【観戦記】九州国際大付8-1明善(選手権大会4回戦)




【観戦記】九州国際大付8-1明善(選手権大会4回戦)

3回まで走者を出しながら得点できなかった九州国際大付だったが、4回以降は着実に得点を重ね明善を7回コールドで下した。

▼4回戦(15日・北九州市民)
明  善 000 010 0=1
九国大付 000 511 1=8
(7回コールド)

【明】木崎→林→木崎【九】香西→池田

3回まで明善の先発・木崎の前に1安打に抑えられてきた九州国際大付は4回、5番小田原が四球を選び、次打者・佐倉の時に暴投で二進すると、佐倉のライト右への二塁打で先制のホームを踏んだ。さらに浅嶋が死球で出ると、香西が送って一死二、三塁。尾崎死球で一死満塁とし、1番隠塚のサードを強襲した打球が左前に達する間に2者が生還した。なおも一死一、二塁から中上の右前打で二塁から尾崎が還って4点目。黒田左飛のあと野田の中前打で隠塚も還り、この回5点をあげた。

4回裏九国大付無死二塁 佐倉がライト右へ先制の二塁打を放つ

1点を返された直後の5回は、前の回から登板した明善2番手の林を攻め、一死から浅嶋が中越え二塁打で出ると、香西四球で一死一、二塁。尾崎遊飛で二死となったが、隠塚の中前打で浅嶋が還って1点を追加した。6回は二死から小田原がレフト左への二塁打で出塁すると、続く佐倉の右前打で生還して7点目。7回は香西の代打大島が左前打、ここで再登板した木崎に対し尾崎の送りバントは二塁で封殺されたが、隠塚四球、中上左前打で一死満塁とし、黒田が押し出しの四球を選んでコールド勝ちを決めた。

明善は2回、5番金子が死球で出ると、小島中飛のあと、7番酒井の左中間二塁打で金子が一気に本塁をねらったが、7-6-2の中継に阻まれて無得点。4回も二死から小島、酒井の連打で一、二塁と先制機を迎えたが、木崎が倒れて得点できなかった。5点を追う5回、一死から1番緒方がライト右へのヒットで出ると田中(航)のニゴロで二進。打者林の時に三盗を決め、林の左前打で生還した。しかし6回以降は走者を出すことが出来ず、最後は投手陣が力尽きた。

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春の筑後地区大会で準優勝した明善。西日本短大附や久留米商不在の大会だったとはいえ、昨秋は今大会すでに5回戦進出を決めている春日にも勝利を収めている。その明善が優勝候補筆頭の九州国際大付にどのような戦いぶりを見せるか注目された。

明善・木崎

先発はエース木崎(3年)。右上手から120キロ台後半(この日最速130キロ)の直球に、110キロ前後のスッと沈む変化球、さらに80~90キロ台のスローカーブがある。初回ヒットと2つの四死球でいきなり二死満塁のピンチを背負い、打席にはこの日も6番に入った佐倉を迎えた。序盤の流れを左右する大事な場面だったが、130キロの高めのボール球を振らせて左飛に打ち取り無得点に抑えた。2回・3回も四球の走者を出したが得点は与えず3回を無失点で終える最高の立ち上がり。長打を恐れずに内角を厳しく攻めたことが好投の要因の一つだが、その代償として3回までに4四死球を与える内容でもあった。

4回の失点もその四死球から。先頭の小田原を歩かせ、暴投で二進されると、佐倉には2球続けたカーブをライト右に運ばれて失点。さらにそこから2つの死球を与えて一死満塁とされ、隠塚の当たりはサードやや左への痛烈な打球。サードが半身の逆シングルでさばこうとしたグラブをはじいて、打球が外野に達する間に2点を追加されると、中上、野田にもタイムリーを浴びたところで降板した。

内角攻めは功を奏した木崎だったが、惜しむらくは80~90キロ台の変化球でほとんどストライクが取れなかった。この球でカウントを稼げていたらもう少し投球の幅も広がっただろうが、2巡目以降は九州国際大付の各打者に直球を叩かれた。

九州国際大付は今大会3試合目にして初めてエース香西が先発。立ち上がりから高く浮く直球が目につき、初回いきなり緒方に左前打を許す。2回も金子を死球で出すと、酒井には122キロの直球を芯でとらえられ左中間二塁打を浴びる。ここは守備陣の好中継で失点は防いだが、立ち上がりの出来はいま一つだった。

九国大付・香西

それでも3回からはチェンジアップ、スライダー、カーブと多彩な変化球が低めいっぱいに決まる。4回は2安打を許したがいずれも打ち取った打球。5回は緒方に外角球を右前にはじき返されたが、林に許したタイムリーも当てただけの打球が、三塁に走者がいたことで広くなっていた三遊間を抜けて行ったもの。6回を投げての被安打7は本人としては不本意だったかもしれないが、ここは明善のしぶとい打撃を評価したい。

打線は3回戦に続いて1番隠塚、2番中上、3番黒田という打順を組んできた。3回戦でも2安打の隠塚はこの日も3安打2打点1四球で5打席のうち4打席で出塁。当面、1番に定着しそうな感がある。黒田、野田、小田原の中軸も振れており、さらに絶好調なのが6番に入っている佐倉で、ここまで3試合で9打数7安打9打点。この先シード校との対戦が始まるが、打撃に関しては不安なく迎えられそうだ。

明善打線は前述のように香西から7安打。快心の当たりというのは決して多くはなかったが、しっかりと振り切るスイングがヒットにつながった。2回一死一塁で酒井の左中間を破る当たりでは、香西から連打は難しいと踏んだか、一塁走者を本塁突入させた。結果的に九州国際大付の正確な中継プレーに阻まれたが、何としても先制点が欲しい場面。判断としては悪くなかったと思う。5回は一死から緒方が外角球をライト線にはじき返して出ると、ニゴロで二塁へ進んだ後、思い切って三盗を仕掛けて成功。三遊間が広くなったことで、林のタイムリーを呼び込んだ。強豪相手にも臆することなく見せた2つの果敢な走塁が印象に残った。

試合終了後、スタンドに挨拶をする明善の選手たち

守ってもショート緒方を中心に落ち着いた守備を見せ無失策。ファースト金子は3回、途中でバウンドが変わる難しいゴロを反応よく好捕。捕手の橋本は7回、送りバントを素早く処理して二塁で封殺するなど、随所に好プレーが飛び出し、多くの生徒や関係者が詰めかけたスタンドを幾度となく沸かせた。

 

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