【観戦記】西日本短大附7-3武蔵台(秋季大会2回戦)




【西日本短大附7-3武蔵台(秋季大会2回戦)】

8回表西短大附二死三塁 深町が決勝の左前打を放つ

筑後地区新人大会優勝校の西日本短大附が、苦しみながらも初戦を突破した。

3-3の同点で迎えた8回表、西日本短大附は先頭の4番高峰が右中間二塁打で出塁。多久は左邪飛に倒れたが荒木の投ゴロで二死三塁とし、7番深町の三塁線を破る二塁打で勝ち越した。さらに野中が四球で歩き、9番堤の時に暴投で二死二、三塁。堤の遊ゴロが失策を招き深町が生還。続く新田の時に堤が二盗を決めて再び二死二、三塁とし、新田の左前打で2者が還り、この回4点を奪って突き放した。

先手をとったのも西日本短大附。5回一死後、1番新田が右前打で出ると二盗を決めて一死二塁。竹内左飛のあと、中塚がレフト左への二塁打を放ち新田が生還。なおも二死二塁から高峰のライト右への二塁打で中塚も還り、この回2点を先制した。6回は一死から7番深町がセンター左を破る三塁打を放ち、野中がスクイズを決めて1点を追加した。

5回まで西日本短大附・中塚の前に2安打に抑えられてきた武蔵台は6回、9番泉がセンター前に落として出塁。近藤が送ったあと、2番樋渡の右中間二塁打でまず1点。さらに岡藤もレフト前に落として一、三塁とし、坂本の一ゴロで三塁から樋渡が還って2点目。なおも二死二塁から5番八尋の右前打で岡藤が生還して同点に追いついた。続く7回は二死から泉四球、近藤左前打で一、二塁と勝ち越しのチャンスを掴んだが、樋渡が右飛。4点を追う8回は二死から八尋が四球、9回は一死から久保が左前打で出塁したが後続が倒れ、追撃できなかった。

第151回九州地区高校野球福岡大会2回戦(2022年9月9日・金/久留米市野球場)
       一二三四五六七八九   計 HE
  西短附  000021040 7110

  武蔵台  000003000 3 83
 西短大附  打安点  武蔵台   打安点 ◆投手成績
(遊)新 田 522 (三)近 藤 410 西短附 回 安球振責
(右)竹 内 400 (右)樋 渡 421 中 塚 9 8383
(投)中 塚 521 (左)岡 藤 410 
(三)高 峰 531 (投)坂 本 411 武蔵台 回 安球振責

(捕)多 久 510 (遊)八 尋 311 坂 本 9 11324
(左)荒 木 400 (捕)熊 谷 300 
(一)深 町 321 (二)塩 月 300 試合時間
(中)野 中 201 打 下 野 100 15:17~17:28
(二) 堤  410 (中)久 保 410 
(二) 堤  410 (一) 泉  210
(二) 堤  410 (打 藤井大 100
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
23238  37116  83107 3383
※公式記録ではありません

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武蔵台・坂本

初戦で筑後地区新人大会ベスト4の柳川を下して勢いに乗る武蔵台に対し、西日本短大附は江口、轟木という前チームからの主力、さらに筑後地区新人大会で3番に座った村上を欠いた先発メンバーで挑んだ。

序盤は西日本短大附が武蔵台先発の坂本を打ちあぐんだ。坂本は全身を使った躍動感あふれるフォームから、120キロ台後半(この日最速130キロ)の直球にスライダー、カーブを使ってストライクを先行させるテンポのよい投球を見せた。2回は味方の失策から二死二、三塁のピンチを迎えたが、1番新田を力のある直球で詰まらせてファーストへの小飛球に打ち取り、4回一死一、二塁では野中をニゴロ併殺打に仕留めて得点を与えない。

西日本短大附の先発中塚も120キロ台後半(同132キロ)の直球を軸に、スライダー、カーブを交えて5回まで2安打1四球と安定した投球を見せた。内外角のきわどいところに直球を投げ込み、特に内角を厳しく突く直球が効果的だった。2回に4番坂本に左前打を許し、捕手の一塁牽制悪送球などで一死三塁のピンチを背負ったが、スクイズを試みた熊谷のバットを鋭いスライダーで空を切らせて得点を許さなかった。

西短大附・中塚

試合が動いたのは5回。西日本短大附は1番新田が129キロの直球を右前にはじき返すと、一死後、3番中塚の左翼線ギリギリに入る二塁打で先制。続く1年生の4番高峰は、127キロの外角低めの直球を体の軸をぶらさず腰の据わったスイングで右翼線に鋭く打ち返す。スイングスピードの速さといい、大物感を漂わせる一打だった。

6回は深町の中堅左を襲う一打にセンター久保が思い切って飛び込んだが及ばず、深町は一気に三塁へ。続く野中の時にスクイズ、外角低めの変化球だったが膝をうまく使ってボールをフェアゾーンに転がす技ありのバントだった。

このまま西日本短大附が押し切るかと思われたが、武蔵台は6回に反撃に転じる。先頭の泉が詰まりながらセンター前に落とすと、一死二塁から樋渡の右中間二塁打でまず1点。さらに岡藤もスライダーに詰まりながらショート後方に落として一死一、三塁とし、坂本の一ゴロの間に樋渡が生還。なおも二死二塁から八尋が外角球を右前にはじき返す。強い当たりだったので本塁突入は厳しいかと思われたが、二塁走者の岡藤が思い切って本塁を突き同点に追いついた。

坂本が7回表を三者凡退で抑えると、その裏二死から泉が四球で出塁し、近藤もカーブをショート左を破って二死一、二塁。勝ち越しの好機に、打席には6回に適時二塁打を放っている樋渡。この試合の大きな山場を迎えたが、ここは中塚が踏ん張り右飛に打ち取る。

6回裏武蔵台二死一、三塁 八尋が同点の右前適時打を放つ

そして8回、西日本短大附は4番高峰が今度はスライダーを右中間に運んで無死二塁。その後、二死三塁となって打席には深町。その初球、思い切り引っ張った一打はサードの守備範囲…のはずだった。この試合の武蔵台内野陣は走者の有無に関わらず、二遊間を詰めるシフトをとってきた。その結果、三遊間、一二塁間が広く空く形になる。サードは広く空いた三遊間寄りにポジションをとっていたが、それが裏目に出てしまった。深町の一打は通常の守備位置であればサードがいた場所を抜けてレフトに達し、これが決勝点となった。

西日本短大附はベストメンバーではなかったが、背番号2桁台の選手たちが活躍し、層の厚さを見せた。江口に代わって1番ショートで出場した新田は2安打2打点1盗塁、守っても軽快な守備を披露した。7番深町は追加点につながる三塁打、さらに決勝タイムリーと価値ある2安打。8番野中は低めの難しい球に対応してスクイズを決め、9番堤も2盗塁を決めて得点に絡んだ。

武蔵台は、最後は西日本短大附の打力に屈した形となったが善戦が光った。坂本は強打の西日本短大附相手に臆することなく、堂々たる投球を見せた。9回を投げて11安打は許したが四死球は3つにとどめ自責点4。制球にすぐれ、大崩れしない安定感がある。打線も6回に集中打で追いつく粘りを見せた。決してクリーンヒットばかりではなかったが、食らいつく打撃で中塚から3点をもぎとった。二遊間を詰める思い切った内野シフトもこの日は裏目に出たが、研究のあとをうかがわせる。善戦及ばず敗れたが、来春以降も注目したいと思わせる戦いぶりだった。

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