【観戦記】福島2-1福岡大若葉(選手権大会3回戦)




【観戦記】福島2-1福岡大若葉(選手権大会3回戦)

福島・井手、福岡大若葉・久我、両先発投手が好投を見せ試合は延長戦にもつれこんだが、11回表に決勝点を挙げた福島が接戦を制した。

▼3回戦(10日・久留米)
福  島 000 010 000 01=2
福大若葉 001 000 000 00=1

(延長
11回)
【福】井手→緒方【若】久我

同点で迎えた11回表、福島はこの回先頭の2番・大津(悠斗)が右前打で出ると続く田中(良)も右前打で続き、酒見が送って一死二、三塁。大津(悠翔)は二飛に倒れたが、打者田中(海)の初球が暴投となって三塁から大津が生還。これが決勝点となった。

先手をとったのは福岡大若葉。3回、1番水迫が二塁内野安打で出ると藤川が送って一死二塁とし、竹島の打球はセカンドベースに当たって、大きくライト方面に跳ねる間に水迫が生還した。福島も5回一死後、8番樋口(大)が中前打で出塁、続く緒方(健)のニゴロで二封されたが、打者大塚の時に緒方が二盗を決め、大塚の右中間二塁打で同点に追いついた。福島は6回にも田中(良)の右前打と佐上の四球で無死一、二塁としたが、後続が強攻に出て凡退。その後は走者を出せなかったが、久々に迎えた得点機で決勝点を奪った。

5回表福島二死二塁 大塚が同点の右中間二塁打を放つ

 

序盤、試合を押し気味に進めたのは福岡大若葉。初回二死から3番竹島、4番モリヨがいずれも右前打で出塁したが無得点。3回に竹島が先制打を放った後も、モリヨ中前打、安田死球で一死満塁とし、なおも追加点のチャンスを迎えたが後続が凡退した。

続く4回にも8番久我の左越え二塁打のあと稲光の送りバントが内野安打となり、水迫死球で無死満塁としたが藤川の一直が併殺となり、竹島も三振に倒れて追加点を奪えなかった。その後も6回二死一、二塁、7回一死一、二塁、10回一死二塁と迫ったが決定打を奪えず、1点を追う11回裏も左前打で出た稲光を送って一死二塁の同点機を迎えたが後続が倒れ、力投する久我を援護できなかった。

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福岡大若葉・久我

福岡大若葉の久我は、昨夏も4試合に登板し同校の県大会進出に貢献した左腕。昨夏を振り返ったデータでも被安打の少なさが際立っており、一度見てみたい投手の一人だった。

投手としては決して大きくはない身体から投じる直球は120キロ台後半(この日最速131キロ)で、これに100キロ前後の大きなカーブと、スライダーも投げていたように見えた。直球、変化球を緩急をつけながら低めに集め、打たせて取る投球で11回を一人で投げ抜いた。5つの四死球を与えたが、制球を乱す場面もほとんどなかった。驚くような球があるわけではないが、試合をキッチリとつくることができる投手だと感じた。

福島の先発・井手

一方で福島の先発・井手は我慢の投球が続いた。120キロ台の直球(同131キロ)とカーブを軸に投球を組み立て、時折スライダーを投じたが、直球が高めに抜けることが多く、ボールが先行する苦しい投球。初回から毎回のように走者を背負い3回に1点は失ったが、それでも許したのはこの1点のみ。3回に1点を失った後の一死満塁、4回の無死満塁をしのいだのが大きかった。7回途中まで緩急を使って打たせて取り、味方の好守にも支えられて踏ん張った。

福島・緒方

7回一死一、二塁で救援のマウンドに上がった2番手の緒方(誠)もよかった。右スリークォーターからの直球は120キロ台半ば(同128キロ)というところだが、回転のよい球を投げる。2年生ながら落ち着いたマウンドさばきで登板直後のピンチを併殺でしのぐと、8・9回と三者凡退で流れを渡さなかった。100キロ台のスライダーを含めてコーナーを丹念につき、死球を一つ与えたが無四球。10回11回は一死二塁と得点圏に走者を背負ったが、後続を断った。4回3分の2を投げて1安打1死球に抑える見事な内容で、チームの勝利に貢献した。

福島に失策が一つついたが、両校の守備陣も投手を盛り立てた。特に福岡大若葉の内野陣は動きも軽快で、よく鍛えられている印象を受けた。走者を出しながらも得点が入らないじりじりした展開に、最後は久我が根負けする形で決勝点を献上して決着がついたが、見ごたえのある好ゲームだった。

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