
26日(木)に行われるプロ野球ドラフト会議。4年前に福岡県下の高校を卒業した大学生のうち11人がプロ志望届を提出しています。今の大学4年生たちが高校3年生だった2019年は、筑陽学園が春夏連続で甲子園に出場しました。この世代からは高卒でドラフト指名された選手は、育成も含めていませんでした。新たにプロ入りを目指す彼らの高校時代から現在までを簡単に振り返ってみたいと思います。
選手名 | 大学 | 高校 | 守備(投/打) | 短評 |
武内 夏暉 | 國學院大 | 八幡南 | 投(左/左) | 完成度高い大型左腕。今秋、最優秀防御率 |
進藤 勇也 | 上武大 | 筑陽学園 | 捕(右/右) | 強打強肩、大学日本代表の正捕手 |
西舘 昂汰 | 専修大 | 筑陽学園 | 投(右/右) | 150キロ超の直球。4年秋は防御率1.67 |
下村 海翔 | 青山学院大 | 九国大付 | 投(右/右) | 大学選手権Vに貢献。日米大学選手権MVP |
木村 仁 | 九州共立大 | 北九州 | 投(右/右) | 150キロ超の直球が武器。大学日本代表 |
高橋 駿介 |
西日本工大 | 小倉工 | 外(右/左) | 勝負強い強打の外野手 |
星野 恒太朗 | 駒澤大 | 福大大濠 | 投(右/右) | U15日本代表の右本格派。直球に威力 |
中村 太耀 |
城西国際大 | 福大大濠 | 投(左/左) | 最速149キロを誇る速球派左腕 |
宮原 滉希 | 福岡教育大 | 久留米 | 捕(右/右) | 高3夏は10打数5安打1打点。4回戦敗退 |
森下 尋水 | 東農大 | 沖学園 | 外(右/右) | 高3夏は4打数1安打。初戦敗退 |
実松 慎太郎 | 九州国際大 | 飯塚 | 投(右/左) | 高3夏の出場機会なし |

すでにソフトバンクと西武が1位指名を公表している國學院大の武内夏暉投手は、八幡南3年の時に北九州市長杯で優勝。決勝では星琳を完封しました。当時の球速は125キロ前後でしたが、長身から投げおろす直球は打者の膝元に球が突き刺さるような感じを受け、球速表示以上のスピード感がありました。スケールを感じさせる素材ということで、当時からプロのスカウトが注目していました。
夏は3回戦で豊国学園に敗れましたが、大学に進んでから本格化。120キロ台だった球速は150キロ台にまで上がり、3年秋の東都1部リーグでは4勝0敗、防御率0.68でチームの優勝に貢献し最高殊勲選手に。4年生になった今年は大学日本代表として7月の日米大学野球選手権に出場、秋のリーグ戦では5勝をあげて最優秀防御率(0.97)に輝きベストナインに選出されました。八幡南出身選手のドラフト指名となると、2014年に広島の育成1位で指名された松浦耕大選手以来となります。

上武大・進藤勇也捕手と専修大・西舘昂汰投手は筑陽学園でバッテリーを組んで春夏連続で甲子園出場。この代の投手陣は西舘と右腕の西雄大、左腕の菅井一輝の3本柱で、秋の九州大会を制しました。九州大会準々決勝では興南・宮城大弥(現オリックス)と延長12回までゼロを並べる投手戦を演じた末に勝利。センバツでは8強入りを果たしました。夏の福岡大会でも準決勝で下村投手のいた九州国際大付を完封し、決勝では進藤に逆転本塁打が飛び出すなど接戦の末に西日本短大附を破って優勝。甲子園では初戦で作新学院に敗れましたが、2019年の福岡の高校野球界の主役でした。

西舘は140キロ超の直球にスライダーの切れもあり制球力も抜群で、当時から完成度の高い投手でした。競り合った展開でも根負けしないタフさもあります。進藤はその打力や強肩に加え、ピンチの場面では再三マウンドに駆け寄って投手と積極的にコミュニケ―ションをとる姿勢が印象に残っています。本塁でのクロスプレーでもひるまないガッツもあり、まさに守備の要といえる存在でした。
上武大に進んだ進藤は大学日本代表に選ばれるなど大学屈指の捕手に成長。西舘は4年秋の東都2部リーグ戦で3勝をあげ防御率1.67、59回3分の1イニングスで58三振を奪うなど好成績を残し、ベストナインに選ばれました。バッテリー揃っての指名が期待されます。

