九国大付は大阪桐蔭に逆転負け、決勝進出ならず~明治神宮大会




4日目を迎えた第52回明治神宮野球大会は23日(火)に準決勝2試合が行われ、九州地区代表の九州国際大付は大阪桐蔭(大阪・関西地区代表)と対戦しました。九州国際大付は5回まで2-1とリードしていましたが、6回裏に一挙7点を奪われて逆転を喫し2-9の7回コールドで敗れ、決勝進出はなりませんでした。決勝は大阪桐蔭と広陵(広島・中国地区代表)の対戦となりました。

【試合経過】
大阪桐蔭が6回裏に5連打を含む7本のヒットを集中させて7点を奪い、逆転勝利を収めた。

1点を追う大阪桐蔭は2回裏、4番海老根のニゴロで一塁送球が逸れて出塁。丸山の中前打で無死一、二塁とすると、河田はスリーバント失敗で一死となったが、7番星子の中前適時打で追いついた。

再びリードを許して迎えた6回裏は代打・田井が中前打で出ると、松尾の時にヒットエンドランが決まり(右前打)無死一、三塁。海老根は遊ゴロ併殺打に倒れ二死三塁となったが、丸山四球のあと、6番河田が一・二塁間を破って追いついた。なおも二死一、二塁から、星子が右越え二塁打を放ち2点を追加。鈴木も三塁線を破る二塁打で星子も生還し5-2とリードを広げた。続く前田は中飛かと思われたが、センター黒田が目測を誤り三塁打となって5点目。さらに1番伊藤が左越え本塁打を放ち、この回7点を挙げて大量リードを奪った。

7回は先頭の3番松尾が中越えのエンタイトルツーベースで出ると、海老根の送りバントは三邪飛となったが、丸山四球の時に、暴投がからんで一死一、三塁。河田の右犠飛で9点目を挙げ、コールド勝ちを決めた。

先手をとったのは九州国際大付。2回、この回先頭の4番佐倉のライト左への本塁打で先制。追い付かれた直後の3回も無死から1番黒田が右越え本塁打を放って再びリードした。しかし4~6回は立ち直った前田の前に走者を出せず、追加点を奪えなかった。6点を追う7回は野田の左翼線二塁打、白井の三ゴロ失、浅嶋四球で無死満塁としたが、毛利が三振。尾崎は遊ゴロ併殺打で追撃できなかった。

——-

序盤から中盤にかけて互角の勝負を演じた九州国際大付だったが、中盤以降は大阪桐蔭の底力に屈した形となった。

大阪桐蔭の先発は1年生の前田。140キロ超の直球に110キロ台の鋭いスライダ―を武器にし、制球力にも優れる左腕だ。初戦の敦賀気比戦では4回からリリーフに立ち、2安打無四球10奪三振の好投を見せいてる。その左腕に九州国際大付は序盤、長打力を見せつけた。2回は4番佐倉が真ん中高めの甘い直球を見逃さず、ライト左へライナーで打ち込むと、3回は黒田が真ん中に入ってきた直球を叩き、右翼フェンスをきわどくオーバーする一発。序盤は優位に試合を進めた。

2回表無死、佐倉が右越えに先制の本塁打を放つ

しかし得点はこの2点のみ。黒田の本塁打のあとは12人連続で打ち取られるなど、立ち直った前田の前に走者を出すことができなかった。2-8と大きくリードされた7回に敵失もあって無死満塁の反撃機を迎えたが、下位打線が打ち取られた。2回佐倉が本塁打を放った後も一死三塁と追加点のチャンスがあったが、小田原三振、毛利四球を挟んで尾崎は右飛。失投を逃さなかった2本塁打は見事だったが、走者を得点圏に置いた場面では前田を崩せなかった。

九州国際大付の先発は野田。初回こそやや力みが見られたが、2回以降は最速145キロの直球にスライダ―をからめて力投した。2回は味方の失策を機に1点を失ったが、3~5回は1安打を打たれただけ。それでもファールで粘られ、低めのスライダーを見極められるシーンも多く、5回までに80球近くを要した。
そして三巡目に入った6回、二死一、三塁から5連打を浴びて7失点。前田のセンターへの飛球は太陽が目に入ったか、落下点に入りながら黒田が打球を見失うという不運もあったが、90球を超えて直球、スライダーとも甘くなったところをことごとく痛打された。

福岡勢は甲子園で大阪桐蔭と二度対戦している。2017年春の東海大福岡と2018年夏の沖学園だが、いずれも中盤までは健闘しながらも、中盤から終盤にかけて打ち込まれるという今日のような内容だった。東海大福岡は6回まで0-1で粘ったが、7~8回に3失点。沖学園は6回表まで3-3の同点だったが、6回以降に7失点で敗れた。多少のリードを許していても中盤以降に逆転する力を持つのが大阪桐蔭が横綱たる所以だ。

この試合、勝つなら2-1での逃げ切りを狙うしかなかったように思う。徐々にスライダーが見極められてきた野田を6回途中であきらめ、香西を投入する。今回は前日完投した香西に無理はさせなかったが、中盤以降に大阪桐蔭をどう抑え込んでいくのかが、課題として浮き彫りになった試合でもあった。

九州最強の看板をひっさげてのぞんだ打線も初戦のクラーク記念国際戦こそ10安打を放ったものの、日大三島戦では6安打2点、大阪桐蔭戦は4安打2点。全国上位レベルの投手になると、九州国際大付の打線をもってしても、容易に打ち込めなかった。
それでも3本塁打を放ち、香西が2試合をそれぞれ1失点で完投するなど、大舞台で経験を積むこともできた。来春のセンバツは優勝候補の一校としてのぞむことになるだろう。全国優勝も狙えるチームとなった九州国際大付の来年の戦いぶりが注目される。

Pocket
LINEで送る

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*