【観戦記】筑陽学園11-10大牟田(春季大会4回戦)




【筑陽学園11-10大牟田(春季大会4回戦)】

終盤激しく試合が動き延長戦に入った一戦は、二度のリードを追いついた筑陽学園が逆転サヨナラ勝ちを納めた。

10回裏筑陽学園二死一、二塁 高倉が右越えにサヨナラ打を放つ

1点を追う筑陽学園は10回裏、5番小森の捕手・一塁手間の飛球が内野に落ちる安打となり出塁。野田の犠打と暴投で一死三塁とし、小野原の左前打で追いついた。さらに楠死球、木口三振で二死一、二塁から高倉が右越えにサヨナラ打を放って試合を決めた。

序盤優位に進めたのも筑陽学園。初回二死後、矢野の遊内野安打と坂本死球で一、二塁から小森が三塁線を破る二塁打を放って先制した。2回は小野原のセーフティバントを処理しようとした捕手がファンブルして出塁。酒見が送った後、盛田の右翼線二塁打でまず1点。高倉三ゴロで二死三塁から網治の遊内野安打で高倉が生還(網治は一塁送球が乱れる間に二進)。続く矢野が中前に落として網治が還り3点目。さらに坂本の遊ゴロ失、小森四球のあと、野田も押し出し四球を選んでこの回4点を加えた。

1点差に迫られた5回はこの回から登板した岡部から小野原が死球を受け、酒見の投前送りバントが一塁悪送球を誘って無死二、三塁。ここで代わった3番手の井川から盛田が中犠飛を放って2点差とした。逆転され3点差を追う8回は一死から小森が四球を選び、野田の右中間二塁打でまず1点。小野原一ゴロで二死三塁とし、途中出場の楠が右翼ポール際に本塁打を放って追いついた。

8回表大牟田二死満塁 江崎の一塁強襲安打で猿渡が逆転のホームイン

大牟田は5点を追う3回、猿渡右前打、杉野左前打、江崎(安)の四球で無死満塁とし、加藤の遊ゴロの間に1点を返した。4回は二死から石橋が左越え本塁打。さらに四球で出た猿渡が二盗を決め、杉野の中前打で生還。江崎の左中間二塁打で杉野も還り、この回3点を奪った。

4-6で迎えた8回は菰原が右前打。宮崎が送り、井川四球で一死一、二塁。ここで登板した筑陽学園のエース木口に石橋は中飛に抑えられたが、猿渡の中前打でまず1点。杉野四球で満塁とすると、江崎の一塁強襲安打で2人が還り逆転、三塁を狙った一走杉野を刺そうとした送球が乱れる間に杉野もホームを踏んだ。なおも二死二塁で、加藤の二飛をセカンドが打球の行方を見失うヒットなり江崎も生還、この回5点を挙げた。

10回には二死から杉野のセンター右への二塁打のあと、江崎のニゴロが一塁悪送球を誘って杉野が勝ち越しのホームを踏んだ。しかし5回途中からロングリリーフとなった3番手の井川がその裏に力尽き、リードを守り切れなかった。

第150回九州地区高校野球福岡大会4回戦 (2022年3月27日・日/久留米市野球場)
        一二三四五六七八九十   計 HE
  大牟田   0013000501  10143

  筑陽学園  1400100302  11142
 大牟田   打安点  筑陽学園  打安点 ◆投手成績
(二)石 橋 611 (遊)高 倉 511 大牟田 回 安球振責
(右)猿 渡 531 (右)網 治 521 濱地  4 6501
(遊)杉 野 531 (二)矢 野 531 岡部  0 0101
(一)江崎安 523 (一)坂 本 100 井川 5.2  8425

(左)加 藤 622  打 豊 田 100 
(中)久保山 510  一 高 木 100 筑陽学 回 安球振責
(三)菰 原 520 (三)小 森 421 盛田 8.1  10456
(捕)宮 﨑 300 (左)野 田 422 木口 2.2  4123
(投)濱 地 200 (中)小野原 411
打 小 宮 100 (捕)酒 見 200 試合時間
投 岡 部 000  捕  楠  111 09:57~12:50
投 井 川 100 (投)盛 田 222
ーーーーーーーーーーーー投 木 口 200
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
751010  44148  2108115 371411
※公式記録ではありません

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大牟田には打線の粘りと長打力、筑陽学園には土壇場での底力を感じた試合だった。

