育徳館・島、常磐・尾崎、両先発投手による投手戦が繰り広げられたが、3回にあげた1点を島が守り切った。
2回一死三塁の好機を逃した育徳館は続く3回、山辺が遊内野安打で出塁すると、打者村上の時にけん制が乱れて二進。村上の捕手前バントで山辺は三塁で刺さたが、高瀬の三ゴロ失と小森の四球で一死満塁とし、山下の三ゴロが5-4-3の併殺崩れとなる間に村上が生還、これが決勝点となった。
常磐は初回、上嶋が四球、浦津の三前バントで一塁送球が乱れて無死一、二塁としたが、重松の送りバントが一飛となり武本三振、大神遊ゴロで無得点。1点を失った直後の4回は一死から大神がライト右への二塁打で出塁したが後続が凡退。5回も一死後、谷崎死球、上嶋の三ゴロで一塁送球が乱れて一、三塁としたが、浦津の一ゴロで三走が三本間で挟殺されて得点できなかった。その後も7回一死二塁、8回二死二塁と得点圏に走者を送ったが決定打を欠いた。
常磐の先発尾崎も6回二死満塁、7回二死三塁、8回二死一、二塁と再三のピンチを背負ったが要所を締めて追加点を許さなかった。しかし、打線の援護がなく7安打1失点の完投も報われなかった。
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第155回九州地区高校野球福岡大会 5回戦 (2024年9月28日・土/桃園球場) |
チ 一二三四五六七八九 計HE 常 磐 000000000 042 育徳館 00100000x 173 常 磐 年 打安点 育徳館 年 打安点 (三)上 嶋② 400 (遊)高 瀬② 400 (二)浦 津② 300 (中)小 森② 310 (中)重 松② 410 (右)山 下② 401 (左)武 本② 400 (捕)隅 田② 410 (一)大 神② 410 (投) 島 ② 430 (捕)石 橋① 410 (一)梅 村② 200 (遊)川 﨑① 300 (二)荒 津② 400 (投)尾 崎② 410 (左)山 辺② 320 (右)谷 崎① 200 (三)村 上② 200 ーーーーーーーーーー 三 奥 家② 100 球犠振盗残 球犠振盗残 328210 30209 —————————————- 投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責 尾崎 8 7320 島 9 4380 ———————————————— ▼試合時間/9:45~11:34 公式記録ではありません ※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ |
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前チームの主力が複数残る常磐打線と育徳館の好投手・島の対決は、島に軍配が上がった。
島は1年秋から主戦を務める右の本格派投手。今春の福岡中央地区大会では準優勝、夏は県大会にチームを導いた。この日も伸びのある直球に球速を殺したスライダー、カーブで緩急をつける投球がさえた。初回、四球と味方の失策で一、二塁といきなりピンチを迎えたが、4番武本には緩い変化球を見せながら最後は外角低めの直球で見逃し三振。続く大神は内角直球で詰まらせて遊ゴロに打ち取った。その後も3回を除いて毎回のように走者を出したが、速球と変化球との緩急が効果的で決定打を許さなかった。
最後の山場は8回、先頭の重松が遊内野安打で出塁し、4番武本を迎えた場面。送る様子を一切みせず真っ向勝負に挑んだ武本に、2-1から3球ファールで粘られたが最後は遊ゴロに打ち取って勝負あり。9回も先頭打者を四球で歩かせたが後続を断ち、4安打3四球で完封した。
常磐の尾崎は右肘をしっかりと上げ、そこから振り下ろす腕の高さをスリークオーター、サイドハンドと変化をつけながらの投球。スライダーは文字通り右打者から逃げるようにスライドしていく軌道で、高い位置から腕を振り下ろしてのカーブもある。変化球を引っ掛けさせて内野ゴロの山を築き、三ゴロだけでこの試合8つを数えた。コーナーいっぱいを突けているからか、芯で捕えられても野手の正面をついてアウトになる打球も多かった。
この試合、唯一得点が入ったのは3回裏。ショート左への内野安打で出た山辺が一塁けん制悪送球で二進したあと、村上のバントは捕手前の小飛球。山辺は一瞬スタートを躊躇、ワンバウンドしたタイミングで三塁に向かったが石橋が冷静に三塁送球してタッチアウト。育徳館のチャンスは潰えたかにみえた。しかし高瀨の三ゴロで併殺を狙った二塁送球が乱れ、小森四球で一死満塁。続く山本の一打は三塁正面の強いゴロ。捕球した上嶋は5-4-3での併殺を狙ったがセカンドが二塁ベースに入るまでわずかな間があり、さらに山下が左打者だったこともあって一塁はセーフ。この間に村上が生還し、結果的にこれが決勝点となった。
結果論を承知でいうと5ー2-3、あるいは三塁ベースを踏んでからの一塁送球であれば併殺成立か…と思われるタイミング。上嶋は三塁ベースの前で守っていただけに本塁経由での併殺を狙い、まずは三走を封殺しておきたかった。もっとも上嶋の背番号は3。普段守り慣れていないポジションだったのかもしれない。
対して育徳館は4回の守りで一死二塁の場面、石橋のショート左のゴロを高瀨が追いつき、一塁は間に合わないとみて素早く二塁へ送球。意表を突かれて帰塁のタイミングが遅れた二走を刺す好プレーでピンチを脱したように、野手の一瞬の判断が試合を左右する、きわどい試合だった。
打っても5番に座る育徳館の島は右に左に3安打。打撃でもセンスとあるところを見せた。1番高瀨が5回に放ったセンター後方への飛球は、中堅125mと広い桃園球場のフェンス直前まで伸びた。最後は重松に好捕されたが、この日一番の大きな当たりだった。
常磐は2つの盗塁を決め、ヒットエンドランを仕掛けるなど積極的に動いて得点の機会をうかがったが、島の投球が一枚上手だった。
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