
第97回選抜高校野球大会(2025年3月18日~)21世紀枠の各地区推薦校の発表が13日(金)に迫りました。九州各県の推薦校は以下の通りとなっており、この中から九州地区推薦校が1校選ばれます。
県名 | 校名 | 今秋成績 | 甲子園出場 |
福岡 | 育徳館② | 九州8強 | なし |
佐賀 | 小城② | 県8強 | 春1/夏1 |
長崎 | 壱岐② | 九州8強 | なし |
熊本 | 熊本商➂ | 県8強 | 春4/夏3 |
大分 | 大分豊府➂ | 県8強 | なし |
宮崎 | 延岡 | 県16強 | 夏1 |
鹿児島 | 隼人工 | 県8強 | なし |
沖縄 | 宮古② | 県4強 | なし |
※校名あとの丸囲み数字は県21世紀枠候補の選出回数 |
九州地区推薦校には過去24回のうち21回までが「秋の九州大会に出場した公立校」が選ばれています(センバツ21世紀枠推薦校一覧)。これに当てはまらなかった3回のうち2回は推薦校に九州大会出場校が不在の年でした。つまり九州大会に出場したチームを差し置いて、九州大会不出場のチームが選出されたケースは2013年の一度だけ(九州大会出場の多良木〔熊本〕が選ばれず、県4強の大島〔鹿児島〕を選出)。今年は九州大会ベスト8の育徳館と壱岐の一騎打ちとなりそうです。
壱岐は玄界灘上に浮かぶ壱岐島にある公立校で、部員21人は全員が島内出身。島内の高校は同校と壱岐商(昨秋と今春秋は対馬・上対馬との連合チームで出場)の2校しかなく、練習試合もままならない環境で秋の長崎大会で準優勝を果たし、九州大会でも専大熊本玉名を下して1勝をあげました。
21世紀枠における「離島」(沖縄本島は除く)は、選考基準の一つである「困難克服」のキラーコンテンツといえます。これまで隠岐(島根/2003年)佐渡(新潟/2011年)大島(鹿児島/2014年)小豆島(香川/2016年)の4校が選出され、甲子園出場を果たしています(2012年の洲本〔兵庫〕は淡路島が本土や四国と陸路で往来できるため「離島」からは除外)。
九州地区で過去に県推薦校に選ばれた離島のチーム(◎は21世紀枠で甲子園出場、○は九州地区推薦) | |||
年 | 校名 | 秋の成績 | 結果 |
2002 | 壱岐 | 県8強 | - |
2004 | 八重山商工 | 県8強 | - |
2005 | 徳之島 | 九州大会出場 | ○ |
2013 | 大島 | 県4強 | ◎ |
2015 | 八重山 | 九州大会出場 | ○ |
2016 | 宮古総合実 | 県8強 | - |
2023 | 対馬・上対馬・壱岐商 | 県8強 | - |
県の推薦校に選ばれながら九州地区推薦校には届かなかった離島のチームも上表のように4例ありますが、いずれも県8強止まり。「九州大会に出場」という条件をつければ該当する徳之島、八重山はいずれも選ばれています。こうした傾向を総合的に考えると、今年の九州地区推薦校は壱岐が本命視されます。
育徳館は「平日の練習時間の短さを早朝や昼休みを使ってカバーしている」「部員が学校行事や生徒会活動に積極的に参加している」のが県推薦校の選考理由。学校の特徴としては小倉藩の藩校をルーツとしていること、野球部創部が1899(明治32)年と古いことが挙げられます。九州大会でも1勝あげており例年であれば地区推薦を勝ち得たと思われますが、今年は壱岐という強力なライバルがいるだけに選出は微妙なところです。
ただ、育徳館は九州大会にたどり着くまでに6試合を勝ち上がってきました(壱岐は4試合)。130校以上が参加する激戦区において公立校が準優勝するのは「困難の克服」に値すると常々思うのですが、福岡県からは未だに21世紀枠でのセンバツ出場はありません。
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