【観戦記】福大若葉6-4春日(選手権福岡大会準々決勝)




◇福大若葉6-4春日(選手権福岡大会準々決勝)

2回までに8安打と足を絡めた攻撃で5点を奪った福岡大若葉が、終盤の春日の反撃をしのいで初のベスト4入りを果たした。

▼準々決勝(20日・北九州)〔試合記録
春  日 000 000 400 =4
福大若葉 230 100 00x
=6
【春】大石→久保田→前田
【福】川村→井上→川原

福岡大若葉は初回一死後、藤川が中前打を放ち二盗を決めて一死二塁。池田のセカンド左への内野安打で一、三塁とし、ここで登板した春日2番手の久保田から4番山本が右前打を放ち、藤川に続きスタートを切っていた一走の池田も生還して2点を先制した。

1回裏福大若葉一死一、三塁 山本が右前適時打を放つ

2回は8番井上が遊内野安打、川原の二ゴロで二塁封殺されたが水迫右前打のあと、3番手前田から藤川が左前に落として一死満塁。打者池田の時に暴投で1点を加えると一死二、三塁から池田の一ゴロで本塁送球が野選となり2点目。池田が二盗を決めて一死二、三塁から山本の一ゴロの間に三塁から藤川が生還し、この回3点を加えた。

4回は一死後、中前打で出塁した水迫が藤川三振のときに二盗を決め、池田の右前打でホームイン。6-0とリードを広げた。

6回まで1安打に抑えられていた春日は7回、4番石松が三塁内野安打、横山も右前打で続き、長尾三振、山北四球で一死満塁。信國三振のあと9番前田の左越え二塁打で2者が生還した。なおも二死二、三塁から田口がレフト右への二塁打を放ち2点を追加、4-6と迫った。

8回も一死から石松中前打、横山四球で一、二塁。ここで登板した川原から長尾も四球を選んで一死満塁としたが、山北が浅い左飛、信國も中飛に倒れ無得点。9回も先頭の前田が四球で歩いたが1~3番が凡退して追い上げも実らなかった。

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5回戦で東筑を集中打で下した福大若葉の勢いが、春の優勝校・春日ものみこんだ。

春日・久保田

初回右前打で出た水迫が次打者藤川の時に二盗を仕掛けたが失敗。普通なら二盗に慎重になるところだが「失敗したらまたチャレンジしたらいい」とばかりに藤川が中前打で出塁すると次打者池田の初球、スルスルとリードをとるとそのままノンストップで二盗を敢行。見事に成功させてみせた。池田がセカンド左への内野安打で出ると、春日ベンチは早くも先発の大石から3・4回戦で先発した久保田にスイッチ。流れを止めにかかる。

一死一、三塁。フルカウントとなった場面で一塁走者の池田がスタート。セカンドが二塁ベースに入ったが、ヒッティングにでた山本の打球がその逆をつく形となって右中間に転がり藤川、さらにスタートを切っていた池田も一気に生還。打者3人で2点を奪う速攻だった。

福大若葉・川村

福岡大若葉の先発は5回戦に続き1年生左腕の川村。初回は三人で抑えたが2回一死をとったあと急に直球が浮きはじめ連続四球。若葉ベンチの決断も早く、主戦の井上を投入して後続を断つ。

直後の2回裏、その井上が遊内野安打。川原の二ゴロで走者が入れ替わったあと、水迫がファーストの左を破りチャンスを拡大。続く藤川のカウントが3-1となったところで春日ベンチはここが勝負処とみたか、エース前田をマウンドに送り出す。その前田のスライダーに体勢を崩され当てただけになった藤川の飛球はレフト前に落ちて満塁。続く池田への3球目が暴投となり、三塁から川原が生還する。これで3-0。

さらにここから若葉の足攻めがさく裂する。池田の一ゴロで三塁から水迫が本塁送球をかいくぐって生還(記録は野選)すると、池田が二盗を決めて一死二、三塁。続く山本は一ゴロ。三走藤川が自重しているのを見たファーストが自ら一塁ベースを踏みに行ったが、そのスキをついて藤川が本塁を陥れた。内野ゴロ2つで2点をもぎとり5-0、得意の形で得点を重ね主導権を握った。

福大若葉・井上

投げては井上が6回まで1安打投球。4番藤﨑、5番大川の主力2人を体調不良で欠く春日打線を抑え込んでいく。ただ、春の優勝校にも意地がある。簡単には引き下がらなかった。

7回、石松の三塁前のボテボテのゴロが内野安打となったのが反攻の狼煙となった。横山も変化球に体勢を崩され辛うじてバットに当てた打球が一・二塁間を抜けていく。その後二死満塁となり、前田が左翼フェンスを直撃する二塁打を放ちまず2点。さらに田口の当たりはレフトの右へ、大井が追いついたかに見えたが捕球に至らずさらに2者が生還。これで試合の行方が分からなくなった。

福大若葉・川原

続く8回は一死から石松がセンターへのクリーンヒット。横山四球で同点の走者が出たところで、若葉ベンチは井上を下げ、ファーストの川原を送り込む。川原はエースナンバーを背負う左腕。120キロ前後の直球にカーブを交える軟投派だ。登板直後、直球が浮く。長尾に四球を与え一死満塁、さらに山北にも2-1とボールが先行するが、ここから踏ん張った。山北を浅い左飛、信國を中飛にうちとってピンチを脱する。

9回も先頭の前田を歩かせると、1~3番にはヒット性の当たりを連発される。田口はショート正面へのライナー、樋渡の一打もレフトにいい角度で上がったが、もうひと伸びがなくフェンス手前で大井が捕球。五十嵐の痛打は川原に代わってライトからファーストに回っていた長身・池田のミットに収まり、3つのアウトを重ねた。

春日・前田

春日は主力二人を欠いたことがやはり響いた。特に4番藤﨑はファーストの守備でも好守を見せていた選手。急遽ファーストの守備に就いた濵崎のもとに判断の難しい打球がたびたび飛んだことも不運だった。投手陣は序盤、若葉の積極的な走塁に揺さぶられてリズムに乗れず、ようやく試合が落ち着いてきた頃には6点のビハインドを背負っていた。

福岡大若葉は、九産大九産戦では終盤に追いつき、育徳館戦では終盤に追いつかれてそれぞれ延長タイブレークを制した。東筑戦は川村の好投と集中打、そしてこの試合は序盤の速攻。様々な展開の試合をものにしながらベスト4まで駆け上がった。

次はいよいよ「横綱」福岡大大濠に挑む。若葉の奔放野球がどこまで通用するのか。いよいよその集大成を迎えようとしている。

【福岡大若葉】~「主役は選手」の奔放野球で、夏舞台を縦横無尽に駆け巡る

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