【観戦記】東筑10-2祐誠(春季大会準決勝)




8四死球に4盗塁をからめ、8安打で10点をあげる効率的な攻撃を見せた東筑が7回コールドで快勝、九州大会出場を決めた。

東筑は初回一死後、喜多が四球を選び、続く平山のときにヒットエンドランが決まり(左前打)一死一、三塁。池口は一邪飛に倒れたが平山が二盗を決め、佐藤がライト左への二塁打を放ち、2点を先制した。3回は先頭の市川がレフト右への二塁打で出塁すると、ここで登板した宮本から喜多が投前に犠打を決め、さらにこれが野選(三塁送球)を誘って無死一、三塁。喜多が二盗を決め平山は浅い左飛に倒れたが、池口以下3者連続四球で2点を追加した。

1回裏東筑二死二、三塁 佐藤(航)が先制の右前適時打を放つ

4回は一死から四球で出た市川が二盗を決めて一死二塁。喜多三振、平山四球のあと池口が三塁線を破る二塁打を放ち、市川が生還。佐藤満塁で二死満塁とすると、吉武の右前打で2人を迎え入れた。なおも二死一、三塁から吉武が二盗、捕手からの送球が乱れる間に三塁から佐藤が還って、この回4点を加えた。6回は二死から池口中前打、佐藤も右前に落として一、三塁とし、吉武のライト右への二塁打で2点を追加し試合を決めた。

祐誠は2回、猪口のセンター前への当たりを市川がダイビングキャッチを試みて後逸する間に三進(記録は三塁打)、続く山本の二ゴロの間に生還した。5回は森永が遊内野安打、牛島投ゴロで一死二塁。宮口四球、樋口中前打で一死満塁とし、坂田の二ゴロ失の間に森永が還り1点を返した。しかし6回7回は三者凡退に終わり、反撃の糸口をつかめなかった。

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第156回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2025年4月4日・金/久留米市野球場)
チ   一二三四五六七八九 計HE
祐 誠 0100100   241
東 筑 202402x     1081

 祐  誠 年 打安点   東 筑 年 打安点
(二)宮 口② 200 (中)市 川➂ 310
(中)樋 口➂ 320 (遊)喜 多➂ 200
(投左)坂田➂ 200 (捕)平 山② 310
(一)猪 口 310 (一)池 口➂ 321

(左)山 本② 101 (右)佐藤航➂ 223
投 宮 本② 000 (左)吉 武➂ 325
投 椎 葉➂ 200 (三)重 松➂ 300
(遊)菅 野② 300 (二)筋 田② 400
遊 三 宅➂ 000 (投)梶 原② 100
(捕)松 石➂ 300  投 深 町② 200
(三)森 永➂ 210
(右)牛 島➂ 100
打 寺 田➂ 100
球犠振盗残       球犠振盗残
42406       81447
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投 手 回 安球振責 投 手 回   安球振責
坂田  2.0 3113 梶原  3 2311
宮本  0.1 0301 深町  4 2131
椎葉  3.2 5435
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▼試合時間/9:57~11:57
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ

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準々決勝に続いて東筑は梶原、深町と左右の2年生投手による継投で、祐誠を4安打2点に封じた。

東筑・梶原

5回戦の九国大付戦で3回3分の2を1安打無四球と好投した梶原は、120キロ台後半(この日最速136キロ)の直球を軸にスライダ―、カットボールなどを交える左腕。2回に内野ゴロで1点を失ったものの直球に力があり、球は走っているように見えた。ただ3回はその直球が高めに浮き、3つの四球を与えてしまう。それでも二死満塁から猪口を129キロの直球で空振り三振に仕留めて無失点で切り抜け、3回1失点と試合をつくった。

東筑・深町

4回からは右腕の深町。細身の体から投げ下ろす直球は130キロ中盤~後半で、この日最速となる140キロもたびたび計測した。特徴的なのがスライダー。110キロなかばから120キロ超と球速帯に幅があるため別の球種かもしれないが、スイーパーのように右打者の外角に大きくスライドしていく。5回は内野安打に四球、外野の間に落ちるヒットなどで満塁とされ内野ゴロで1点を失ったが、他の3回はいずれも三者凡退。危なげのない投球をみせた。

祐誠・坂田

祐誠は準々決勝の東海大福岡戦に続いて坂田が先発。120キロ台なかば(同127キロ)の直球とスライダーを低めに集めて打たせて取っていく投手だが、初回は微妙な制球に苦しみ、四球に2安打を許して2失点。2回は三者凡退で退けたが、3回先頭の市川にレフト右に二塁打を浴びたところで降板。

2番手に起用されたのは2年生の宮本。直球(同130キロ)とスライダーのコンビネーションが持ち味の右腕だが、無死二塁から三塁寄りの送りバントを間に合わないサードに投げてピンチを広げたのが痛かった。フォースアウトでも微妙というタイミングだっただけに、ここは確実に一塁で一つアウトを取っておきたかった。平山を浅い左飛にうちとったが、ここからストライクが入らなくなり3者連続の四球を与え、降板した。

祐誠・椎葉

1-4となり、これ以上失点は許されない祐誠はエース格の椎葉を送り込む。椎葉は重松を131キロの直球で三振、筋田はスライダーを打たせて二飛に打ち取り、さすがといった投球をみせたが、4回に入ってから決め球であるスライダーの制球に苦しんだ。四球の走者2人を置いて、池口にスライダーを叩かれ、三塁線を破られる。佐藤を歩かせて満塁としたあと、吉武にはカウントを取りにいった直球をライト右に運ばれて2失点。1-8となり大勢が決してしまった。

4回裏東筑二死一、二塁 池口が三塁線を破る適時二塁打を放つ

東筑打線はこの日も好調。四球で走者をため、足をからめて得点圏に走者を進めた後にタイムリーが飛び出し、着実に得点を重ねていった。8安打のうち7本を3~6番で記録し、全9打点を叩き出した。1~3番は二度ずつ出塁し、それぞれ二盗を決めてチャンスを演出。相手投手陣の制球難もあったが、理想的な形で攻撃をつなげることができた。

祐誠は投手陣が4回までに8点を失い、反撃の機運も高まらなかった。1-2の3回、3つの四球で得た二死満塁が一つのポイントだったが、ここを逃してからは勝機を見出すのが難しくなってしまった。継投で競り合いにもちこみたかったが序盤で大量点を失い、勝負形に持ち込めなかった。

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