【観戦記】沖学園28-0柏陵(春季大会2回戦)




【沖学園28-0柏陵(春季大会2回戦)】

22安打に14四死球、17盗塁をからめて大量28点を挙げた沖学園が柏陵を圧倒、5回コールド勝ちを収めた。

沖学園は初回、遊内野安打で出た時里が二盗を決め、北岡の右前打と失策が絡む間に生還(北岡も二進)した。照屋右飛のあと、内藤の中前打で1点を加えると、内藤二盗、松田四球で一死一、二塁。山崎の右飛で内藤が三進し、松井四球で二死満塁から矢羽田が押し出し四球を選び、坂田の左前打で2者が還ってこの回5点を挙げた。

2回は右前打で出た照屋が二盗と捕逸で三進し、内藤の右前打で生還。内藤二盗、松田四球で無死一、二塁とし、ここで登板した2番手江淵に対する山崎の投前バントが内野安打となって満塁。松井の中犠飛で内藤がホームを踏み、なおも一死一、三塁から矢羽田の時に捕逸で松田が還り、この回3点を加えた。

2回表沖学園無死三塁 内藤が右前適時打を放つ

3回は一死後、照屋の左中間二塁打のあと一ゴロ失で出た内藤が二盗を決め一死二、三塁。松田の遊ゴロで照屋は本塁憤死したが、二死一、三塁から松田が二盗を決め、山崎の右前打で内藤が生還。続く松井の右前打で松田も還り、矢羽田の右中間三塁打で2人が生還。坂田の四球と二盗で二死二、三塁から時里の中前打でさらに2人がホームを踏み、14-0とリードを広げた。

続く4回も、前の回途中から登板した3番手長友から内藤が四球を選ぶと二盗を決め、代打下浦の中前打で二、三塁(下浦も送球間に二進。代走赤尾)。山崎三振のあと、松井の中前打でまず2点(16-0)。矢羽田の三ゴロ失で一、三塁から矢羽田が二盗を決め無死二、三塁、坂田の中前打で2人が生還した(18-0)。時里死球、北岡四球で満塁とし、ここで登板した4番手廣瀬から照屋捕飛で一死となったが、内藤のこの日3本目となる左前適時打で2点を加えた(20-0/内藤も送球間に二進)。さらに一死二、三塁から赤尾の右前打で1点を加え(21-0)、代打西村四球で一死満塁から松井中前打で2者がホームイン(23-0)。続く矢羽田の左中間二塁打で2点を加え(25-0)、暴投で三進したあと、坂田の左前打で矢羽田が生還(26-0)。時里の右翼線二塁打と北岡四球で満塁とし、代打栗林が押し出しの四球を選び(27-0)、この回打者が二巡する猛攻で13点を加えた。

5回は左前打で出た赤尾が二盗を決め、西村の二ゴロで三進。続く堀江の一ゴロでホームを踏んだ。

柏陵は二回二死から龍相が中前に落とし、井上も中前打で一、二塁としたが江淵が三振。3回は一死から上揚がライト右への二塁打を放ち、原見中直のあと佐野が四球を選んで二死一、二塁としたが高瀬が右飛に倒れた。4回も先頭の代打石津がセンター右への二塁打を放ったが後続が凡退、5回は池田の遊内野安打と上揚の打撃妨害で無死一、二塁と一矢を報いる好機を得たが後続が続かず、ホームベースが遠かった。

第152回九州地区高校野球福岡大会2回戦(2023年3月24日・水/春日公園野球場)
       一二三四五六七八九   計HE
  沖学園  536131      2822

  柏 陵  00000     063
(5回コールド)

  沖学園  打安点  柏 陵   打安点 ◆投手成績
(遊)時 里 432 (三)池 田 310 沖学園 回 安球振責
(中)北 岡 310 (遊)上 揚 210 坂田  4 5130
(右)照 屋 420 (二)原 見 310 森田  1 1010
打右 栗林 001 (右)佐 野 100 