下村海翔投手(青山学院大)は九州国際大付で2年春の九州大会で2つの完投勝利をあげて優勝に貢献。秋の九州大会にも出場しましたが初戦敗退、3年夏は準決勝で西舘-進藤のバッテリー擁する筑陽学園に敗れ、甲子園とは縁がありませんでした。140キロを超える直球にスライダ―、カットボールのキレもあり制球力も抜群で、当時から完成度の高い投手でした。九州国際大付には下村の前後に富山(オリックス)、藤本、山本、柳川(日本ハム)など左右の本格派投手がいましたが、高校時代の完成度という点では一番でした。
大学では4年次の東都1部リーグで春3勝(防御率0.85)、秋2勝(同1.71)と安定した投球を見せました。今年6月の大学選手権でも2勝をあげるなど優勝に貢献。7月の日米大学野球選手権では主戦投手としてMVPに輝くなど、国際大会でも活躍を見せました。

木村仁投手(九州共立大)は高校時代に特筆する成績は残せませんでしたが、3年夏は140キロを超える速球投手として注目されました。最後の夏は初戦の中間戦で11三振を奪って完投勝ちを収めましたが、3回戦の東海大福岡戦では雨の中で中盤以降に制球を乱してコールド負けを喫しました。
4年前もプロ志望届を提出しましたが、この時は指名なし。九州共立大に進んで直球のスピードを150キロ台に乗せ、4年生となった今年は武内、下村らと共に大学日本代表に選出されました。今年7月の日米大学野球選手権に出場し2試合に登板しました。

高橋駿介外野手(西日本工大)は小倉工時代、勝負強い強打の5番打者として活躍しました。3年夏は5試合で21打数10安打7打点と強力打線をけん引し、チームは準々決勝まで進出。最後は筑陽学園に敗れましたが、この試合で西舘に2本の二塁打を浴びせています。大学でも早くから主力として活躍。2年春には大学選手権に5番レフトで出場、3年秋の九州地区大学野球連盟リーグ戦ではベストナインに選出されています。

星野恒太朗投手(駒澤大)と中村太耀投手(城西国際大)は共に福岡大大濠の出身。一つ下の学年には山下瞬平大(オリックス)がいます。星野は中学時代、宮城らと共にU15日本代表に選ばれ、福岡大大濠でも早くからエース候補と見られていました。直球は140キロを超えるなど威力がありましたが故障や制球難などもあり、中継ぎでの登板が中心で期待されたほどの活躍はできませんでした。3年夏は準々決勝で0-1の場面で登板。その後、味方が同点に追いつきましたが決勝点を許して敗退。この時に投げ合ったのが九州国際大付の下村でした。

中村は3年春の福岡大会でエースナンバーを背負いました。120キロ台後半の直球にカーブなど変化球を交え、コーナーを突いてくる投手という印象でした。星野のほか、一つ下に山下や深浦幹也などの好投手がひしめく中で登板機会に恵まれず、最後の夏はわずか打者1人の登板に終わっています。共に大学では目立った成績は残せませんでした。
宮原滉希捕手(福岡教育大)は久留米高時代、2年夏から3番捕手として出場。夏は2年間で15打数7安打1打点という成績が残っています。森下尋水外野手(東農大)は沖学園2年の時にチームは夏の甲子園出場を果たしましたが、自身は出番はなし。3年夏の福岡大会は初戦で九産大九州に敗れ4打数1安打という成績でした。実松慎太郎投手(九州国際大)は飯塚で夏の福岡大会出場はありませんでした。
昨年は福岡の高校を卒業した大学生は、甲斐生海(ソフトバンク、九州国際大付出身)や渡辺翔太(楽天、北九州出身)など6人が指名されましたが、今年は何人が指名を受けるでしょうか。運命のドラフト会議は今日16:50に始まります。
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