【観戦記】久留米商9-4福翔(選手権大会3回戦)




【観戦記】久留米商9-4福翔(選手権大会3回戦)

相手のミスなどをからめて中盤までにリードを奪った久留米商が、福翔の終盤の激しい追い上げを振り切って県大会出場を決めた。

▼3回戦(13日・春日公園)
久留米商 400 302 000=9
福  翔 101 000 110=4

【久】田中→新原→高本→中島【福】山口→中島→山口
〈本〉山下(久)

久留米商は初回、先頭の新谷が四球で出ると、柿原の右前打で無死一、三塁。疋田三振のあと、4番山下の右前打で先制した。なおも一死一、三塁から石橋(颯)のサード右へのゴロの間に柿原が生還。石橋も失策で出塁し一死一、二塁から原野のニゴロ(二塁封殺)で二死一、三塁となった後、仁部の三塁線へのゴロの間に山下が還って3点目(仁部も失策で出塁)。続く二死一、二塁から田中の中前打で原野もホームイン、この回4点を奪った。

2点差に迫られた4回は二死から柿原が四球を選び、疋田の遊ゴロが内野安打となって一、二塁。ここで山下が右越えに本塁打を放って3点を追加した。6回にはこの回から登板した福翔の2番手・中島を攻め、一死から新谷が左前打。柿原は三振に倒れたが打者・疋田の時に新谷が二盗、疋田のニゴロ失で二死一、三塁とし、山下申告敬遠で二死満塁。5番石橋(颯)がレフト左への安打を放ち、2者が生還して突き放した。

4回表久留米商二死一、二塁 山下が右越えに本塁打を放つ

4点を追う福翔は1回一死後、岩城がレフト左へのヒットで出ると、山本の左中間二塁打で生還。2回一死一、三塁ではスクイズ失敗で得点できなかったが、3回中前打の1番原田を岩城が送り一死二塁から、山本のセンター右へのヒットで原田が還って2点差とした。

7点差で迎えた7回は、この回から登板した久留米商の4番手・中島(昴)から8番山口がセンター左を破る二塁打で出ると、続く代打中津川の投ゴロの間に三進。一死三塁から、原田の左前打で山口が生還した。続く8回も4番吉田が中前打、続く畑中もセンター前に落として一、二塁とし、中島の右前打で吉田が生還した。さらに二死後、代打中野のニゴロで一塁送球が逸れ二死満塁と詰め寄ったが、原田が三振。9回は一死から山本が四球を選んだが後続が倒れ、久留米商を上回る12安打の攻撃も実らなかった。

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福翔・山口

両校の先発投手が立ち上がりピリッとせず、序盤から点の取り合いとなった。福翔の先発はエース山口(3年)。右上手から130キロ前半の直球(この日最速136キロ)に、カーブやスライダーを交える本格派だが、立ち上がり先頭打者にストレートの四球を与えると、3安打で4失点。それでも2回からは伸びのある直球が内外角低めに決まるようになり、3回は石橋を内角直球で見逃し三振、初回タイムリーを許した田中は外角低めの直球で空振り三振に仕留め、立ち直った。

久留米商の先発は左サイドハンドの田中(3年)。110キロ台後半の直球(同122キロ)に緩いカーブを交えて打たせて取る投手だが、初回に短長打で1点を許すと、2回一死一、三塁はスクイズ空振りで切り受けたが、3回にも2安打で1点を失う。続く吉田にもヒットを浴びて福翔の安打数が早くも7本となったところで、久留米商ベンチはたまらず右スリークォーターの新原(2年)を投入して後続を断つ。

久留米商・田中

2点差に迫って福翔の追い上げムードが高まってきた中で迎えた4回表、山口は先頭打者を四球で出すが、続く新谷を二ゴロ併殺に打ち取り、さらに流れが福翔に傾いたかと思われた。しかし、ここで柿原に再び四球を出したのが痛恨。続く疋田のショートやや左へのゴロが内野安打となると、山下に右越えに大きな一発を浴びて3失点。7-2となって形勢は大きく久留米商に大きく傾き、一つの四球が流れを変える結果となった。

久留米商はその裏、新屋が四球から二死二塁のピンチを招くと、早くも3番手の高本(3年・右)にスイッチ。高本はこのピンチをしのぐと、5~6回とスライダーを低めに集めて三者凡退に抑える好投。6回に2点を加え9-2とした久留米商が、このままコールド勝ちを決めるかと思われた。

久留米商・高本

久留米商は7回裏、背番号1をつけた中島(昴)をマウンドへ送り込む。予定の継投だったかもしれなが、高本にまったくタイミングの合っていなかった福翔打線が息を吹き返す。7回に山口、原田の長短打で1点を返してコールド負けを阻止すると、8回は3連打で1点を奪って4-9とし、なおも二死満塁と攻め立て、打席にはこの日2安打で前の打席タイムリーを放っている原田。長打が出れば一気に2点差となる場面を迎えたが、ここは中島が踏ん張りスライダーで三振。福翔は9回も一死から四球の走者を出し、4番吉田が痛烈な一打を放ったがセカンド正面。終盤は迫力ある追撃だったが、中盤までの失点が最後まで響いた。

久留米商・中島

中島は長身の2年生右腕で直球は130キロ台(同137キロ)、スライダーにカーブとあるが、ややコースが甘かったか。この日、久留米商は4投手がマウンドに上がったが被安打は12。この日は高本が好投を見せたが軸となるべき投手が不在という印象は否めず、この先も継投でかわしていくことになりそうだ。

打線は初回の先制攻撃が鮮やかだった。4番山下(3年・左)が2安打4打点。5番石橋(颯)も3打点をあげ、2人で7打点と勝負強さを見せた。山下の4回の一発は打った瞬間それと分かる大きな当たりだった。

福翔では3番山下(3年・右)が2打点。初回は緩いカーブを引き付けて左中間を深々と破り、3回は外角の直球を逆らわずにセンター右に運んだ。2番の岩城(3年・左)は初回左前打を放つと、山下の左中間二塁打で俊足を飛ばして一気に生還。小柄ながら、風を切るようにダイヤモンドを疾走するスピードは目を引いた。

1回裏福翔一死一塁、山本の左中間二塁打で岩城が生還

 

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