
◇近大福岡6-0福岡魁誠(選手権福岡大会2回戦)
エース田邊が8回途中まで被安打3の力投を見せた近大福岡が、完封で福岡魁誠を下した。
▼2回戦(3日・筑豊緑地)〔試合記録〕
近大福岡 003 000 021=6
福岡魁誠 000 000 000=0
【近】田邊→永嶋→山本光→桑村【福】大久保
近大福岡は3回、1番中川が左前打で出ると平田のライト右への二塁打で無死二、三塁とし、坪根の右前打で中川が生還。4番河村もセンター前に落として2点目をあげると、なおも無死一、二塁から田邊の一塁前送りバントは三封されたが、下見が送って二死二、三塁。ここで7番竹松が中前打を放ち、この回3点を先制した。

5回と7回の一死二塁の好機には得点できなかったが8回、5番田邊が中前打、下見の左翼後方への飛球はレフトが追いつきながら落球(記録は安打)して無死一、二塁。竹松の一塁前バントは再び三封されたが、続く橋本の一ゴロで二塁送球がそれ、ボールが外野を転々とする間に2人が生還した。
9回は先頭の中川がライト左を破る三塁打で出塁。代打加来投ゴロのあと、坪根の二ゴロで中川が三本間に挟まれたが、挟殺プレーのすきを突いて本塁を陥れ、ダメ押しの1点を加えた。
福岡魁誠は2回、先頭の4番大久保がセンター左を破る二塁打を放ち、因幡が送って一死三塁。打者宮崎のときにエンドランをかけたが三振併殺。5回も遊内野安打で出た大久保を因幡が送ったが、後続が凡退して得点できなかった。6回以降は先発・田邊を含めた4人の投手の前に走者を出せず、散発3安打に抑えられて完封を喫した。
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近大福岡は今大会注目の投手の一人・田邊が先発。昨秋16強、今春も2勝をあげている福岡魁誠を相手にどのような投球をするか注目されたが、初回から快調に飛ばした。外角低めいっぱいに決まる伸びのある直球を軸に、時折カーブも交えながら、8回二死まで被安打3・7奪三振・四死球ゼロという内容。三振のほか、直球で押し込んで凡飛に仕留めるシーンが目立った。直球・カーブともコントロールが安定し、スリーボールになったのは一度だけ。福岡魁誠の早打ちもあったが、8回二死まで投げて63球という球数の少なさも際立った。
8回二死からは左腕永嶋、右腕の山本、1年生桑村の3人が登板。特に永嶋は小柄だが直球にキレがあり、鋭く落ちるスライダーも目を引いた。次戦以降も、登板の機会がありそうだ。守備でもショート中川の軽快な動きが目を引き、セーフティバントにスキなく処理したサード橋本の落ち着いたプレーもあった。
打線は13安打。1番中川は内角球をうまくおっつけた左前打、引っ張っての三塁打と左右に打ち分ける打撃が光った。3番坪根もクリーンヒット2本、4番河村は猛打賞。幸運なヒットや相手のミスによる得点もあり安打数ほど圧倒した印象はないが、4回と6回を除いて毎回得点圏に走者を送り、常に攻勢をとり続けた。

福岡魁誠の先発は左腕エースの大久保。スライダー、カーブを低めに集める変化球投手だ。3回は5安打で3点を失ったが、このうち平田の当たりは右翼線にふらふらと上がった打球にライト新宅がスライディングキャッチを試みたが及ばず、二塁打になったもの。河村のタイムリーも中堅前方への浅い飛球が風に押し戻され、最後はセンター長岡が飛びついた先に落ちたヒット。8回9回も守備陣の乱れをつかれて失点を重ねたが、13安打は許しながらも四死球は2つだけ。粘り強く投げて試合をつくった。
打線は大久保、新宅がクリーンヒットを放ったが、全体的に直球に力負けした印象。セーフティバントを試みるなど反撃のチャンスをうかがったが、田邊を中心とした近大福岡の守りを崩せなかった。
苦しい試合のなかで存在感を出したのはファーストの長嶋。送りバントに勢いよくダッシュをかけて三塁で二度封殺したほか(サード阿比留もショートバウンドになった二度の送球を好捕)、6回には自身の左を抜けようかという打球を横っ飛びにおさえるなどガッツあふれるプレーをみせた。8回一死一、二塁ではファーストゴロを捕球したあと併殺を狙った二塁送球が乱れて2人の走者を還してしまったが、それすらも失敗を恐れぬ思い切りのよいプレーに映った。まだ2年生、新チームを引っ張っていく存在となりそうだ。
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