【観戦記】西日本短大附8-6筑陽学園(春季大会パート決勝)




【西日本短大附8-6筑陽学園(春季大会パート決勝)】

1回表西短大附二死二塁 高峰が先制の右越え二塁打を放つ

序盤に大きくリードを奪った西日本短大附が、終盤の筑陽学園の猛追を振り切って県大会出場を決めた。

西日本短大附は初回一死後、轟木が死球で出ると村上三振のあと二盗を決め二死二塁とし、高峰の右越え二塁打で先制。さらに多久死球、古賀の遊内野安打で二死満塁から、深町が右越えに走者一掃の三塁打を放ち3点を追加した。

3回は二死から多久がニゴロ失で出塁。続く古賀のゴロはファーストの前でイレギュラーする二塁打となり、内野への返球が乱れる間に多久が生還した。なおも二死二塁から深町四球のあと、荒木の右前打で1点を追加。中塚も中前に落として深町も還り、この回3点をあげた。3点差に迫られた7回は多久が左前打で出ると、古賀は一ゴロ(二塁封殺)に倒れたが打者・深町の時に暴投で二進し、深町の中前打で生還した。

筑陽学園は3回、西村中前打のあと田中も右前打で続き、鷹野が送って一死二、三塁。西山の右犠飛でまず1点を返すと、なおも二死二塁から横家の左前打で一、三塁とし、木竹の左前打で田中が生還した。6回は一死から西村が三塁内野安打で出塁。田中の左翼線二塁打で一死二、三塁から鷹野の中犠飛で西村がホームイン。なおも二死三塁から西山の左前適時打で、3点差に迫った。

4点を追う9回は一死後、木竹が投強襲安打で出ると、前田右飛のあと、代打小西も投手を強襲する安打を放って二死一、二塁。続く鶴田のレフト右を破る二塁打で2人が還り2点差まで詰め寄ったが、反撃もここまで。序盤の失点が大きく、最後まで挽回できなかった。

第152回九州地区高校野球福岡大会パート決勝(2023年3月29日・水/久留米市野球場)
          一二三四五六七八九   計HE
  西短大附 403000100 813

  筑陽学園 002002002 615
 西短大附  打安点  筑陽学園  打安点 ◆投手成績
(遊)江 口 510 (遊)田 中 540 西短附 回 安球振責
(二)轟 木 200 (二)渕 上 100 中塚  9 15336
(中)村 上 520 二 鷹 野 211 
(三)高 峰 511 (三)西 山 412 筑 陽 回 安球振責

(捕)多 久 420 (左)横 家 510 西村  9 13535
(一)古 賀 520 (捕)木 竹 521 
(右)深 町 324 (右)前 田 510 試合時間
(左)荒 木 411 (中)井 上 200 09:50~12:17
(投)中 塚 421 打 小 西 110
ーーーーーーーーーー (一)鶴 田 422
ーーーーーーーーーー (投)西 村 420
振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
35216 3713      334112   3815
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※公式記録ではありません

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筑陽学園・西村

大会が始まって11日目。西日本短大附は8日間で3試合、筑陽学園は6日間で3試合を戦っており、投手の疲労もピークを迎えていたか、試合は点の取り合いとなった。

筑陽学園の先発はエースナンバーをつけた2年生の西村。120キロ台後半(この日最速131キロ)の直球に、フワッと落ちてくるチェンジアップを投球の軸にする右腕だ。右打者の内角を厳しく攻め、外に逃げる変化球で誘ってきたが、初回は2つの死球などで走者をため、甘く入った変化球を高峰、深町に叩かれていきなり4点を失う苦しい立ち上がり。

2回は三者凡退で退け、3回も簡単に二死をとりリズムに乗りかけた矢先、多久のニゴロ失、古賀の一ゴロはイレギュラーする安打となって不運な失点を喫した。この1点でしのぎたかったが気落ちしたか、深町にストレートの四球を与え、荒木、中塚に連打を浴びて踏ん張れず0-7と大きくリードを許すことになった。それでも4回以降はピンチを招きながらも1点に抑えて、味方の反撃を待った。

西短大附・中塚

一方、西日本短大附のエース中塚も120キロ台後半(同131キロ)の直球で厳しく内角を突き、チェンジアップやカーブで緩急をつけて打ち取る投球を見せる。ただ、この日は直球、変化球ともきわどく外れて球数を要し、初回と7回を除いて得点圏に走者を背負う苦しい内容だった。

2回二死一、二塁で鶴田に左前打を浴びた際は、二走の強引な走塁もあって無得点でしのいだが、3回は4安打を浴びて2失点。6回も3安打に犠飛で2失点と、序盤の大量リードを徐々に吐き出していく。8回も二死から連打を浴びたが、この日2打点の西山を渾身の外角直球で見送りの三振に打ち取り、9回も3安打を許して2点差まで迫られたが、何とか踏ん張った。167球を要し被安打15、苦しみながらの完投勝利だった。

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西短打線は2四球1犠打とつなぎ役に徹した轟木を除く全員安打。4番高峰の先制打は変化球にやや体勢を崩されながらも、ライトフェンス際まで運ぶ大きな当たり。深町も外角球を逆らわずにライト頭上をライナーで破り、走者を一掃する価値ある一打を放った。深町は7回にも変化球をセカンド左にはじき返す貴重なタイムリーを放つ活躍を見せた。逆方向に大きな当たりを打てる打者が並ぶ打線は、変化球投手にとっては脅威だろう。

3回裏筑陽学園二死二死一、三塁 木竹が左前適時打を放つ

筑陽学園は7点差をつけられてもしぶとくつなぎ、終わってみれば西日本短大附を上回る15安打を放った。長打は2本だけで、変化球はセンター中心に、外角球は逆方向にはじき返すコンパクトな打撃を見せた。中でも1番田中(左)は5打数4安打。内角球は鋭く振り抜いて引っ張り、外角球はセンターから左に打ち返すシュアなバッティングが光った。

両校とも昨秋とほぼ同じメンバー構成で、筑陽学園に2人の選手交代があった以外は、固定されたメンバーで戦い切った。両投手も2桁安打を浴びながらも投げ切ったが、裏を返せば他に任せられる投手がいない、ということかもしれない。特に筑陽学園は9回裏2点を返してなおも二死二塁の場面でも投手の西村をそのまま打席に送った。確かに西村はここまで2安打を放ってはいたが、ここで代打を送る選手がいないという選手層の薄さが気になるところ。

西日本短大附は昨秋、ほぼ一人で投げてきた中塚に代わる投手の育成が課題の一つだとみていたが、この試合を見る限りではそれが解消されていない様子。もっとも同校は一昨年の大嶋、昨年の江川とエースがほぼ一人で大会を投げ抜く傾向がある。特に今年は打線に力があることから、多少の失点は覚悟の上で中塚に試合を任せていくのかもしれない。

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