大牟田の先発・濱地

大牟田の先発は背番号10の濱地。細身の2年生左腕で、直球は120キロ前後(この日最速123キロ)だが、立ち上がりから90キロ台のチェンジアップ、左打者の外に逃げていくスライダーをうまく使ってテンポよく投げ込んだ。初回は打ち取った当たりが内野安打になる不運もあって失点。2回も味方の3失策やポテンヒットなどが重なってリズムに乗れず4失点。一方的な展開になりそうだったが、味方が得点した3・4回は走者を出しながらも無失点で踏ん張り、試合をつくった。

筑陽学園の先発・盛田

筑陽学園も背番号10の盛田が先発。ワインドアップから投じる130キロ前後の直球(同137キロ)に、縦に落ちてくるスライダ―、同じような軌道の100キロ台の変化球を使っての投球。きわどいところを突いた球がわずかに外れることが多く、2回以降は球数が増えた。2安打に四球で満塁とされた2回は無失点で切り抜けたが、3回は2安打1四球で1点、3回は二死から石橋に一発を浴びると、四球を挟んで中軸に連続適時打を許して3失点。1点差まで迫られた。

追い上げムードの大牟田は濱地に替えて、5回から右の岡部を投入。死球と犠打に失策がからんで無死二、三塁のピンチを招くと、すぐに3番手の井川を送り込んでここを1点でしのぐ。6回に二死満塁、7回も一死三塁のピンチを招くが、腕がサイドから遅れて出てくる変則左腕の井川は90キロ台のカーブを有効に使って決定打を許さない。

大牟田・井川

筑陽学園の盛田は5~7回を三者凡退に抑え、尻上がりに調子を上げているように見えたが8回、先頭の菰原を追い込みながら4球粘られた末に右前打を許すと犠打で一死二塁とされ、投手の井川にも2-2から3球粘られて四球を許す。この時点で球数は150球。限界と見たか筑陽学園ベンチはエースの木口を送り込む。右スリークォーターの木口は130キロ後半(同141キロ)の直球にスライダ―、100キロ台の抜いた球(挟んでいるようにも見えたが)を交えた貫録の投球。石橋を中飛に打ち取り二死。大牟田の反撃もここまでかと思われた。

しかし巧打者の猿渡が2-0から直球を狙いすまし、投手足元を抜く中前打を放って1点差に迫ると、杉野はストレートの四球で二死満塁。打席には4番江崎が入り、この試合の最大の山場となった。江崎は3-1からの直球を捕らえ、ファーストを強襲するヒット。打球がファールゾーンを転々とする間に2者が還って逆転、見事な攻撃だった。

筑陽学園・木口

ただ、筑陽学園も簡単には引き下がらない。その裏四球の走者を置いて野田のタイムリーで1点を返す。なおも二死三塁から、8回表の木口登板にあわせてマスクを被っていた楠が起死回生の同点2ラン。低めの変化球をすくい上げるように放った一発だった。10回表に再び勝ち越されたが、その裏に幸運な小森の安打を足掛かりにチャンスを作ると、小野原が変化球を逆方向(ショート左)にはじき返して追いつく。最後はこの日ノーヒットだった高倉が、前進守備のライト頭上をはるかに越える一打を放ってケリをつけた。

大牟田打線はこの日本塁打を放った1番石橋、3番杉野、4番には左の主砲・江崎と長打力のある打者が並び、2番には左の好打者・猿渡がいて打線に厚みがある。猿渡はこの日5打席で相手投手に投げさせた球数は34球。追い込まれても際どい球はカットできるスキルがあり、好球必打ができる打者だ。また8回に粘って四球を選び上位打線につなげた井川に象徴されるように、追い込まれても簡単にアウトにならない粘りが各打者にある。

8回裏筑陽学園二死三塁 楠が右越えに同点本塁打を放ち生還

投手陣は軟投派左腕の二人が、4回を除いて毎回のように得点圏に走者を背負いながら粘り強く投げた。内野陣ではセカンド石橋が堅守を見せた一方で、内野に3つの失策。投手陣が打たせて取るタイプだけに守りはしっかり固めたいところ。

筑陽学園は中盤までは相手の失策や幸運なヒットで得点を重ね、打線の迫力では大牟田に一歩譲ったが、リードされて二度追いつく土壇場の集中力はさすが名門校。勝負処で守備のミスもあり苦しい試合となったが、勝利に対する執念が大牟田をわずかに上回った。

 

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