西日本短大附が4安打ながら4四死球に2つの犠飛をからめて効率よく得点を重ね、先発中野も折尾愛真を2安打1点に抑える好投を見せて快勝した。
西日本短大附は初回二死後、斉藤が四球を選び二盗を決めた後、佐藤の左越え本塁打で2点を先制した。4回は斉藤、佐藤が連続四球。安田が送ったあと、打者山下のときに暴投で斉藤が生還。なおも一死三塁から山下の中犠飛で佐藤も還って、この回2点を加えた。
5~7回も得点圏に走者を送りながら追加点が奪えなかったが8回、井上がセンター右に二塁打を放ち、斉藤の遊ゴロ失で無死一、三塁とし、佐藤の左犠飛でダメ押しの1点をあげた。
折尾愛真は2回、死球で出た岩下を近澤が送り一死二塁としたが後続が凡退。3回は二死から日高、平川が四球を選んだものの森下が三振。5回も左前打の村子を原が送り一死二塁としたが得点できなかった。
9回、代打吉原が四球を選ぶと(代走本山)岩下、近澤の一ゴロ2つで二死三塁とし、打者深田の時に暴投で本山が生還して完封を逃れるのが精一杯。西日本短大附・中野に2安打に抑えられ、反撃できなかった。
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第155回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝 (2024年10月5日・土/小郡市野球場) |
チ 一二三四五六七八九 計HE 折尾愛真 000000001 121 西短大附 20020001x 540 折尾愛真 年 打安点 西短大附 年 打安点 (一)日 高② 300 (中) 奥 ② 410 (三)平 川② 300 (遊)井 上② 410 (左)森 下② 300 (右)斉 藤② 200 (打 吉 原② 000 (一)佐 藤② 213 (走 本 山② 000 (左)安 田② 310 (中)岩 下① 300 (捕)山 下② 201 (二)近 澤② 300 (二)湯 山① 300 (遊)深 田② 410 (三)小川耕② 200 (右)村 子② 310 (投)中 野② 200 (捕) 原 ② 200 (投)田 口① 200 (投 齊 藤② 100 球犠振盗残 球犠振盗残 421005 44423 —————————————- 投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責 田口 5 2324 中野 9 24101 齊藤 3 2120 ———————————————— ▼試合時間/12:25~14:17 公式記録ではありません ※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ |
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安打は4本にとどまった西日本短大附だが、その打力を随所に示しての快勝だった。
打線は1番から奥、井上、斉藤と続き、5番に安田、6番に山下と今夏の甲子園を経験した選手たちがずらりと並ぶ。その中にあって4番に座るのが右の長距離砲・佐藤だ。佐藤といえば甲子園の3回戦・京都国際との試合で3点を追う6回二死一、二塁の場面で代打で登場。結果は三振に終わったが打席に入る前の豪快な素振り、そして3つの空振りで球場をわかせた選手だ。そのスイングだけで、これだけのどよめきを起こした選手を他に知らない。
バットに当たれば、どこまで飛んでいくのだろうー。そんな観客の思いに応えるように、佐藤が初回いきなりレフト場外に一発を叩き込んだ。一塁に斉藤を置いて2-1からの4球目、スライダーを叩いた一撃は打った瞬間、それとわかる当たりだった。4回無死一塁で再び佐藤を打席に迎えた折尾愛真の先発・田口はまともに勝負にいけずストレートの四球。本塁打の強烈な残像が西日本短大附にチャンスをもたらし、暴投と犠飛で2点を追加した。ノーヒットでの2得点だったが、西短打線の迫力を十分に感じさせる2点だった。
佐藤は6回、2番手の齊藤からもセンター後方に大きなフライ。8回には走者を三塁に置いて左中間深くに犠飛を打ち上げた。レフトがかなり深く守っていたため犠飛となったが、通常の守備位置であれば左中間を破っていたであろう。
前チームからのレギュラー組も存在感を示した。5回は俊足の奥が中前打で出るとすかさず初球にスタートを切り、投球が暴投となる間に一気に三塁を陥れた。6回の安田の三塁打はライト頭上を越え、フェンス間際まで達する大きな当たり。8回には井上がセンター右にはじき返す二塁打でチャンスをつくり5点目のホームを踏むなど、4本のヒットはどれもインパクトのあるものだった。安打性の当たりを折尾愛真の好守に阻まれることも少なからずあり、4安打ながら「抑えられた」という感じはなかった。
エース中野は3回まで3つの四死球を与え、芯で捕らえられる当たりも多かったが、しり上がりに調子を上げていった。スライダーの切れも回を追うごとに鋭さを増していった印象で、6~9回の後半4イニングスだけで7奪三振。高さ・コーナーともギリギリのところをつく制球力も抜群で、8回まで折尾愛真に三塁を踏ませなかった。9回に暴投で1点を許したが奪三振10、被安打2、与四死球4で完投した。
折尾愛真の先発・田口は引き上げた左足をしばらく止め、そこから直球にスライダ―、さらに大きな弧を描くスローカーブを投じてくる。初回、4回とも四球からピンチを招いて失点したが、味方の好守にも助けられ5回を投げて被安打は2。6回からマウンドに上がった齊藤もコンパクトなフォームから直球にスライダ―を交え、3イニングスを2安打1失点。ともに目を見張るような剛球や変化球があるわけではないが、緩急をつけながら打たせてとっていった。
守備では、西日本短大附の各打者の放つ強打を右に左に追ったセンター岩下の動きが目に留まった。2回は小川の右中間への飛球を好捕。4回一死三塁では山下のライナー性の打球を背走しながら追い、最後は倒れ込みながら捕球してタッチアップによる1点にとどめた。
打線は序盤、安打にこそならなかったが確実に芯で捕らえ、力のあるところを見せた。ただ中盤以降はペースをつかんだ中野の前に沈黙した。9回は代走に起用された本山が二死三塁の場面、投球を山下が前にはじいたのを見て迷いなくスタートを切り、本塁を陥れた。その判断力・思い切りのよさは、これぞ代走と思わせるものであった。
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