【観戦記】東筑2-1九国大付(春季大会5回戦)




左右3投手による鉄壁のリレーを見せた東筑が、九国大付打線を1安打に抑えて快勝した。

東筑は初回、四球で出た市川を喜多が送って一死二塁。平山は三振に倒れたが池口が右越え二塁打を放って先制した。2回は先頭の寺戸が左前打。筋田が送ったあと、佐藤(主)の遊内野安打で一死一、三塁とし、市川がスクイズを決めて1点を追加した。その後も得点圏に走者を送りながら得点できなかったが、佐藤(主)~梶原~池口と3人の投手をつないで九国大付の追撃を許さず逃げ切った。

1回表東筑二死二塁 池口が先制の右越え二塁打を放つ

初回と4回の二死一、二塁で得点できなかった九国大付は6回、長嶺が投ゴロ失(一塁悪送球)で一気に二進。淵上の三塁前バントが内野安打となって無死一、三塁とし、打者三宅のときに捕逸で1点を返した。しかし続く無死二塁の好機を生かせず、7回以降は一人の走者も出すことができなかった。6回まで6つの四死球を得ながらもヒットは内野安打の1本に終わり、打線が東筑投手陣の前に沈黙した。

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第156回九州地区高校野球福岡大会 5回戦
(2025年3月29日・土/北九州市民球場)
チ    一二三四五六七八九 計HE
東  筑 110000000 291
九国大付 000001000 110
 東  筑 年 打安点  九国大付 年 打安点
(中)市 川➂ 311 (中)北 尾➂ 300
(遊左)喜多
310 (一)長 嶺➂ 200
(捕)平 山② 400  一 免 田➂ 100
(一投)池口➂ 521 (三)淵 上➂ 410

(右)佐藤➂ 310 (遊)三 宅➂ 100

(左)中 谷② 200  打 小山田② 100
打 吉 武➂ 110 (右)山 本➂ 300
走左 小野➂ 000  打 久保田➂ 100
打 重 松➂ 100 (左)牟 禮② 300
左一 樋口➂ 000 (投)上 野② 000
(三)寺 戸➂ 310  投 山 田➂ 200
(二)筋 田② 200  投 渡 邉② 000
(投)佐藤② 210 (捕)岩 﨑➂ 300
投左 梶原② 210 (二)中 上➂ 300
遊 荒 木➂ 000
球犠振盗残       球犠振盗残
546111       60605
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投 手 回 安球振責 投 手 回   安球振責
佐藤 4 0610 上野  2 3212
梶原   3.2 1030 山田  6.2 6340
池口   1.1 0020 渡邉  0.1 0010
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▼試合時間/9:53~12:05 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ

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多くの逸材が集まる東筑と九州国際大付は北九州地区の「2強」といってよい存在で、この数年は直接対決も多い。2023年は春の大会・5月の北九州市長杯・夏の選手権と九国大付が3連勝。その後、2023年秋の大会・2024年市長杯・8月の新人大会と今度は東筑が3連勝。2025年最初の対戦は、またしても東筑の勝利となった。

東筑・佐藤(主)

豊富な投手力を誇る東筑の先発は2年生左腕の佐藤(主)。長身から120キロ台後半(この日最速133キロ)の直球を投げ下ろしてくる。初回から制球が今一つ安定せず4回まで毎回のように四球を出しながら、ヒットは許さず得点は与えなかった。ひと回り目はほぼ直球、2巡目に入った3回からカーブも交えての投球で、九国大付の打者が差し込まれるシーンも目立った。粗削りながら今後の成長が期待できそうな左腕だ。

東筑・梶原

5回からは同じ2年生左腕、背番号7をつけた梶原が登板。4回までノーヒットの佐藤をスパッと替えたあたり、予定の継投だったのだろう。梶原は130キロ台前半(同136キロ)の力強い直球、低めに落ちてくるスライダーが投球の軸。いずれの球も制球にすぐれ、与えた四死球はゼロ。スリーボールになることさえ一度もなかった。直球で詰まらせ、スライダーで泳がせながら淡々とアウトを重ねていく。5回は6球、7回は9球で終わらせた。

6回は三塁前のボテボテのゴロを自ら処理しようとしたが、足を滑らせて一塁に高投。淵上の三塁前へのセーフティ気味のバントが内野安打となり無死一、三塁。続く三宅の時にサイン違いがあったか、捕手がミットに当てて後逸、1点を失う。なおも無死二塁とピンチが続いたが、ここからが圧巻の投球だった。一球一球、声を上げながら気合を込めた投球で三宅をスライダーで、山本は136キロの内角直球でいずれも空振り三振。牟禮は遊ゴロに打ち取る。九国大付の主軸に真っ向から立ち向かう投球は、エースの風格さえ感じさせるものだった。

東筑・池口

8回二死となったところで、一塁から池口がマウンドへ。経験豊富な大型右腕は、回をまたいで4人の打者にすべて直球勝負。代打久保田を三球三振に仕留めた球は145キロを計測。牟禮も高めの直球で空振り三振。万全の継投で付け入る隙を与えず、危なげのない試合運びだった。

打線は4番池口が2本の二塁打を放ち、存在感を示した。第一打席は直球を逆方向に運び、2打席目も直球を叩いてレフトの右を破った。梶原は昨秋5番を打っていたように打撃もよい選手。この試合でも9回に直球を左翼線にはじき返した。スクイズを含めて犠打も4つ記録するなど、走者を進めて得点をうかがいながら決定打を欠いたことが課題として残った。

九国大付・上野

九国大付も3人の投手が登板した。先発は背番号11の2年生左腕・上野。120キロ台後半(同131キロ)の直球にスライダ―を交えるが、立ち上がりから高めに抜ける直球が目立った。先頭の市川を四球で歩かせ、4番池口には高め直球を痛打されるなど、初回だけで34球を要した。2回にも2安打とスクイズで2点目を失い、この回で降板した。

九国大付・山田

3回から救援に立った山田は投手としては小柄ながら130キロ前後(同135キロ)の直球に力がある。3回4回とスライダーが落ち切らずに苦しんだが、5回以降は低めに安定して決まるようになった。9回途中まで投げ、8回を除いて毎回のように走者を背負っての投球。それでも決定打は許さず粘り切った。

9回二死一、二塁で4番池口を迎えたところで、3人目の渡邉が登板。長身から130キロ台の直球(同136キロ)を投げる長身の2年生右腕だ。もう1点もやれないというなかでの起用に、渡邉はスライダーで池口を三振に打ち取って応えた。

この日、背番号1をつけた山本はライトのポジションから動かなかったが山田、渡邉はまずまずの投球をみせた。小倉にコールド負けした秋から投手陣は整備されてきたものの、ここまで3試合で30点を奪ってきた打線は最後まで沈黙したまま。ライバルに完敗を喫し、北九州の盟主交代を印象づける一戦となった。

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