【観戦記】東福岡3-0小倉(秋季大会準々決勝)




中盤にかけて小刻みに得点を加えた東福岡が近藤の力投で小倉を完封、準優勝した2022年秋以来の準決勝進出を決めた。

初回一死二、三塁、2回一死二塁の好機を逃した東福岡は3回、一死から大木が死球で出塁すると二盗を決め、大坪の中前打で一死一、三塁。大坪も二盗を決めたあと瀧川は三振に倒れたが菅が中前打を放って先制した。

3回裏東福岡二死二、三塁 菅が先制の中前打を放つ

4回はセンター右への二塁打で出た吉田を近藤が送り、辻生の中犠飛で1点を追加。続く5回は大木がライト右への二塁打で出ると三盗を決め、大坪死球で無死一、三塁とし、瀧川の右翼線への飛球をライトが一度グラブに収めながら完全捕球に至らず落球(一走は二塁封殺)、大木が生還した。

小倉は初回一死後、小林が中前打で出塁。林三振のあと良永も右前打で一、二塁としたが元吉が二ゴロ。3回は二死から左前打で出た林がけん制悪送球で二進したが、良永が三振に倒れて先制できなかった。

先制された直後の4回にも一死から棈松が中前打を放ち、暴投で二進したが後続が凡退。5回以降は東福岡・近藤の前に二塁を踏めず、完封を喫した。

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第155回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝
(2024年10月5日・土/小郡市野球場)
チ   一二三四五六七八九 計HE
小 倉 000000000 061
東福岡 00111000x 381
  小 倉 年 打安点   東福岡 年 打安点
(遊)吉 原② 400 (中)山 本② 400
(右)小 林② 410 (二)大 木② 320
(一) 林 ① 430 (右)大 坪② 320
(三)良 永① 410 (三)瀧 川② 401

(左)元 吉② 300 (一) 菅 ① 311
打 田中禄① 100 (捕)山 下② 210
(中)棈 松① 410
(左)吉 田② 210
(捕)佐 藤① 300 (投)近藤結② 300
打 畝 原② 100 (遊)辻 生② 411
(投)田中秀② 100
(二)勝 木② 300
球犠振盗残         球犠振盗残
20907           54169
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投 手 回 安球振責 投 手 回   安球振責
田中秀 8 8513 近藤結 9 6290

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▼試合時間/9:53~11:46 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ

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九州国際大付、東海大福岡と北部の強豪をコールドで下してきた小倉打線と、福岡大大濠を封じた東福岡・近藤の対戦は、近藤に軍配が上がった。

東福岡・近藤

近藤は勢いのある直球に縦に鋭く落ちるスライダーが武器。その近藤に対し小倉は初回、小林が直球を叩いてショート右を破り出塁。良永はスライダーをライト右に落として一、二塁としたものの、元吉がスライダーを二ゴロ。3回は林が低めのスライダーをうまく拾って左前に落とし、けん制悪送球で二進したが、良永が外角低めの直球に空振り三振。4回も棈松が中前打で出て暴投で二進したものの佐藤、勝木が高めの直球に手を出して空振り三振。好機に一本がでなかった。

小倉・田中

東福岡打線も、初回から小倉先発の田中に襲い掛かった。一死から大木がセカンド右への内野安打、大坪も右前打で続くと重盗を決めて一死二、三塁。ここは得点できなかったが、3回大木の四球に大坪中前打と二つの盗塁で二死二、三塁から菅がセンター前にはじき返して先制。4回は吉田の二塁打のあと二つの犠打で手堅く加点し、5回も大木の二塁打を足掛かりに1点を追加して3-0とリードを広げた。

この日の東福岡打線も大振りせず、センターから反対方向に打ち返す打撃をみせた。3回は死球の大木を二塁に置いて大坪がセカンド左を破る軽打でチャンスを広げ、菅が直球を中前に運んだ。4回先頭の吉田の二塁打も右翼線にフラフラと上がった打球がラインギリギリのところに落ちたもの。5回無死一、三塁からの瀧川の一打もライト右に落ちようかという飛球。懸命に追った小林が一度はグラブに収めたが完全捕球に至らず、1点を加えた。この日東福岡が放った8安打のうち6本は中堅から逆方向。チームとして意識が徹底されているように感じた。

機動力も存分に発揮した。大木の3盗塁をはじめチームで6盗塁。3つの送りバントも確実に決めた。派手さはないが堅実な打撃と走塁で毎回のように走者を出して得点をうかがい、流れを渡さなかった。

4回裏東福岡一死三塁 辻生の中犠飛で吉田が生還し2点目

近藤は5回まで毎回のように走者を出しながらも毎回の6三振を奪い、決定打を許さなかった。小倉の打者は高めの直球に手を出して空振り、もしくは差し込まれるシーンが目立ち、鋭く落ちてくるスライダーを打ちあぐんだ。6回以降、出塁したのは右前打を放った8回の林のみ。しり上がりに調子をあげた近藤に後半は完全に封じられた。

田中も5つの四死球を与えるなど毎回走者を出したが、粘り強く投げた。初回一死二、三塁のピンチを切り抜けて序盤互角の展開に持ち込み、5回1点を失ったあとの一死満塁もしのいで後半勝負に望みをつないだ。この日は直球の割合が多く、九州国際大付戦で有効だったスピードを殺した変化球が決まり始めたのは後半になってから。序盤、もう少しこの球が使えていたらと感じた。

小倉打線では3番林が3安打と気を吐いた。3回は内角低めのスライダーを左前に運ぶ技ありの一打。5回は際どい球をカットして粘り、最後は直球をショート左に運んだ。8回はスライダーをライト前にはじき返すクリーンヒット。左右に打ちわけ巧打者ぶりを発揮した。4番良永も初回、スライダーをライト左に落とし、8回は一塁に林を置いて痛打を放ったがファースト正面のライナーとなり併殺。3番4番が力のあるところを示したが、得点をあげることはできなかった。

ただ、2018年春以来の県大会出場で存在感は十分に示した。林、良永ら4人の1年生が名を連ねる若いチームだけに、来年以降のさらなる活躍が期待される。

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