【観戦記】北九州市立12-6門司学園(選手権大会2回戦)




【観戦記】北九州市立12-6門司学園(選手権大会2回戦)

降雨中断を挟み5時間近くにわたる長い試合(試合開始9:55/試合終了14:45)となり、雨の影響もあって両校あわせて17四死球・7失策を記録した乱戦を北九州市立が制した。

▼2回戦(6日・筑豊緑地)
北九州市立 100 0100 100=12
門司学園  002 031 000= 6
【北】日高→影平→日高【門】森本→長野

1点を追う北九州市立は5回、四球を選んだ9番日高が2つの暴投で三進した後、渋谷の四球と二盗で無死二、三塁とし、麻生の左前打で同点。続く重住の左前打で逆転すると、なおも無死一、二塁から4番行岡の三塁前バントが内野安打となって無死満塁。田中の一打は投手グラブを弾き、そのまま右前に転がるタイムリーとなり2者が生還した。吉原の投前バントは一塁送球が乱れて再び無死満塁となり、7番松尾の右越え二塁打で2点を加えて7-2。無死二、三塁から森の左前打で2者が還り9-2とリードを広げた。

さらに日高の捕手前バントが二塁悪送球を誘って無死一、二塁となったところで、門司学園は2番手長野がマウンドへ。打者渋谷の時に森が二塁牽制で刺されて一死一塁となったが渋谷四球、麻生中飛のあと捕逸で二、三塁とし、重住が右翼線二塁打を放って2人が還り、この回10得点。失策を挟んで6連打、先頭打者から11人連続出塁という猛攻だった。

5回表北九州市立無死満塁、松尾が右越えに2点二塁打を放つ

先手をとったのも北九州市立。初回、先頭の渋谷がニゴロ悪送球で出ると麻生が送って一死二塁。二死後、行岡の左中間二塁打で先制した。5点差まで詰められた直後の7回は右前打で出た森を日高が送り、渋谷の投前セーフティバントが犠打となり二死三塁。ここで麻生が中前打を放ち、貴重な追加点を奪った。

門司学園は激しい雨の中で迎えた3回裏、一死から9番水野、1番長野が連続四球。武村も死球で一死満塁とすると、3番森本の右犠飛で同点に追いついた。なおも二死二、三塁から打者山口の時に暴投で三塁から長野が生還して逆転に成功した。2-11となった5回は一死から長野死球、武村四球で一、二塁とし、ここで登板した影平から森本が左翼線二塁打を放ってまず1点。山口四球、矢野三振で二死満塁となり、途中出場の6番佐藤が左前打を放ってさらに2点を加えた。

6回は一死から水野が左前打。長野三振、武村四球で二死一、二塁から森本の左前打で水野が生還して6-11とした。さらに山口四球で二死満塁と詰め寄ったが、ここで再び登板した北九州市立・日高に矢野が右飛。7回以降も毎回のように走者を出したが決定打を欠き、追い上げることができなかった。

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門司学園・森本

めまぐるしく天候が変わる中で3回裏攻撃前に約2時間、4回裏攻撃前にグラウンド整備でさらに30分の中断が挟まれる難しい環境下での試合となったが、5回の北九州市立の猛攻が勝負を決めた。

門司学園の先発は右腕森本(3年)。背番号6だが、堂々たる体格から放たれる直球の伸びは本格派投手そのもの。初回、行岡に高く入ったところを叩かれて1点は失ったものの、力強い直球が外角低めにビシビシと決まり、抜いた変化球を交えながら高めの直球で三振を奪うなど圧巻の投球を見せた。激しい雨の中での投球となった4回も走者を出しながら無失点で乗り切り、雨が上がってからはさらに快調に飛ばすものと思われた。

北九州市立・日高

ところが5回、先頭の9番日高を追い込みながら四球を出すと、続く渋谷にも2球連続で捕手がとれない高投。四球となった日高への最後の球を含めると、3球続けての暴投となり、結局渋谷にも四球。麻生、重住に連打を浴びて逆転を許すと、4番行岡には三塁前に絶妙のバントを決められ、田中の当たりはグラブに当てながらも、結果的にカバーに入ったセカンドの逆を突きさらに2失点。吉原のバント処理では雨を含んだ人工芝に足を滑らせて一塁送球が乱れるなど、運にも見放されて失点を重ねた。

北九州市立打線は3巡目に入り森本の直球に目も慣れてきたか、狙い球をしっかりと振り抜き、小技も絡めて一気に森本を攻略した。麻生は変化球、重住は直球を強く叩いての同点、逆転打。行岡、吉原の送りバントも投手とサードの間にうまく打球を殺したことで内野安打、敵失を誘った。松尾、森の下位打者も森本の速球に振り負けずにコンパクトに振り抜いて、大量点を演出した。

北九州市・_影平

北九州市立の先発はエース日高(3年)。直球とスライダーをコーナーに集め上々の立ち上がり。激しい雨の中の投球となった3回は3連続四死球と犠飛、さらに暴投で2点を失ったが、雨による影響は否めず日高にとっては気の毒な失点だった。3回だけで42球を投げ、さらに二度の中断を挟んだことで体力や集中力を奪われたか、5回一死から連続四死球を出したところでライトにまわった。

救援に立った右腕の影平(2年)は、縦に落ちてくる変化球で3つの三振を奪うなど随所に持ち味は発揮したが、登板直後に2本のタイムリーを浴びて3点を失い、6回も失点し5点差に詰め寄られ、なお二死満塁とされたところで再び日高の救援を仰ぐ結果となった。すでに100球近く投げていた日高だったがこのピンチを切り抜けると、7回以降も毎回走者を出しながら得点を与えずリードを守り切った。

門司学園・長野

門司学園の2番手・長野(3年)は大差がついた中での登板となった。交代直後に2点適時打を浴びたが、6回以降は直球とカーブを低めに集めて2安打1失点。エースナンバーに恥じぬ好投を見せた。森本は前述のとおり直球の伸びが抜群。体格にも恵まれ投手としての雰囲気もある。細かな制球力や打者との駆け引きなどを身に付ければ、上の舞台でも活躍できる素材だと感じた。

打線は3番森本(右)が得点圏に走者を置いて立った三度の打席でいずれも打点を挙げるなど、勝負強い打撃を見せた。9番の水野(2年・左)も好打者。3回は粘って四球で歩き逆転の起点となったほか、6回は直球を左前に弾き返し、7回は変化球にうまく反応して中前に運んだ。

門司学園はこの水野をはじめスタメンのうち6人が2年生以下。若いチームながら粘り強く、最後までよく声も出ていた。終盤はその若い選手たちにスタメンを譲った3年生が相次いで代打で登場。得点にはつながらなかったが、その懸命な打席は胸に迫るものがあった。

5回裏門司学園二死満塁 佐藤の左前打で武村(4)に続き二塁から森本も生還
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