
小倉の先発・田中の乱調につけこんで勝ち越した北筑が東川~原田とつないで逃げ切った。
1点を追う北筑は3回一死後、四球で出た高増を斉藤が送り、小辻の右前適時打で追いついた。続く4回は二死から古川、東川が連続四球のあと、柿原の中前適時打で勝ち越した。さらに高増の左前打で二死満塁とし、2者連続四球のあと石田も押し出しの死球を受けて3点を追加した。
6回は四球を選んだ高増を斉藤が送り、小辻の遊ゴロ失で一死一、三塁。石田の中犠飛で6-1とリードを広げた。

小倉は初回、死球で出た吉原を棈松が送り、打者・林の時に東川の二塁けん制悪送球で一死三塁とし、暴投で先制した。5点を追う6回は良永が中前打。宮地右飛のあと元吉の左前打で一死一、二塁とし、代打佐藤の左前適時打でまず1点。崎門が送って二死二、三塁から、勝木の遊ゴロで一塁送球が乱れる間に二人が還って4-6とした。
9回は吉原四球のあと、棈松は三振に倒れたが林の左前打、良永の右前打で一死満塁。小林の二ゴロ(二塁封殺)の間に1点を返した。しかし続く二死一、三塁で馬返が二ゴロに倒れ、あと一歩及ばなかった。
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第53回北九州市長杯争奪高校野球大会準々決勝 (2025年4月29日・火/北九州市民球場) |
チ 一二三四五六七八九 計HE 北 筑 001401000 682 小 倉 100003001 584 北 筑 年 打安点 小 倉 年 打安点 (左)柿 原➁ 511 (遊)吉 原➂ 200 (左 兼 竹➂ 100 (中)棈 松➁ 400 (三)高 増③ 310 (一) 林 ➁ 410 (二)斉 藤➂ 201 (三)良 永➁ 520 (遊)小 辻➂ 432 (右)宮 地➀ 300 (右中)石田➂ 302 右 畝 原➂ 000 (中)橋 本➂ 410 右 小 林➂ 100 (打右冷牟田➂ 100 (左)元 吉➂ 320 (一)手 島➂ 510 走左 馬返➁ 200 (捕)古 川➂ 310 (投)田中秀➂ 100 (投)東 川➂ 200 投 家 永➁ 110 (投 原 田➂ 100 打 佐 藤② 111 ーーーーーーーーーーー 投 国 武➀ 000 ーーーーーーーーーーー 投 山 本➀ 000 ーーーーーーーーーーー 投 蕨 野➀ 000 ーーーーーーーーーー (捕)崎 門➀ 200 ーーーーーーーーーー (二)勝 木➂ 210 ーーーーーーーーーーー 打 田中禄➁ 100 ーーーーーーーーーーー 二 島 田➂ 000 球犠振盗残 球犠振盗残 939113 632010 —————————————- 投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責 東川 5.2 6411 田中秀 3.2 5765 原田 3.2 2211 家永 2.1 1120 原田 3.2 2211 国武 1 0100 原田 3.2 2211 山本 1 1010 原田 3.2 2211 蕨野 1 1000 ———————————————— ▼試合時間/12:03~14:25 ※公式記録ではありません ※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ。丸囲み数字は学年 ※選手名は場内アナウンスのみに基づいています。誤りはご指摘下さい |
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両校合わせて15四死球に6失策、23残塁を数える乱戦となった。
小倉の先発・田中(秀)は立ち上がり三者連続三振と素晴らしい投球を見せた。先頭の柿原は外角直球で見逃し、高増は高めの直球を振らせ、斉藤は外に逃げるスライダーにバットが空を切った。直球に伸びがあり、スライダーも低めによく制球された。
2回は自らの失策もあり二死満塁とピンチを招いたが、東川を外角のスライダーで空振り三振。3回は二死二塁から小辻に右翼線に落とされたが、続く石田を直球で空振り三振。3回までに6三振(スリーバント失敗1つ含む)を奪った。
ところが4回、二死をとってから8番9番に連続四球を与えたのが変調の始まり。直球が高めに浮き、ストライクとボールがはっきりするようになる。柿原、高増に連打を浴びた後、3者連続で四死球を与え降板。突然の制球難を修正ができないまま、マウンドを降りた。

ただ、ここから若い投手陣が踏ん張った。なおも二死満塁の場面で登板した2年生左腕の家永は橋本を三飛に抑えてピンチを断つと、6回に犠飛で1点は失ったものの、打者10人に1安打1四球2三振というまずまずの内容。左打者への外に逃げるスライダーが効果的に決まった。

7回からは1年生3人が1イニングずつを投げ、それぞれ無失点に抑えた。国武は恵まれた体格から直球・スライダーを投げ込み、四球を一つ出したが危なげのない内容。山本は切れのあるスライダー、カーブを軸に小気味よい投球をみせ、小辻にセンター右への二塁打を許したが、後続を断った。
蕨野は味方の失策と左前打で無死一、二塁とピンチを背負ったが古川の投前バントを素早い動きで三塁封殺するなど、落ち着いたマウンドさばきが光った。いずれも制球を乱すことなく、1年生にして完成度の高さを感じさせる投球だった。この先、小倉のマウンドを守っていきそうな右腕トリオだ。

北筑は背番号11の東川が先発。スライダー、チェンジアップをコーナーに集める左の軟投派。初回は死球にけん制悪送球、暴投と一人相撲で1点を献上したが、2回以降は走者を出しながらも変化球を低めに集めて連打を許さなかった。
小倉打線は東川の緩い変化球を打たされていたが徐々にタイミングをつかみ、5回に3本のヒットを連ねて1点を返す。さらに二死二、三塁から勝木の遊ゴロで一塁送球がライト側に逸れる間隙をついて二塁から佐藤も本塁を陥れ、2点差に迫った。

続く吉原に四球を与えたところで、北筑はエース原田を投入。原田は後続を断つと、切れのあるスライダーを武器に7回8回とテンポよくアウトを重ねていった。9回は小倉の中軸に連打を浴びるなど一死満塁まで迫られたが、内野ゴロによる1点でしのいだ。
…

小倉は田中が4回に5四死球で自滅する形となり、守りも4失策と乱れた。打線も前半は東川を打ちあぐみ、ようやく6回に3安打を集中、9回も中軸の連打で見せ場をつくったが、タイムリーは代打佐藤の1本のみ。投打とも精彩を欠いた印象で、初戦敗退した春の大会からチーム状態がなかなか上がってきていないように映った。

北筑も6点のうち3点が押し出しによるもの。9四死球に4失策を得ながら13残塁が示すように決定打を欠いた。送りバントの失敗も目につくなど(スリーバント失敗1つ、封殺2つ)、勝ちはしたが特に攻撃で課題が残った。そのなかで4番小辻は二塁打を含む3安打2打点と気を吐いた。3回は一死一塁の場面で3番斉藤に送らせるなど、ベンチの信頼も厚そうだ。
先発の東川は、変化球を低めにあつめて打たせて取る持ち味を存分に発揮。春の大会の戸畑戦では制球に苦しんだ原田も四死球を2つ出したものの、全体的によくまとまっており安定感が増した印象。9回一死満塁も落ち着いて1点でしのぎ、エースナンバーにふさわしい救援登板だった。
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