球の威力が増し、スライダーの精度も上がり「3年生エース」らしい風格が漂う。初回は信國にレフト前に落とされ一死二塁とされるが、3番4番をいずれも直球で空振り三振。4回に四球で歩かせた走者を二塁に置いて中島に中前適時打を許したが、失点はこの1点だけだった。

後半は変化球を多用し、5~7回は死球の走者を一人出しただけ。8回は先頭の信國に二塁打を許すがスライダーで後続を断ち、9回も一死二塁とされたが最後は連続三振で締めた。4回以外はいずれも14球以下で抑えるテンポのよさもみせ、四死球は2つだけ。7安打を許したがクリーンヒットはその半分程度で、危なげのない投球内容だった。

春日・暁

春日は差番号11のサイドハンド・暁が先発。初戦の武蔵台戦でも先発、6回途中まで投げて占部につないだ。しかしこの日は先頭の植田に死球を与ると、犠打のあと稗田にストレートの四球を出したところで降板。早くも2年生エースの占部がマウンドへ。

占部は直球にスライダー、チェンジアップと緩急をつけながら早いテンポで投げ込み、打たせて取るタイプの右腕。その持ち味を生かした投球をみせたが、守備の乱れにつけこまれて失点を重ねた。

2回はショート左へのゴロを信國がスライディングキャッチでよく抑えたが、一塁送球が逸れてしまい二進を許す。二死三塁となって馬場の一打はレフト後方へのライナー、風もあって難しい打球だったが別府がグラブに当てながら落球(記録はヒット)して先制点を与えた。

春日・占部

4回は一死から連打を浴び、馬場の送りバントは投手正面。占部は三塁へ送球する。タイミングはアウトだったが、まるで送球がホップするような感じで税田のグラブを弾いていった。一死満塁となりここで踏ん張りたかった占部だったが、植田にフルカウントから押し出しの四球を与え、さらに西嶋にもスクイズを決められて2失点。結果的にこの回の2点が最後まで重くのしかかった。

それでも5回二死一、二塁、7回二死満塁では得点を与えず、8回3分の2を投げて被安打5、与四死球3(2つの申告敬遠は除く)は松尾に引けをとらない投球だった。

2回表福岡工二死三塁 馬場がレフト後方への先制打を放つ

福岡工は5安打を7~9番で記録。左打ちの松尾は打っても2安打。低めの直球をうまくあわせた左前打、スライダーをしっかり引き付けて打ち返した中前打と、打撃でもセンスを感じさせる。チームとして送りバントも5つ決め、場合によっては一死からでも送ってくる手堅い攻撃で得点をうかがった。

春日打線は最後まで松尾を攻略できなかった。守備でもサードとショートに2つずつ失策が記録された。ただ、ショート信國のグラブさばきは軽快で、それ以外の3つのゴロは着実にさばいた。サード税田は1年生、まだ試合での生きた球に不慣れだった面もあっただろう。

春の大会を制した前チームに比べると投打ともひと回りスケールダウンした印象の春日だが、福岡地区大会ベスト4は実力の証。夏の大会では、暁・占部の投手陣を打線がどこまで援護できるかに上位進出がかかってきそうだ。

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