(一)内 藤 322 中 福 元 100 柏 陵 回 安球振責
走二 津波 212 (中右)高瀬 300  渡  1.0 6508
(左)松 田 100 (捕)松 浦 100 江 淵 1.2 6210
打 下 浦 110 打 石 津 110 長 友 0.2 3413
走左 赤尾 221 捕 横大路 000 廣 瀬 0.1 6306
(二)山 崎 421 (左)龍 相 210 松 永 1.1 1011
打一 西村 100 左 藤 原 000
(三)松 井 336 (一)井 上 210 試合時間
三 堀 江 101 (投) 渡  000 13:54~15:52
(捕)矢羽田 325  投 江 淵 100
捕 北 西 100  投 長 友 000
(投)坂 田 435  投 廣 瀬 000
投 森 田 000  投 松 永 100
振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
141711   372226      41008    2160
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※公式記録ではありません

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柏陵の先発・渡

試合時間約2時間の大半を沖学園が攻め続ける一方的な展開となった。

柏陵の先発・渡は110キロ台なかば(この日最速117キロ)に緩いスライダーを交える投球だったが、スライダーでストライクが取れなかったのが痛かった。カウントを悪くし直球でストライクを取りにいったところを叩かれ2回途中、打者14人に6安打5四球を許して降板した。

2番手以下の投手も100~110キロ台の直球とスライダーを使った投球だったが、甘く入ったところを沖学園の打者は見逃してくれなかった。結果として四死球も増え、5人で14四死球と乱れた。

柏陵バッテリーが出塁を許した後、ことごとく二盗を許し(合計17盗塁)たことも、大量失点に拍車をかける結果となった。投手の一塁牽制もほとんどなく、無抵抗のまま二塁を明け渡す状況が続いた。捕手は小柄な松浦。懸命に二塁送球を続けたが残念ながら一度も阻止することができなかった。正捕手の故障などによる急造捕手だったのかもしれないが、ここまで走られると苦しくなる。

沖学園先発の坂田

沖学園の先発は背番号15の2年生坂田。120キロ台なかば(同131キロ)の直球を軸に、縦に落ちてくるようなスライダー、チェンジアップなどを交えた投球。4回まで毎回のように安打を許したが要所を締めて得点を許さなかった。

打線は大量得点にも気を緩めず、また大振りすることなくコンパクトなスイングで安打を重ねた。柏陵投手陣が球威を欠き、甘い球が多かったとはいえ、打ち損じが極めて少なく、大差がついても集中力を切らすことなく安打を連ねた打撃は見事の一言。大型打者の4番内藤は緩い球をしっかりと引き付け、鋭い打球を飛ばした。

一方で、大差のついた試合の進め方についても考えされられた。沖学園は得点が20点を超えた後も二盗を続けた。点差がついたからといって手加減することは相手への礼を欠くという考えもあるだけに、沖学園にとっても難しい判断だったに違いない。ただ、いつ終わるとも分からない攻撃に長時間さらされる守備陣への配慮は、特に炎天下の夏の大会になれば必要かもしれない。この日の柏陵は5人の投手をつぎ込むことができたが、複数の投手を持たないチームであれば投手にかかる負担も大きなものとなる。事あるごとに「選手の健康への配慮」を掲げ、球数制限やタイブレーク導入に踏み切って来た高野連だが、こうした問題への対応こそ必要ではないか。

守備は崩壊してしまった柏陵だったが、やられ放しだったわけではない。上揚、石津が外野の間を抜く長打を放つなど、毎回のように塁上を賑わし得点をうかがった。5番手として登板した松永(2年)は直球にスライダーを低めに集め、打者5人を1安打に抑えて意地を見せた。長く苦しかった守備の時間も、ファースト井上を中心に声を切らすことはなかった。

速い球がない中で打者をどう打ち取っていくか。二盗をどう防ぐか。攻撃で走者を出したあと、どう得点につなげていくか。こうした課題に向き合い、夏までにどう解消していくのか。期待を込めて見守りたい。

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