【観戦記】筑陽学園5-2大牟田(秋季大会3回戦)




【筑陽学園5-2大牟田(秋季大会3回戦)】

4回裏筑陽学園二死三塁 田中が中前に適時打を放ち4点目

序盤にリードを許した筑陽学園だったが、相手投手の制球難から流れを掴み、逆転で大牟田を下した。

2点を追う筑陽学園は3回、7番前田が四球で出塁。久保の投ゴロ(ヒットエンドラン)で一死二塁とし、9番花桐の中前打で1点を返すと、田中の二塁内野安打、渕上四球で一死満塁。西山は三振に倒れたが、4番横家が押し出しの四球を選んで同点に追いついた。

続く4回も6番鶴田が四球を選ぶと次打者前田の時に二盗を決め、さらに暴投で三進し、前田の左前適時打で勝ち越し。久保が送って一死二塁から花桐のニゴロで二死三塁とし、1番田中の中前打で4-2とリードを広げた。7回はこの回先頭の田中が左中間を破る三塁打を放ち、渕上の中前打で追加点を奪った。

初回一死二塁の先制機を逃した大牟田は2回一死後、6番宮﨑が左中間二塁打で出塁。大塚は中飛に倒れたが境の左前打で二死一、三塁とし、9番志垣の右前打で先制した。3回は一死から4番河野が右中間二塁打で出ると、野中の一ゴロで二死三塁とし、宮﨑の左前打で2-0とした。その後も4回・7回・8回と先頭打者を出すなど、5回を除いて毎回のように走者を出しながら決定打を欠き、筑陽学園の2倍となる14安打を放ちながら13残塁に泣いた。

第151回九州地区高校野球福岡大会3回戦(2022年9月22日・木/春日公園野球場)
        一二三四五六七八九   計 HE
  大牟田   011000000 2140

  筑陽学園  00220010x 5071
 大 牟 田 打安点  筑陽学園  打安点 ◆投手成績
(遊)山 下 520 (二)田 中 431 大牟田 回 安球振責
(右)稲田拓 410 (中)渕 上 311  境  8 7635
(中)猿渡蒼 500 (三)西 山 500 
(一)河 野 520 (左)横 家 200 筑 陽 回 安球振責

走 田中優 000 (捕)木 竹 300 花 桐 9 14142
(左)野 中 400 (一)鶴 田 300 
打 川 口 110 (右)前 田 311 試合時間
(捕)宮 﨑 531 (遊)久 保 310 9:55~12:031
(二)大 塚 320 (投)花 桐 311
(投) 境  410
(三)志 垣 221
打三 木佐木100
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
412013  39142  36216 2775
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※公式記録ではありません

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筑陽学園・花桐

試合の「流れ」を掴む大切さを、再認識させてくれるような試合だった。

筑陽学園の先発は背番号1の花桐。120キロ台前半の直球(この日最速127キロ)に100キロ台の変化球(カーブとスライダーか)を軸にした投球だったが、この花桐に大牟田打線が序盤から襲い掛かった。2回、6番宮﨑が甘く入った高めの直球を左中間に運ぶと、境は外角の変化球をうまくあわせてレフト前に落とし、志垣も変化球を一二塁間に運んで先制。3回も河野、宮﨑の長短打で追加点を加え、3回までに8安打を放つなど完全に花桐の球を捕えていた。

一方、大牟田は背番号10の1年生左腕・境が先発。細身ながら120キロ台後半の直球(同132キロ)に力があり、ほぼこの球だけで筑陽学園打線にのぞんだ。直球が高く浮きボール先行の投球だったが初回は3人で抑え、2回も四球の走者を出したものの三ゴロ併殺打で切り抜け、まずまずの立ち上がり。このまま大牟田のペースで試合が進むものと思われた。

大牟田・境

しかし3回裏、潮目が大きく変わる。境は先頭の前田を四球で歩かせると、一死二塁から花桐には高く浮いた直球をセカンドの左に運ばれ1点差。なおも一死一塁で、続く田中は弱い当たりのニゴロ。セカンドが捕球し一塁走者を待ってタッチしようとしたが一走がスピードを緩めたため、タッチを諦めて「一塁」に送球。しかしこれが間に合わず内野安打に。タッチプレーを諦めたのなら当然二塁に送球すべきだったが少し混乱があったか、大牟田にとっては痛いミスとなった。続く渕上には2ストライクと追い込みながら直球が4つ外れて満塁。西山は三振に打ち取ったが、横家にストレートの四球を与えて筑陽学園に同点となる1点が転がり込んできた。

4回表、今度は花桐が9番の志垣に2ストライクから四球を与える。再び流れを戻す好機を得た大牟田だったが、志垣が初球に二盗を試みてタッチアウト。

4回裏、境が先頭の鶴田に5つ目の四球を与えると、筑陽学園も1-2から二盗を仕掛けて成功。暴投で三塁に進むと前田が直球を叩きつけて三遊間を割り、勝ち越し。さらに二死三塁から田中が直球を中前にはじき返してリードを2点に広げる。5回表を花桐が三者凡退に抑え、これで完全に筑陽学園が主導権を握ることになった。

6回以降も大牟田は毎回のように走者を出しはしたが、あと一本が出ない。打線の援護を受けて花桐にも余裕が生まれたか、左打者6人が並ぶ大牟田打線に対し、外角低めの直球もきわどく決まり始めた。結局、大牟田打線は14安打を放ちながら得点は3回までにあげた2点のみ。3回までに8安打を浴びせてKO直前まで追い込んだ花桐に完投を許すことになった。

3回表大牟田二死三塁 宮﨑が左前適時打を放つ

境は序盤から直球が高く浮き、特に3回は球を制御できない感じだったが、5回以降は徐々に安定してきた。スライダー、カーブなども少しずつ交えてきたが、まだしっかりとストライクを取れる制球力はなく、今後の課題となってきそうだ。ただ前述の通り直球には力があり、右打者の内角を厳しく突く球に中軸打者を詰まらせるシーンも散見された。まだ1年生。変化球を含め制球力がついてくれば楽しみな投手だ。

前チームで巧打の2番打者として活躍した猿渡は3番に座ったが5打数無安打。3回は投手足元を襲った強打が花桐の足に当たってセカンド前に転がる不運もあり、5回の中飛、9回の右飛も大きな当たりだったがフェンス前で抑えられた。簡単にはアウトにならない粘り強さが印象的な打者だったが、この日はやや淡泊な打席となった。

夏の準優勝メンバーの大半が抜けた筑陽学園は、投打ともこれからという印象。その中で4回にセンタ―前へのタイムリー、7回には追加点につながる左中間二塁打を放った1番田中の好打が目に留まった。

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