【観戦記】久留米商7-5福岡大若葉(春季大会2回戦)




【久留米商7-5福岡大若葉(春季大会2回戦)】

1回表久留米商一死二塁 柿原が先制の右翼線二塁打を放つ

久留米商が9回、相手投手陣の乱れから再逆転に成功、辛くも逃げ切った。

1点を追う久留米商は9回、先頭の新谷が四球を選び、原野の死球で無死一、二塁。打者柿原の時に重盗を決め無死二、三塁とし、柿原三振のあと中島隼が四球、さらに今村の押し出し死球で追いついた。さらに代わった池田から中村陽も押し出し死球で2点目。中村有二飛のあと代打津川も押し出し四球を選んでこの回3点を挙げて突き放した。

先手を取ったのも久留米商。初回一死後、原野の四球と盗塁で一死二塁とし、柿原の右翼線二塁打で原野が生還。続く中島隼の二塁内野安打と暴投で一死二、三塁から、今村の右犠飛で2点を先制した。1点差に迫られた5回は中前打で出た仁部を中村陽が送り、中島昴、新谷の連続四球で一死満塁から原野の中犠飛でまず1点。さらに柿原の遊内野安打で再び満塁とし、中島隼の押し出し死球で4-1とリードを広げた。

福大若葉は3回先頭の下玉利が右翼線二塁打で出ると一死後、川原の三塁前セーフティバントが犠打となって二死三塁。打者水迫のときに暴投で1点を返した。5回は中前打で出た山内が二盗を決め、送球が乱れる間に三進。続く下玉利の遊ゴロの間に山内が生還した。

2点を追う8回は川原中前打、水迫死球、藤川左前打で無死満塁とし、田中大のニゴロでまず1点。竹島四球で一死満塁とし、打者山本の時に暴投で同点に追い付いた。なおも一死二、三塁から山本三振のあと、山内の右前打で勝ち越したが、9回に投手陣が崩れて勝利目前で涙をのんだ。

第152回九州地区高校野球福岡大会2回戦(2023年3月20日・月/小郡市野球場)
        一二三四五六七八九   計HE
  久留米商  200020003 772

  福大若葉  001010030 580
  久留米商 打安点  福大若葉  打安点 ◆投手成績
(中)新 谷 200 (遊)水 迫 300 久 商 回 安球振責
(二)原 野 201 (二)藤 川 510 中島昴 9 8354
(左)柿 原 521 (三)田中大 401 
(右)中島隼 331 (左)竹 島 310 若 葉 回 安球振責

(三)今 村 302 (捕)山 本 400 古田  8.0 71047
(一)井 上 301 (中)山 内 421 池田    1  0200
(捕)仁 部 320 (右)下玉利 411 
打 石 橋 100 (投)古 田 300 試合時間
捕 中村有 100 投 池 田 000 09:01~11:21
(遊)中村陽 300 打 重 野 110 
打 津 川 001 (一)川 原 210
遊 假 屋 000 打 大 井 110
(投)中島昴 300  走 増 田 000
振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
124310   2977      53116   3483
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※公式記録ではありません

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中盤にかけての再三のピンチをしのぎ8回裏に逆転。福大若葉にとっては願ってもない展開となったが、あと一歩及ばなかった。

久留米商・中島(昴)

久留米商の先発はエースの中島(昴)。セットポジションから左足を高々と上げ、長身を生かして投げ込んでくる本格派投手だ。糸を引くような直球が外角低めいっぱいに決まり、大きなカーブ、鋭く落ちるスライダーを交えながらの投球は安定感があった。3回は自らの暴投、5回は味方の失策も絡んで1点を許したが、7回まで被安打3、与四死球1の好投を見せた。

対する福大若葉の先発・古田は右の軟投派。スリークォーター気味に腕を振り出し、スライダーを軸とした投球を見せた。立ち上がり制球に苦しみ四球に暴投なども絡んで2点を失ったが、2~4回はスライダーを打たせてとる投球で2回は4球、3回は5球、4回は10球で久留米商打線を退けた。

5回は3つの四死球や犠飛などで2点を許し、なおも二死満塁とされたがここを踏ん張ると、6回も2つの四死球と内野安打で招いた二死満塁のピンチをしのぎ無失点。8回まで7安打6四死球を与えたが粘りの投球で4失点にとどめた。久留米商としては5回6回で一気に突き放したいところだったが決定打を欠き、これが終盤にもつれる一因となった。

福大若葉の先発・古田

8回裏、福大若葉は川原が高めの甘い直球を逃さず中前にはじき返すと、水迫の死球でチャンスを広げる。続く藤川はここまで3打数無安打ながらいずれも芯で捕らえたヒット性の打球を放っていた打者。それでもここは確実に送って中軸につなげるかと思われたが強攻、三塁右を鋭く破って無死満塁。一気に福大若葉に流れが傾く。田中のニゴロで1点差とすると、竹島が歩いて再び一死満塁。ここで中島のスライダーがワンバウンドになる暴投で同点となり、二死後に山内が初球をうまく一二塁間に運んで遂に逆転。勝利は目前かと思われた。

しかし9回、粘りの投球を見せてきた古田が勝ちを急いで力んだか、三振を挟んで4連続四死球を与えて同点に追い付かれ、代わった池田も2つの四死球でさらに2点を失い、力尽きた。

久留米商打線は7安打を放ったが、うち3本は内野安打。クリーンヒットは数本で、古田の緩いスライダーに手を焼いた。9回の逆転劇も6つの四死球で3点が転がり込んできたもの。ヒットを打ったのは中軸の柿原、中島隼、それに仁部だけで、打撃にはやや物足りなさが残った。

8回裏福大若葉二死二、三塁 山内が勝ち越しの右前適時打を放つ

福大若葉は先発メンバーのうち6人が新2年生と若いチーム。小柄な選手が多いがミートに徹し、塁に出るとリードを大きくとって投手をけん制。三塁に進むと本塁へスタートする構えを見せて中島を揺さぶった。この試合、中島の暴投は3つ。うち2つは得点にからんだ。

3点を追う5回無死一塁ではカウント3-1から山内が意表をつく二盗、送球の乱れもあって三進し、次打者の内野ゴロで生還した。8回は2つの四死球に3本の単打を絡めて逆転。数少ないチャンスを生かした。得点にはつながらなかったが、9回一死から代打で登場した重野、増田の二人が連打を放つなど、福大若葉の健闘が光った試合だった。

福大若葉は守備でも、走者がいない場面では大胆なシフトを敷いてきた。右打者の時にはファーストが一二塁間、セカンドが二塁ベースのすぐ右を守り、ショートは三遊間深くに位置して左方向を固め、外野は逆に右方向に寄せて守る。左打者の時はサードが三遊間で構え、右方面を固める。シフトが術中にはまる、あるいは裏目に出るようなシーンはほとんどなかったが、走攻守にわたって自分たちの野球を貫く姿勢もまた、印象に残った。

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